昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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征服者の夢 四

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「なぜ? ほら、あなたのここは、俺を欲しがっている」
 あなた、と呼んだ瞬間、望の欲望はさらにたける。自分の方が香寺より大人のような錯覚がする。いや、この瞬間、望は香寺よりも歳を経た大人の男になっているのだ。
「うう……」
 香寺の方が非力な幼子のようだ。
「もう一本、入れましょうか?」
「や、やめてくれ!」
「入れたい……」
「ああっ!」
 本心では望もハラハラしているのだ。壊してしまわないように、傷つけないように、痛みをあたえないように、細心の注意をはらっていることを、香寺にさとられたくなく、あえて乱暴な口調になる。
「動くなよ。痛い思いはしたくないだろう?」
 指はあたたかなねっとりとした肉の壁につつまれ、望自身も恍惚としてきた。
「うっ……、ううっ……。あっ、ああっ、そ、そんな……、も、もう……」
 喘ぎ声と、はげしい呼吸の音が室に響く。
「いいか? いいんだな?」
 時間をかけて香寺の蕾のなかで水音をたてさせ、やがておもむろに引き抜いた。
 すでに望は、左手で前をあらわにし、次の準備に入っていた。
「今度は……俺自身を先生のなかに入れるよ。覚悟はいいですか? いや、覚悟はいいな?」
「ああっ……! だ、駄目だぁ!」
 最後の砦を突き壊されそうになった瞬間、香寺は思いもよらぬ力を出して、逃れようとあがいた。
 望は一瞬あわてたが、咄嗟に背後からおさえつけた。
「そんな我が儘を言うなら、雨沼さんに言いつけま……、言いつけるぞ!」
 さらに耳元で脅す。
「雨沼さんとの契約を破ったら、先生だけではなく、先生の家族も困ることになるんじゃないのか? 今の実家もあけわたすことになるんだろう? そうなったら、あんたのお母さんはどうするんだよ?」
 こんなことを言う自分は卑怯で最低だと、以前の望なら恥じ入ったかもしれないが、今はなんとも思わない。
 強い者が、弱い者を食らうのは当たり前のことなのだ、とすら思う
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