昭和幻想鬼譚

文月 沙織

文字の大きさ
166 / 190

月下凌辱図 九

しおりを挟む
「あっ、ああっ、あああっ!」
 互いの快楽が高まり、仁の声も大きくなる。
 勇が時折、手を伸ばしてきて、仁の前をまさぐるのがわかり、やや不快になった望はいっそう腰に力を込めた。
「や、やめ、もうやめ……! あー! ああっ!」
 泣くような、叫ぶような仁の声。
 胸がますます熱くなる。これが聞きたかったのだと実感した。
 手を伸ばして仁の胸をまさぐった。同性であっても、この行為はする方もされる方もひどく性的興奮を誘うものだと知った。
「いい? いいですか、仁さん?」
 いや、いや、と仁が首を横に振って泣きじゃくるのもかまわず、望は腰に力を入れた。
 やがて、身体が浮遊するような、眩暈がきそうなほどの快楽が全身にみなぎる。
 望が息をつめたのと、仁の身体が一瞬硬直したのはほぼ同時だった。
 仁がひときわ声高く叫んだ。

 ああっ、あああっ……!


 地面に崩れ落ちそうになった仁を勇の手が支えた。
 仁の身体はぶるぶるとふるえ、苦しそうに息を乱している。
 一方、望は大人の男になった満足感を味わい立ち尽くしていた。
 呼吸が落ち着いてくると、勇の腕のなかで放心している仁に苛立ちと欲望がまた燃えあがる。
 つい先ほどあれほど激しく極めたというのに、望のなかの獣が大人しくなることはない。
 ふと振り向くと、牛雄がぎらぎらとねばつく欲望の目を仁の、月光を吸いとったかのように美しい肌に向けている。
 乱れて崩れた身体だというのに、仁の身体には少しも下卑た感じがない。 
 しばし仁の身体に魅入られていた望は、やがて悪戯を考えついた悪童のような笑みを浮かべ、野蛮な下男を手招きした。
「牛雄、仁さんのこぼしたものを拭いてやれ。おまえの舌でな」 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

処理中です...