昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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金襴の新床 五

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 仁の抗議の声も望ではなく勇に向かう。それもまた無念だ。
「そら。舌で存分に湿らせてやれ」
 勇に指示されることに、内心の不満をおさえ、望は動きをつづけた。
 出した舌に唾液をため、仁の繊細そうな蕾にそそぐ。
 聞こえてくる仁の嗚咽が耳に心地よいのだから、我ながら始末におえないとは思うものの、舌の動きは止まらない。
 普段は怜悧でものしずかで、凛とした風情の仁を、今こうして舌で嬲り、はずかしめ、泣かせているのかと思うと激しい嗜虐の悦びが望の全身をかけめぐる。
 香寺を犯したときの興奮と歓喜をしのぐものだった。章一とのちゃちな情事などとは比べようもない。
 大人の男を、それも誇りたかき貴公子を凌辱する楽しみに望は酔った。
 長年慕いつづけた相手である。思えば、仁によって望は、生まれてはじめて人を想う喜びと、いらだちを教えられたのだ。
 愛しいという気持ちと憎いという気持ちが望をいっそう過激にさせる。もしかしたら、望にとっては、愛しさと憎らしさもまた、おなじ感情なのかもしれない。
 愛しいと想うものを傷つけずにいられない。傷つけ、貶めるというやりかたでなければ愛せない自分は、ある意味呪われた存在なのかもしれない……、と望が考察するのはずっと後になってからのことだったが。
「うっ……」
 仁の白い太ももを両手で握るようにしておさえ、濃い桜色にいろづいている蕾を望は舐め上げる。
「はぁっ……!」
 ひどく艶めかしい声をあげて、仁は背をしならせた。
「あっ、ああっ、ああっ……! の、望、やめて、もう、やめてくれ!」
 泣きじゃくらんばかりにして懇願する仁の声が、たまらなく望を煽る。
 したたらんばかりの唾液の慈雨を、かたくなな蕾に振らす。受け止めた蕾は、潤って色を濃くしていく。
「充分濡らしたら、こんどは指でほぐしてやれ」
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