昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 一

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「ああっ……!」
 勇の言うように、仁の身体は兆しはじめていた。連日連夜強いられた行為は、仁のなかに、こういった加虐によって情欲をあおられるという秘めた性を浮き彫りにし、高めたようだ。
 仁はやるせなさそうに瞳を潤ませ、いっそういたたまれなさそうに羞恥に震えている。その様子がまた見る者の被虐欲をあおるのだ。
 調子に乗って、勇が指を微妙な力で動かす。
 かすかな圧迫感が仁の額に汗を浮かす。
 薄い闇に、仁のこぼした吐息が溶けていく。
「おい、困った奴だな。すっかり濡らしてしまって。お漏らししたようだな。見てみろ、望」
「ああっ……」
 逃げることもできず勇にいたぶられている仁に、望は近づいた。
「おや、本当だ。仁さんてば……。いけない人だな」
「うっ……」
 まだ浅い闇、仁のあられもない姿を、薄墨の霞をまとったようにして男たちの目に晒し、仁の白い身体は、なまじ光のもとで見るよりも、いっそう淫靡で官能的に見える。
「せっかく巻いてあげたのに、こんなに汚してしまって……。ふふふ。仁さんてば、見た目は非の打ちどころのない貴公子なのに、実は淫らではしたない人だったんですね。驚きましたよ」
 わざとらしく笑いながら、望は美女を嬲る悪漢のような言葉をはなち、ねちねちと仁を責めたてた。全身に歓喜と快感がはしる。
 勇がしたように、指を帯にからませ、きつく引っ張る。
「や、やめてくれ……」
 仁が眉を寄せてあえいだ。
「痛いですか?」
 悲しげに仁は首を横に振る。
 痛みはないが、引っ張られることによって圧迫感が生じ、肉体のもっとも敏感なところが刺激されるのだろう。
 それを察して、望は図にのって、ますますきつく引っ張る。
「あっ……。ああ、」
 逃げたくとも逆らいたくたもできず、仁は、言われたとおりに自分で裾を持ちあげたままの無様な恰好で、年下の望の責めを受け入れるしかない。
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