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八
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エリニュスは一瞬たじろいだが、血を舐めたかのような赤い唇は、笑みの形をつくっている。タルペイアや先ほどのアキリアもなかなかの烈婦だったが、この女はまた凄まじい気性を持っているようだ。リィウスは新たに背に汗が走るのを感じた。
だが、じきに意識はべつの方向に向く。
(あっ、トュラクス、暴れないでくれ……)
心のうちで哀願するような言葉を吐いてしまうのは、彼がこれ以上エリニュスを刺激するのが怖いせいもあるが、なにより微妙な震えがリィウスを責めたてるのだ。
俯けた顔やトュラクスの胴をきつく挟みこむようにしている白い脚に何かを感じたのか、エリニュスが痛快そうに首を反らして、笑った。
「ほほほほほほ。馬の乗り心地は良さそうね、リィウス。そんなに気持ち良さそうな顔をしないでちょうだい。見ている私の方が恥ずかしくなるわ」
こんな女に人前で名を呼ばれるのは本当に嫌だった。せめて目を閉じて今の現実から逃れようとしたが、それを許さない、というように女の細い手がリィウスの顎に伸びて来た。
「ちゃんと目をあけてご覧なさい。どう、お前の馬は? 悪くないでしょう。悦んでいるじゃない、ここが、」
「ああっ!」
惨めな悲鳴があがってしまう。
恥ずかしいことに快楽を示しはじめていた分身が、エリニュスの手にやんわりと包まれてしまう。
「まぁ、可愛いこと」
嬲るような声にリィウスはまた頬を熱くした。
「は、放してくれ!」
女の手に力を感じて、悲鳴をあげそうになった。
相手はそんなリィウスを笑い、視線をウリュクセスに向けた。
「乗っているだけでは、物足りないでしょう? 前回の女奴隷のように、走らせてみたらどう、ウリュクセス?」
訊かれたウリュクセスが苦笑する。
「今夜はさすがにそれは許してやってくれ。まだリィウスはこの手の乗馬が得意ではないのだ」
「あら、それでは見ている私の方が物足りないわ。それにリィウスだとて、こんなに悦んでいるのに……、ほら」
先端を指で弄られ、リィウスは泣きじゃくりそうになった。こらえぬくことのできなかった涙が頬に流れる。
だが、じきに意識はべつの方向に向く。
(あっ、トュラクス、暴れないでくれ……)
心のうちで哀願するような言葉を吐いてしまうのは、彼がこれ以上エリニュスを刺激するのが怖いせいもあるが、なにより微妙な震えがリィウスを責めたてるのだ。
俯けた顔やトュラクスの胴をきつく挟みこむようにしている白い脚に何かを感じたのか、エリニュスが痛快そうに首を反らして、笑った。
「ほほほほほほ。馬の乗り心地は良さそうね、リィウス。そんなに気持ち良さそうな顔をしないでちょうだい。見ている私の方が恥ずかしくなるわ」
こんな女に人前で名を呼ばれるのは本当に嫌だった。せめて目を閉じて今の現実から逃れようとしたが、それを許さない、というように女の細い手がリィウスの顎に伸びて来た。
「ちゃんと目をあけてご覧なさい。どう、お前の馬は? 悪くないでしょう。悦んでいるじゃない、ここが、」
「ああっ!」
惨めな悲鳴があがってしまう。
恥ずかしいことに快楽を示しはじめていた分身が、エリニュスの手にやんわりと包まれてしまう。
「まぁ、可愛いこと」
嬲るような声にリィウスはまた頬を熱くした。
「は、放してくれ!」
女の手に力を感じて、悲鳴をあげそうになった。
相手はそんなリィウスを笑い、視線をウリュクセスに向けた。
「乗っているだけでは、物足りないでしょう? 前回の女奴隷のように、走らせてみたらどう、ウリュクセス?」
訊かれたウリュクセスが苦笑する。
「今夜はさすがにそれは許してやってくれ。まだリィウスはこの手の乗馬が得意ではないのだ」
「あら、それでは見ている私の方が物足りないわ。それにリィウスだとて、こんなに悦んでいるのに……、ほら」
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