昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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黄昏の季節 十三

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 たまらなくなって望は香寺の腰を撫でる。
「肌がしっとりして、熱くなっている……」
 尻の薄い肉をつまむようにしてみた。
「うっ……!」
「先生、気持ちいいんですか?」
 香寺が首を横に振って否定するが、汗をはじく肌はほんのり薄桃色に変わってきている。 
「目の毒だな……。なんて、」
 美しいのだろう、と思いつつ、望が吐いた言葉は、
「いやらしい」
 あえて香寺を傷つけ侮辱する言葉を選ぶところが、自分でもかなり天邪鬼なのだと自覚しているが、止められない。
 辛そうに喘ぎ、眉を寄せる香寺様子はますます望の狩猟本能を刺激してくる。
「入れますね。先生、いいでしょう?」
「ああっ、やめ、やめてくれ……!」
 望は香寺の切なげな声を無視して、望は道具をあやつる右手に力を込めた。
「はぁ……――!」
 性具挿入の恐怖と屈辱に香寺が全身でおののく。
 その様子をおもしろく見つめながら、望は自分の男根のかわりに道具を押し込んだ。
「うう……!」
 香寺が呻くたびに、手を止め、すこしずつ、すこしずつ、ゆっくりと押しすすめる。
「あっ、ああっ、や、やめっ、止めて……くれ……」
 涙声で訴えてくる香寺を無視し、望はおのれの欲望を優先する。
「苦しくはないでしょう、先生? ほら……感じている」
 香寺自身は、形を変え、悦びをあらわしかけているのだ。
 望は年上の男のそれを、いつくしむように、伸ばした右手にやさしく包みこんだ。
「うーっ……」
「先生、すごい……、感じている。ほら、牛雄、よく見るといい。といっても、これでは見づらいな。つぎは僕自身を入れてあげますよ、先生。そのときは、牛雄にもよく見せてあげるといい」
 香寺の嗚咽が室に響いた。
 どれほど香寺が泣いても、望は許す気はない。
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