昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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午後の夢 四

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(充分わかっていますよ。美しい中尉殿を存分に可愛がってあげようというのです)
 上級生たちがまわし読みしていた小説雑誌に出てくる悪漢のような台詞を吐いて、さすがに夢のなかとはいえ望は気恥ずかしくなる。
 だが、止まらない。
(なんてこと! なんてことを! 望君、君は悪魔に魂を奪われているんだ!)
 仁はクリスチャンだった。それも彼に向こうの血が流れているという噂の根拠になっているが、仁が耶蘇やそ教徒だという事実は、望にはいっそう彼を神秘的に思わせ、神聖化させ、さらなる欲望をあおる原因となっている。
(そうかもしれませんね)
 大人びた笑いを浮かべ、強引に相手の下肢をあらわにしてやる。
 胸元とおなじく白い臀部が、望の目を刺す。
 少年の望の知っているかぎりでは、美しい肌といえば母や叔母、老いたとはいえ都であるが、彼女たち大人の女の肌とはまたちがった青年の美肌というものに、望は情欲をわすれて一瞬、呆然としてしまう。
(あ、ああ、み、見るな!)
 軍靴ブーツを履いているので、ズボンを完全に脱がすことができないが、中途半端なまま脱げきれないでいるのが、またなんとも煽情的だ。
(ああ、なんて綺麗な肌なんだろう)
 うっとりとして白い太腿に頬ずりすると、仁のひんやりとした肌が引き締まって緊張と恐怖をつたえてくる。
 四つん這いにしている仁の背後から、望はゆっくりと抱きつき、自分の手を仁の前方にまわす。
(あっ……!)
 まだまだ未熟でつたないやり方ながら、仁の若茎に刺激を与えてみる。
 体格差を考えれば、現実には簡単にできることではないが、淫夢のなかではやすやすとできてしまう。
(ううっ……!)
 仁を反応させることができるのか、やや心配だったが、仁は人一倍感じやすい身体らしく、望が安心できるほどに応えてくれた。
それもすべては望の都合のよい夢でしかないのだが、望は嬉しかった。
(仁さん……熱くなっている……。嬉しい)
 うっとりと彼の背に頬ずりする。
(ああ、ゆるして! もう、ゆるしてくれ!)
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