昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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黄昏の季節 四

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 あるとき奴の親父が見て、さすがに怒り棍棒持って追いかけまわした。そうやっているのを、俺がたまたま見かけて、ちょうど兄貴が力仕事に向いている下男が一人欲しいといっていたので、連れてきたのだ。
 貧困と無知と下劣さの象徴のようなこの野人に、知的で上品で楚々とした雰囲気をもつ香寺を凌辱させる――。それは堪らなく嗜虐的でおもしろく、望の欲望をあおる。
「や、やめてくれ! たのむから……! 後生だからゆるしてくれ……!」
 香寺は半泣きになっていた。
 美しく賢く、かつては憧れ敬い、愛しいとすら思うものを、こういう悪趣味きわまりないかたちで責めることに、望の身体はたかぶってしかたない。
 美しい者を醜い者に汚させることに歓喜をおぼえる自分は、やはり尋常ではないのだろう。自覚はあるが、止められない。
「いや、いやだ!」
 内心で望が‶フランケンシュタイン〟と呼んでいる牛雄の縦長に大きい顔は、欲望にゆがんでいっそう醜く見え、分厚い唇の端には、きたならしげに唾液が光っている。
 こんな男に触れられるもの嫌だというふうに香寺が嫌悪の表情を見せて抗うその様子がなんともいじらしく、彼の生まれもった品位がしのばれて、望はさらに香寺に情愛を感じてしまう。
 愛しく思うのなら、どうしてこんなことをするのか、と常識的な人なら訊くだろう。望自身、自分でもわからないのだが、こうするしかないのだ。
「ああっ、やめっ、やめろ!」
 牛雄が大きな身体で香寺を押さえつけ、着衣を剥いでいく。
 じきに香寺は雪白の、女以上に白くなまめかしい脚をあらわにした。
「相変わらずきれいな肌ですね、先生。なんて色が白いんだろう。この肌……まるで処女雪のようだ」
 うっとりと、望は香寺の太ももを撫でた。
「うう……」
 教え子に嬲られるという屈辱に、香寺は悔しげに顔をゆがめ、瞳にはうっすら光るものを見せた。べつにそれが理由ではないが、さらに下穿きも脱がそうとする牛雄を望は制した。
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