燃ゆるローマ  ――夜光花――

文月 沙織

文字の大きさ
242 / 360

しおりを挟む
「トュラクス、なにをぼんやりしている? エリニュスだけに任せていてはいかんだろう。おまえも協力してやれ」
 ウリュクセスが残酷にもトュラクスの尻を蹴った。駄獣にするように。トュラクスの黒目に一瞬殺意が光ったが、数秒のち、トュラクスは逞しい胴を揺らしはじめた。
 リィウスは堪らなくなった。
「ああ! やめ、やめろぉ……!」
 エリニュスの手、トュラクスの背。壮絶な熱と刺激を、若芽と蕾に感じて気が狂いそうになる。
「はぁぁぁぁっ!」
 涙があふれて止まらない。
 頭上で縛りあげられている腕を死にもの狂いで動かしてみたが、逃れることもできず、エリニュスとトュラクス二人同時の責めに絶叫をはなった。
 それを見てウリュクセスが笑う。

「ああっ、あああっ、ああっ! 駄目だ、もう駄目」
 そこにいたのは、もはや人間ではなかった。
 ウリュクセスやエリニュスは勿論、リィウスとトュラクスも人の姿から離れてしまった。
 そこにあるのは、魔畜か神獣か。見ている者たちは呆然となった。
 リィウスがトュラクスを犯しているのか、トュラクスがリィウスを犯しているのか。互いに競いあって己を傷つけているような、奇妙で不気味で痛ましく、それでいて壮絶に美しい姿となって二人は悶えた。
「ほほほほ。トュラクス、おまえまで感じているの?」
 エリニュスが勝ち誇った顔で身をかがめ、トュラクスの下半身に手を伸ばした。
「ううっ!」
 羞恥や恥じらいなど生まれたときから持ったことのないような女は、平然と男の命を玩弄する。
「憎らしいわぁ、この道具であの小娘と遊んだのね。私を無視して、あんな醜女しこめと!」
 実際には、トュクラスの想い人は女優なのだから、醜いわけはないが、エリニュスは浅ましい嫉妬を丸出しにしてここにはいない恋仇をけなす。
 ためらいもなく膝をつくと、エリニュスは本気でトュラクスを指で責めたてた。その顔は浅ましい妄執にとりつかれた狂女そのものだ。
「ううううう!」
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

少年探偵は恥部を徹底的に調べあげられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...