昭和幻想鬼譚

文月 沙織

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月下凌辱図 八

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「あっ……、ああっ、も、もぉ……、もぉ、やめ……」
 執念ぶかく、かつて味あわされた片恋の苦しみの仕返しをするように、望は仁を責め嬲る。
「おっと」
 崩れ落ちかけた仁の身体を、勇の手が支える。息も絶え絶えな仁を見て、望は自分の裾をまくりあげた。
 望の身体も、もはや我慢できないところまできていた。
 おもむろに道具を抜くと、仁が切なげに身をよじる。
「物足りないでしょう? 今、入れてあげますね」
 言いつつ、ほろ苦い想いを噛みしめた。
 大人に近づいてきているとはいえ、やはり望の身体はまだ初心なところがある。
 仁はすでに勇によって受け身の悦びを教えこまれているのだ。
 自分では、本当は満足していないのではないかと、望は口には決して出せないが、しばし疑問に思うことがある。 
 そして、そんなどうにもぬぐいきれない劣等感が、ことさら乱暴で残酷なやり方となって仁に向かっていくのだ。もちろん望自身の性格や性癖のせいもあるが。
「仁さん……今、入れてあげますね」
 望の身長に合わせるため、勇が介添えするかたちで、いっそう仁に腰を突き出させる。自然に仁は身をかがめるかたちになり、禁断の園は望のすぐ前にくる。
 望は息をつめ、そして吐いた。
「うっ……」
 仁が歯を食いしばったのが知れた。
 密接している身体から、仁の熱が伝わってくる。
 自身の股間にも熱を感じ、同時に望の体内の泉から、わきあがるような快楽がほとばしる。
「あっ……、ああ!」
 仁のせっぱつまったような声が、耳に心地良い。
 動揺と恐怖と、そして、かすかに甘い響きを秘めたような仁の声に嘘偽りはない。
 自分は仁を犯しているのだ。抱いているのだ。
 望は満足感のあまり、本当に泣いていた。嬉しくて泣くなど、この先の人生にどれぐらいあるだろう。 
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