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十四
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見るに耐えないのだろう。ヒュパティアが顔をおおって啜り泣く。
外見に似合わず、小人たちは的確な性技でアキリアの官能をあおり、秘めていた欲望を引きずり出し、衆目のもとにあらわにさせていく。彼らはこういったことを仕事とするべく、その道の技術を剣技同様にたたきこまれているようだ。
「きひひひひ! どうだ? いくか? ほうら、行け」
「ううっ、ううっ、あうっ、あううっ……ううん……、もう、ああ、もう駄目!」
哀れだが、彼らの異常に卓越した技の前には、アキリアは子どものようなものだった。もはやなす術なく、身の丈が自分の胸あたりまでしかないような男たちにいいようにされている。女戦士の誇りなど、もはや完全に吹き飛ばされてしまっていた。
リィウスはやるせなく視線を下ろしたまま、目を上げることができないでいた。そばにいたタルペイアが、そんなリィウスをもどかしげに見ている。
「人のこと同情している場合じゃないのよ」
タルペイアの声が冷たく響く。
気づくと、近くにベレニケやサラミスが寄ってきている。
「ねぇ、気づいた?」
ベレニケの顔は青ざめている。
「……何が?」
「ここで〝客〟でないのは、私たちだけよ」
観客たちは身なりからして富裕層であり、女たちも見るからに地位のたかそうな貴婦人である。愛人や妾側室もいるだろうが、そばには男が必ずいる。
今ひとつ意味が理解できずとまどっているリィウスに、ベレニケが説明した。
「つまり、私たちはここへ余興のために呼ばれたのよ。他の女たちはもっぱら観るだけの観客。私たちは、観せる方なのよ」
「そうみたいね」
ベレニケの言葉にサラミスが頷いた。その目は、舞台となった石段の方に釘付けだ。頬がかすかに赤らみ、菫色の双眼は濡れて潤んでいる。
外見に似合わず、小人たちは的確な性技でアキリアの官能をあおり、秘めていた欲望を引きずり出し、衆目のもとにあらわにさせていく。彼らはこういったことを仕事とするべく、その道の技術を剣技同様にたたきこまれているようだ。
「きひひひひ! どうだ? いくか? ほうら、行け」
「ううっ、ううっ、あうっ、あううっ……ううん……、もう、ああ、もう駄目!」
哀れだが、彼らの異常に卓越した技の前には、アキリアは子どものようなものだった。もはやなす術なく、身の丈が自分の胸あたりまでしかないような男たちにいいようにされている。女戦士の誇りなど、もはや完全に吹き飛ばされてしまっていた。
リィウスはやるせなく視線を下ろしたまま、目を上げることができないでいた。そばにいたタルペイアが、そんなリィウスをもどかしげに見ている。
「人のこと同情している場合じゃないのよ」
タルペイアの声が冷たく響く。
気づくと、近くにベレニケやサラミスが寄ってきている。
「ねぇ、気づいた?」
ベレニケの顔は青ざめている。
「……何が?」
「ここで〝客〟でないのは、私たちだけよ」
観客たちは身なりからして富裕層であり、女たちも見るからに地位のたかそうな貴婦人である。愛人や妾側室もいるだろうが、そばには男が必ずいる。
今ひとつ意味が理解できずとまどっているリィウスに、ベレニケが説明した。
「つまり、私たちはここへ余興のために呼ばれたのよ。他の女たちはもっぱら観るだけの観客。私たちは、観せる方なのよ」
「そうみたいね」
ベレニケの言葉にサラミスが頷いた。その目は、舞台となった石段の方に釘付けだ。頬がかすかに赤らみ、菫色の双眼は濡れて潤んでいる。
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