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九
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「まぁ、まぁ、マル、いや、エリニュス、今宵は私にまかせておくれ。今度は走らせてあげるから。ほら、トュラクス、何をしている。休んでいないで動くんだ。リィウスが寂しがっているだろう? 酷なことをするんじゃない」
ぴしゃり、と肌を打つ音が響くが、今度は予想した振動は起こらなかった。
「ううっ、うううっ!」
トュラクスの怒りは限界にまできているようだ。いまや発狂寸前なのだろう。
「おや、どうした、その目は?」
ウリュクセスが挑発するような声を発した。
「私に逆らうのか、トュラクス? では、仕方ない。おまえの代わりにミュラに出てもらうとするか?」
「まぁ、おもしろそう! ねぇ、こうしたらどうかしら? ミュラとあの女戦士を出すのよ」
エリニュスの言葉に、トュラクスの身体がかすかに動いたのがリィウスにはわかる。
「ミュラとアキリアでは戦いにならんだろう?」
眉をしかめるウリュクセスに、
「馬鹿ねぇ、試合をさせるのではなく、二人をまぐあわせるのよ」
「ほう?」
トュラクスのかすかな唸り声がリィウスの耳に響いてくる。獅子の断末魔の咆哮のようだ。
「女戦士に道具をつけさせて、客たちのまえで二人を抱き合わせるのよ」
「それは……さぞ面白いだろうな。かたやローマ有数の美女戦士、かたやトュラクスの恋人として名を知られた美人女優。趣きのまったく違う美女二人にそんな真似をさせたら、さぞ見物人が沸くだろうね。ふっ、はっ、はっ、はっ」
ウリュクセスが感に堪えないというふうに笑う。つられたようにエリニュスも笑う。まさに魔物と魔女の哄笑だった。
「ほほほほほ。トュラクスの相手をしてきたぐらいだから、道具は大きなものにしてあげて。あの娘、おとなしそうな顔してけっこう好き者だわ。女だろうが、男だろうが見境なしで、きっと雌犬のような声をあげて女戦士にむしゃぶりつくわよ。賭けてもいいわね。あの、アキリアだったかしら? 女戦士の方も慣れているもの。前にも愛人と楽しむのを見たことがあるわ。二人ともそれは夢中になって。ほほほほほ。ミュラとアキリアのそんな格好、想像しただけで傑作だわね。見てみたいわ」
ぴしゃり、と肌を打つ音が響くが、今度は予想した振動は起こらなかった。
「ううっ、うううっ!」
トュラクスの怒りは限界にまできているようだ。いまや発狂寸前なのだろう。
「おや、どうした、その目は?」
ウリュクセスが挑発するような声を発した。
「私に逆らうのか、トュラクス? では、仕方ない。おまえの代わりにミュラに出てもらうとするか?」
「まぁ、おもしろそう! ねぇ、こうしたらどうかしら? ミュラとあの女戦士を出すのよ」
エリニュスの言葉に、トュラクスの身体がかすかに動いたのがリィウスにはわかる。
「ミュラとアキリアでは戦いにならんだろう?」
眉をしかめるウリュクセスに、
「馬鹿ねぇ、試合をさせるのではなく、二人をまぐあわせるのよ」
「ほう?」
トュラクスのかすかな唸り声がリィウスの耳に響いてくる。獅子の断末魔の咆哮のようだ。
「女戦士に道具をつけさせて、客たちのまえで二人を抱き合わせるのよ」
「それは……さぞ面白いだろうな。かたやローマ有数の美女戦士、かたやトュラクスの恋人として名を知られた美人女優。趣きのまったく違う美女二人にそんな真似をさせたら、さぞ見物人が沸くだろうね。ふっ、はっ、はっ、はっ」
ウリュクセスが感に堪えないというふうに笑う。つられたようにエリニュスも笑う。まさに魔物と魔女の哄笑だった。
「ほほほほほ。トュラクスの相手をしてきたぐらいだから、道具は大きなものにしてあげて。あの娘、おとなしそうな顔してけっこう好き者だわ。女だろうが、男だろうが見境なしで、きっと雌犬のような声をあげて女戦士にむしゃぶりつくわよ。賭けてもいいわね。あの、アキリアだったかしら? 女戦士の方も慣れているもの。前にも愛人と楽しむのを見たことがあるわ。二人ともそれは夢中になって。ほほほほほ。ミュラとアキリアのそんな格好、想像しただけで傑作だわね。見てみたいわ」
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