燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

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十二

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 この気性激しい女戦士が、打ちのめされ、屈辱にあえぎ泣き、完全に降伏する姿を見てみたいと、ここにつどった男たちは――女たちでさえ――皆思っているのだ。
「はぁ! あああっ!」
 ほとんど全裸に剝かれてしまったアキリアは、惨めきわまりない四つん這いで尻を高くあげさせられ、あられもなく脚を開かせられてしまう。
 今や、マルクスの巨大な蛭のような舌で禁忌の場所を舐めねぶられ、別の小人たちに左右から胸を揉まれぬいている。
「きひひひひっ!」
 胸を揉んでいる小人が、実に下品な笑い声をあげる。その声にいっそう恥辱を覚えたのか、アキリアの頬は羞恥にどす黒いほど染まった。
「うううううっ……! ヒュパティア、去れ! ここにいてはいけない!」
 これ以上、惨めな己の姿を愛する者に見られたくないのと、彼女が自分を救おうと我が身を捨てることを危惧したのだろう。アキリアの言葉が悲痛に響く。
「いや、ここにいるのだ、ヒュパティア。ここでおまえの愛しいアキリアが小人どもに可愛がられるところを見ているがいい」
 どこまでも残忍なウリュクセスは過酷な命を発した。
「ああ……」
 ヒュパティアは顔をおおって泣きつづけたが、しきりと泣くのをこらえて顔を上げると、訴えた。
「お願いです、御館様……ウリュクセス様、アキリアを許してあげてください。わ、私が代わりにあの人たちの相手をします」
「駄目だ、ヒュパティア! あう……!」
 ちょうど、むごくもマルクスが背後からアキリアに挑みかかったところだった。
「あっ、ああっ、ああああ!」
 観客たちのもらした吐息の音が、いくつもかさなって奇妙な波をつくる。
「あっ、あうっ! ううううっ!」
 アキリアが両手を拳のようにまるめて、石の舞台で震えた。
 その哀れで惨めな様子は、つい先ほどまで勇敢に剣を持って戦っていた女戦士と同一人物とはとうてい思えない。
 マルクスが笑いながら腰を動かす。
「ひぃっ! ひぃぃぃぃぃ!」
 醜悪な小男に犯され、悲鳴をあげているアキリアの姿は壮絶だった。
「ああ! いや! いや! だ、駄目だぁ!」
 首を振り、泣きじゃくるアキリア。
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