昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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牡丹の闇 十

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「くぅぅ……」
 辛そうな声。縛られている身体がびくびくと震えている。
「それでは駄目だ。もっと脚を開けろ。こうだ」
 言うや、忠はみずから両手で仁の脚をひらかせる。
「ああっ」
 辛そうな羞恥の悲鳴が夜を裂く。
 脚は強引に開かされて、秘奥にある酷い道具の一部がかすかに見えた。
 どくん! と、望の胸のなかで心臓がふるえた。
「あっ、ああっ、ああっ……あああ……」
 困惑と羞恥に仁が太腿をつっぱらせて震えている。
「おお、出て来たぞ。その調子だ。ほら、もっとりきめ!」
 仁が嗚咽した。
「ああっ……あっ、ああっ……」
 望は襖一重向こうの世界で展開される、あまりにも異様で、残酷で、それでいてひどく蠱惑的な見世物にのめり込んでしまっていた。言葉は悪いが、たしかにこれは見世物だった。見るためならどれほどの金品を払ってもかまわないと思わせる見世物だ。
 あらわになっている仁の肌はほんのりと色づき、行灯のともしびに照らされ、うっすら玉の汗をはりつかせていく。
 視界に認識できる部分が大きくなり、今やはっきりと白い臀部から伸びる道具の存在があきらかになった。
「はぁっ……!」
 ぽろりと、その陶器の道具が仁の身体から離れそうになった、まさにその刹那、
「おっと、まだだ。ほうら、もう一度がんばってみろ」
「ああっ!」
 勇が道具をもとのところへ戻したのだ。
 すべて出たか、という瞬間、勇は残酷にも、仁が血の汗を浮かべて放出した責め具を、体内にもどしたのだった。
的確な動作だが、あまりにも急激だったため刺激が強く、仁は数秒無言だった。
「ほら、どうした? もう一回やってみろ」
「い、いや! もう嫌だ! こ、これ以上私を辱しめてなんの得があるのだ?」
 仁がこらえきれないというようにのけぞり、首を横に振ってうったえた。
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