昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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黄昏の季節 十二

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「ああっ、よ、よせっ、やめろ! も、もうさわるな!」
「往生際が悪いですね、先生。もう何回もしたのに、まだそんな子どもみたいなことを言って僕を困らせようとするのだから」
 わざとらしく唇をとがらせ、拗ねたような顔をつくってみせる。自分でも、たちが悪くなってきたなと内心、望は苦笑した。
「じっとして……」
 聞き分けのない幼児をたしなめるように、甘く囁いた。
「よ、よせ! 駄目だ! ああっ、やめ、やめ……ろ!」
 濡らした先端を、そっと香寺の秘部にあてがう。
 あらかじめ多少、ほぐしていたものの、蕾はやはりまだかたくなだった。
 香寺そのもののように、含羞に固くなり、咲き開くことを拒んでいるかのようだ。
 望は、きはしなかった。
 かたわらで獣のような荒々しい呼吸をしている牛雄を目で牽制し、すでに遊び慣れたような余裕を見せつけた。
「うっ……」
 香寺はうつぶせにしている額を座面につけたまま、苦しげに呻く。
 蕾にあてがわれた固い異物は、香寺が恐れている動きはせず、ただ、そこにあてがわれただけだった。
 しかし、これは、若い香寺にとっては辛いことになる。
「くぅ……」
 象牙の道具は、蕾に当てられたものの、まるで迷うように、遠慮しているかのように、動くことがない。
「う……、うう……!」
 後ろ手でしばられている香寺の手が、なにかを求めるかのように動く。
 望は香寺の微妙な変化に気付きながら、気づかないふりをした。
 潤滑油には、催淫剤がふくまれていた。
「どうしたんですか、先生? そんなにお尻をもじもじさせて」
 理由を知っておりながら、望はそんなことを訊く。
 ぐい、と道具の角度を変えてみる。
「あっ……、ああっ……」
 おあずけくっていたのが、いきなり過剰な圧力をあたえられ、香寺は動揺した。目元が濡れてきらきらしている。漆黒の絹糸のようなまつ毛も濡れて、いじらしい。
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