昭和幻想鬼譚

文月 沙織

文字の大きさ
147 / 190

金襴の新床 十

しおりを挟む
 年長の美しい人に憧れていた少年はそこにはもういない。そこにいるのは、欲しい相手をとことん奪いつくす一人の男、いや一匹の雄だった。
「いく、仁、いくよ!」
「ああっ、ま、待って、待ってくれ!」
「待てない!」
「あっ、ああ!」
 望は全身かけて仁の身体に、己の、あらんかぎりの情熱をぶつけた。
「あああっ……!」
 客たちの視線がねばつくのを感じた。
 皆、貴顕の出であるらしく、下品に声をかけてきたり嘲笑したりはしないが、欲望のこもったねっとりとした視線と、熱くなってきた息は嫌というほど感じる。
 望はそのわずらわしい彼らの思念を振りはらうようにして、あらためて腰に力を入れた。
「ああっ、いやっ、いやだっ!」
 あがきもがく仁を、勇が上から押さえつける。
 望は勇に対抗するように、激しく仁の臀部を平手で打った。この男は、自分のものだと勇や客たちに主張するように。
「ひっ!」
 苦痛よりも衝撃と屈辱に仁が声をあげる。
 かまわず、望は仁の右脚を引っ張った。
「い、いやぁ!」
 犬が用を足すときのような姿勢をとらされた仁は、ほとんど本能的に足をはねあげ抵抗した。
 さすがに望はたじろいだ。
 宙を蹴る仁の足を押さえつけたのは勇の手だ。
 望の意に沿うように、勇は仁の右足をさらに高く引っ張りあげ、仁に羞恥の悲鳴をあげさせる。
 二人の男に辱められた仁の嗚咽が室にひびく。
「いや! いやぁ! ……ああっ、ああっ……!」
 望は下腹に力を込めた。
「ああっ、ああっ……いや、いやだ!」
 仁の苦悶の声はつづき、やがて、その声は甘味を帯びだし、ひときわ高い声があがった。
 
 ああっ……! あああっ……!

 この夜、望は相馬家の当主となり、仁は望の‶贄〟に堕ちた。 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

処理中です...