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終末の夏 八
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西洋の小説で、吸血鬼の話を知っていますかな? そうドラキュラ伯爵の話だ。ブラム・ストカーとかいう作家が書いた。
吸血鬼と呼ばれるような種族は、実際にこの世にいるんですよ。あんたが信じようが、信じまいがね。
ある種の作家は、その鋭敏な感性で、世の伝説にふくまれている真実を具現化しているんですな。
だが、あの小説は多少、事実と違っていてね。
吸血鬼と呼ばれる者たちは、幾度となく迫害され、故郷を逃げださねばならない羽目に陥った者もおおい。だから、彼らは徹底的に正体を隠すもんでね。
あの小説のなかに、ドラキュラ伯爵の下僕のような男が出てくるだろう? レンフィールドとかいったかな? 実は、ああいう男こそが、本当の吸血鬼で、伯爵は隠れ蓑だったのさ。
日本の作品でいうなら『牡丹灯篭』に出てくるお露の侍女お米か。お米こそが、本物の妖しで、お露は侍女が獲物を得るための使い魔なのさ。
そう、ここまで言ったらわかるだろう?
相馬家というのは、そういった本当の吸血鬼たちに仕え、彼らの獲物を狩る手伝いをし、彼らの生活の世話をし、なにかあったときは彼らの身代わりになって死ぬべき一族なんだな。
まぁ、そういう意味では、たしかに特殊な使命を背負った一族というところかな。
そして牛雄こそはドラキュラ伯爵であり、相馬家の連中というのは、皆彼に仕える下僕たちだったということさ。
だが、魔性のものに仕えるものは、おおかれすくなかれ特別な力を持つものもいる。なかには同族にとりこまれていくものもいる。その特別な力のおかげで人間社会では、ずば抜けた体力や、経済力、才能を持てるようになるのだ。まぁ、そういった役得があるからこそ、使い魔は主のそばをはなれられないんだな。
なぜ、私がこんなことを知っているかと?
くくくくく。何を隠そう、私もまた使い魔の一人だからさ。
私は長く牛雄の先代にあたる主人に仕えていたがな。
その主人ももういない。いや、亡くなったわけではないが……。もはや、この国にはいないさ。
さんざんやりたいことをやっていたので、そろそろ別の国に行くことに決めたらしい。
吸血鬼と呼ばれるような種族は、実際にこの世にいるんですよ。あんたが信じようが、信じまいがね。
ある種の作家は、その鋭敏な感性で、世の伝説にふくまれている真実を具現化しているんですな。
だが、あの小説は多少、事実と違っていてね。
吸血鬼と呼ばれる者たちは、幾度となく迫害され、故郷を逃げださねばならない羽目に陥った者もおおい。だから、彼らは徹底的に正体を隠すもんでね。
あの小説のなかに、ドラキュラ伯爵の下僕のような男が出てくるだろう? レンフィールドとかいったかな? 実は、ああいう男こそが、本当の吸血鬼で、伯爵は隠れ蓑だったのさ。
日本の作品でいうなら『牡丹灯篭』に出てくるお露の侍女お米か。お米こそが、本物の妖しで、お露は侍女が獲物を得るための使い魔なのさ。
そう、ここまで言ったらわかるだろう?
相馬家というのは、そういった本当の吸血鬼たちに仕え、彼らの獲物を狩る手伝いをし、彼らの生活の世話をし、なにかあったときは彼らの身代わりになって死ぬべき一族なんだな。
まぁ、そういう意味では、たしかに特殊な使命を背負った一族というところかな。
そして牛雄こそはドラキュラ伯爵であり、相馬家の連中というのは、皆彼に仕える下僕たちだったということさ。
だが、魔性のものに仕えるものは、おおかれすくなかれ特別な力を持つものもいる。なかには同族にとりこまれていくものもいる。その特別な力のおかげで人間社会では、ずば抜けた体力や、経済力、才能を持てるようになるのだ。まぁ、そういった役得があるからこそ、使い魔は主のそばをはなれられないんだな。
なぜ、私がこんなことを知っているかと?
くくくくく。何を隠そう、私もまた使い魔の一人だからさ。
私は長く牛雄の先代にあたる主人に仕えていたがな。
その主人ももういない。いや、亡くなったわけではないが……。もはや、この国にはいないさ。
さんざんやりたいことをやっていたので、そろそろ別の国に行くことに決めたらしい。
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