昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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午後の夢 五

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 ひとまわり年下の相手に懇願する仁を、女々しい、惰弱と嘲笑わらうことはできない。むしろ仁の白い背から、どこか殉教者めいた悲哀がただよってきて、望の欲は一瞬えそうになる。
 だが、憐憫よりも、白珠の肌と肉への欲望が勝った。
(駄目です! さぁ、もっと脚を広げて)
(む、無理だ……! いやだ……)
(そういうことを言うなら、お仕置きですよ)
 夢のなかとはいえ、そんな言葉が自分の口から出てくるのが不思議だ。
 だが、妄想のなかで望は思うままに手を振りあげる。
 ぴしゃり!
(ああ!)
 臀を打つ音とともに仁の悲鳴が響く。
 妄想のなかの望はどこまでも雄々しく酷く、逆に仁は嫋々としてなまめかしく、はかなげで、乙女のように啜り泣く。
(どうですか、仁さん? お仕置きの味は?)
(うううう……!)
 年下の望に尻を打たれるという屈辱に、仁がむせび泣く。
 その啜り泣きの声を心地よく聞きながら、うつつの世界の望は四肢をつっぱらせそうになった。
 最後のぎりぎりのところでとどまり、汚さないようにと、ズボンと下穿きを膝まですべて下ろした。
 やわらかい風と陽光を肌に感じ、誰もいないとはわかっていてもあふれる羞恥をどうにか忘れ、今度こそ全身をつっぱらせる。
 夢だと気づきながら夢を見て、現実よりも大切な今の一瞬を、望は黄金の木漏れ日につつまれ、謳歌した。
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