昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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金襴の新床 六

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 祖父に命じられなくとも望はそうしたろう。
 すでにやり方は香寺のときに学んでいた。
 まずは人差し指を、ゆっくりと第一関節まで蕾に押しこむ。
「あっ……! ああー!」
 そばの勇が苦笑した。
「こら、仁、貴様かりにも軍人だろう? 外国からの客人もいるまえで、あまりに情けないぞ。これぐらいたいしたことないだろう、いつもはもっと太いのを咥えこんで悦んでいるではないか」
 勇は、ぱしん、と平手で仁の白い尻を、まるで子どもに罰でもあたえるように打つ。
「ああっ!」
 仁が恥辱に身もだえする。
 勇への腹立ちもあるが、それ以上に悶える仁に情欲がつのる。
 望の胸は、愛と欲望で炸裂しそうだ。
 勇への苛立ちは、実は自分の役割を横から奪うことにたいしてなのだ。
 本当は、望がしたいことなのだ。望自身で仁をいたぶってやりたいのだ。
 仁のふるえる肌に、屈辱の汗が増える。屈辱にふるえて仁はいっそう美しさを増すようだ。
 その姿をもっとよく見たく、望はいったん指を抜いた。
「あっ……」
 心なしか、蕾が寂しげに、物欲しげに潤んで見えるのが少しうれしい。
 望が離れた瞬間、仁の両太ももが閉じられそうになったが、勇がそれをゆるさなかった。
「い、いや……」
 見られていることを自覚しているのだろう、仁がいっそう切なげな声を出す。
 美しい顔は伏せられているので見えないのが残念だが、うなじから色気が炎のように吹きあがって、望を圧倒する。
 胴のあたりにからまって脱げきれない白い着物は、ちぎられた純白の花びらのようだ。
 麗しき華族軍人の、あられもない姿に望はしばらく酔った。
 祖父も沈黙しているのは、やはり仁の美しさに見とれているからだろう。客たちも静まりかえっている。
「ああ……」
 その声に我にかえった望は行為を再開した。
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