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 そのあとも、延々と執拗な責めはつづいた。
「エリニュス、もうそろそろ休ませてやってはどうだい? 明日の夜には宴の主役を担ってもらう二人なのだし」
 ウリュクセスがそう言わなければ、この烈婦はまだしばらく飽きもせず、二人を嬲りつづけたろう。
「仕方ないわね。私も疲れてきたから、今日はこれぐらいにしてあげるわ。二人ともよく休むといいわ。明日の夜は、またがんばってもらうことになるでしょうからね」
 そう言うと、エリニュスは突然、すべてに興味をうしなったかのように、冷めた表情で去っていく。
 彼女の背中が見えなくなると、ウリュクセスが目配せし、カニディアが二人に装着されていた道具を外そうとした。
 やっと二人をつないでいた戒めが外される。 
「んっ……」 感じやすいリィウスは、戒めを解かれるときにも動揺してしまう。
 カニディアは真剣な顔で、驚くほどに優しく慎重な手つき道具を取り外す。ちょうど二人のあいだに片膝ついて、まるで二人の主に仕える忠実な奴隷のような様子だが、見ている者は不思議とだれも笑わない。
「いいね、抜きますよ。二人とも、ゆっくりと前へ一歩動いてください。ゆっくりと」 
 抜き取られる瞬間、リィウスは目を閉じたまま首を横にふった。トュラクスの方は、かすかに息をこぼす。
「二人とも疲れたでしょう。身体を洗わせるように奴隷に命じておこう」
 マヌグスはカニディアについては、ときどき屋敷に出入りしている商人らしき男、という認識しかないが、ウリュクセスに気に入られているらしく、こうやって細かいことにも口をはさむ権利を暗黙の了解としてウリュクセスから認められているようだ。
 普段は数日に一回、濡らした布で身体を拭くぐらいだが、宴に出す前には念入りに身体を洗わせる。金持ちの有力者に求められることもあるからだ。本当にそういうところは子飼いの男娼あつかいなのだ。
「俺が手伝いましょう」
 マヌグスは進み出た。以前にも一度トュラクスの入浴の手伝いをしたことがある。用心深いウリュクセスは逃亡を怖れて、地下牢からトュラクスを連れ出すときは、抵抗できないように後ろ手で手首をしばったままでいるよう決めている。そのため、介添えが必要なのだ。
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