288 / 360
五
しおりを挟む
トュラクスの怒りをふくんだ悲鳴に、リィウスも引きずられるように身体をおののかせた。
あっという間に男たちに力づくで薄衣をうばわれる。白絹のような肌があらわになり、一瞬、獣のような男をひるませた。
恥じらえば、いっそう恥ずかしいだけだと思うものの、人前に肌を晒すことに慣れていなりリィウスには厳しい試練であり、全身の毛が粟肌たつ想いだ。
(おまえの人並み以上の羞恥心は、男の心をそそるわ。それは身を売る者としてはひとつの魅力になるでしょうけれど、おまえにとっては辛いことになるわね)
めずらしく本気で同情をこめてタルペイアが言ったことがあったが、たしかにそうだった。幾度となく衣をうばわれ、屈辱の痛みをたたきこまれても、リィウスの身も心も視線の狼藉に慣れることはなかった。
最初は慎ましやかな良家の令嬢や貴婦人でも、身を売るうちに羞恥を振り捨てていくものだそうだが、リィウスはそうならなかった。
(柘榴荘の女たちには、男の気をひくために恥ずかしがる振りはするようにと教えなければならなくなるぐらいだけれど、おまえにはその必要はまったくないわね。でも、そうなると、おまえは客を取るたびに辛い想いをしなければならないでしょうね。羞恥心をなくすことができないのだもの)
タルペイアが言ったとおり、今もリィウスは卑しい男たちの粘つく視線を受け、身を切られる痛みに耐えなければならない。
だが、そんなものはまだ序の口だった。
「さぁ、たがいにお尻を突き出しあうがいいわ」
あざけりをこめた女の残忍な声が響く。
「ほら、さっさとしろ。手こずらせるな」
男たちのなかの頭らしき兵が、乱暴にリィウスの腕をひっぱる。
「さ、さわるな!」
リィウスは必死に抗ったが、多勢に無勢でどうにもなるものではない。
どのみち、言われるままにするしかないことは頭ではわかっているのだが、どうしても心は乱れて抗わずにいられないのだ。奴隷契約をむすび、男娼修行をしたリィウスですらそうなのだから、生まれながらの戦士であるトュラクスの心の乱れはさらにはなはだしい。
あっという間に男たちに力づくで薄衣をうばわれる。白絹のような肌があらわになり、一瞬、獣のような男をひるませた。
恥じらえば、いっそう恥ずかしいだけだと思うものの、人前に肌を晒すことに慣れていなりリィウスには厳しい試練であり、全身の毛が粟肌たつ想いだ。
(おまえの人並み以上の羞恥心は、男の心をそそるわ。それは身を売る者としてはひとつの魅力になるでしょうけれど、おまえにとっては辛いことになるわね)
めずらしく本気で同情をこめてタルペイアが言ったことがあったが、たしかにそうだった。幾度となく衣をうばわれ、屈辱の痛みをたたきこまれても、リィウスの身も心も視線の狼藉に慣れることはなかった。
最初は慎ましやかな良家の令嬢や貴婦人でも、身を売るうちに羞恥を振り捨てていくものだそうだが、リィウスはそうならなかった。
(柘榴荘の女たちには、男の気をひくために恥ずかしがる振りはするようにと教えなければならなくなるぐらいだけれど、おまえにはその必要はまったくないわね。でも、そうなると、おまえは客を取るたびに辛い想いをしなければならないでしょうね。羞恥心をなくすことができないのだもの)
タルペイアが言ったとおり、今もリィウスは卑しい男たちの粘つく視線を受け、身を切られる痛みに耐えなければならない。
だが、そんなものはまだ序の口だった。
「さぁ、たがいにお尻を突き出しあうがいいわ」
あざけりをこめた女の残忍な声が響く。
「ほら、さっさとしろ。手こずらせるな」
男たちのなかの頭らしき兵が、乱暴にリィウスの腕をひっぱる。
「さ、さわるな!」
リィウスは必死に抗ったが、多勢に無勢でどうにもなるものではない。
どのみち、言われるままにするしかないことは頭ではわかっているのだが、どうしても心は乱れて抗わずにいられないのだ。奴隷契約をむすび、男娼修行をしたリィウスですらそうなのだから、生まれながらの戦士であるトュラクスの心の乱れはさらにはなはだしい。
0
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる