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終末の夏 七
しおりを挟むいやあ、あれからいろいろありましてね。
しかし、坊ちゃん、大きくなりましたねぇ。もう立派な実業家だ。いえ、からかってなどおりませんて。
私ですか? まぁ、なんとかやっていますよ。いっときは関西の方に逃げていましてね。京都でしばらく身をかくしておりまして。言葉に、すこし向こうのなまりが混じっていますでしょう。
今では名前を変えて、まぁ、こうしてなんとかやっております。
ちなみに、この人は、今では相馬丑彦という名前でとおっていますよ。
怒らんでください。
別に相馬家の名をかたっているわけじゃない。
まぁ、あんたは相馬家の親戚筋だから、言っておくべきでしょう。
もともとこの牛雄は、いえ、丑彦さんは、相馬伯爵の息子なんですよ。
おや、それほど意外で?
そう、あんたのお祖父さんの実子で、あんたにとっては伯父になるんですよ。
そんなに驚くほどのことですか?
いえ、村の百姓娘に産ませたとかいうのではないんですな。
屋敷のなかで、相馬伯爵の子として生まれたんですよ。まぁ、母親は正妻ではないが……。誰かって? それはまた別のときに。
ですが、生まれて一月で、村の百姓娘が生んだ父無し子と取り換えられたんですよ。その野良娘の生んだ子は、伯爵家の息子として育てられた。それが相馬忠氏。望の父親ですな。
ははははは。驚きのあまり言葉もないようですな。
なんでまたそんなことになったのかと?
生まれたときから、丑彦は普通の子ではなかったのですよ。なんといっても乳母の乳を噛み切ってしまったぐらいでね。華族社会で育てるには向いてないことを御前はさとったようですね。
もともと相馬の家には普通でない者が生まれる宿命でしてね。
相馬家というのは、特殊な家系で、特別な使命を担った、ある意味……宿命の一族なのですよ。
その使命とは……、選ばれし者に仕えることですよ。
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