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花の宿 七
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(逃げないと……)
光則は焦ったが、上司の『彼を怒らせないようしろよ』という声が耳によみがえる。
豊円を怒らせたら、この世界ではやっていけない。
そんな想いが光則を縛ってしまう。
同時に、豊円の手も光則の意志を挫く。
「あ、あの……」
「ここを見てごらん」
豊円が指ししめした紙面では、賊の一人が鈴を手に笑っている。床で這う小蛇を指さすもう一人の賊。
次の項では、鈴が、先ほどの月とおなじほどの大きさで描かれていた。なかに蛇がいることがわかるように。
小蛇の入った鈴は動く。
小刻みに揺れる鈴。
チリン――、チリンーー。
聞こえるはずのない音色が光則の鼓膜に染み入る。
「ふふふ。まるで話に聞く中国の琳の玉のようだね。ほら、『金瓶梅』に出てくる」
光則は頬が熱くなった。そんな性具があることは聞いたことがあるが、勿論見たことはない。そして豊円の言葉に、この鈴がどう使われるか察せられ、全身が熱くなる。
(あっ……!)
ずっと顔を伏せていた光則を、豊円がいきなり膝の上に抱きかかえたのだ。まるで幼児を抱くように。
「せ、先生……!」
「ほら、見てごらん」
まるで小学生の息子に本を読んでやる慈父のように、豊円は光則を抱き寄せ、画集をめくる。
次の項では、貴公子は賊の一人に頭を抑え込まれ、もう一人に尻を上げられるという無残な姿勢をとらされ、鈴をあてがわれていた。
鈴の先には紐がつけられており、押し込まれても、紐を引けば出せるようになっているようだ。
「可哀そうに……辛そうだねぇ」
貴公子が、だろうか。光則だろうか。
豊円の右手は画集に伸び、左手は光則の股間をまさぐる。
自分のされていることが信じられず、光則は、声をあげて反抗することも、豊円の手を振りはらうこともできず、本当に子どものように怯えて豊円の膝上で固まってしまっていた。
光則は焦ったが、上司の『彼を怒らせないようしろよ』という声が耳によみがえる。
豊円を怒らせたら、この世界ではやっていけない。
そんな想いが光則を縛ってしまう。
同時に、豊円の手も光則の意志を挫く。
「あ、あの……」
「ここを見てごらん」
豊円が指ししめした紙面では、賊の一人が鈴を手に笑っている。床で這う小蛇を指さすもう一人の賊。
次の項では、鈴が、先ほどの月とおなじほどの大きさで描かれていた。なかに蛇がいることがわかるように。
小蛇の入った鈴は動く。
小刻みに揺れる鈴。
チリン――、チリンーー。
聞こえるはずのない音色が光則の鼓膜に染み入る。
「ふふふ。まるで話に聞く中国の琳の玉のようだね。ほら、『金瓶梅』に出てくる」
光則は頬が熱くなった。そんな性具があることは聞いたことがあるが、勿論見たことはない。そして豊円の言葉に、この鈴がどう使われるか察せられ、全身が熱くなる。
(あっ……!)
ずっと顔を伏せていた光則を、豊円がいきなり膝の上に抱きかかえたのだ。まるで幼児を抱くように。
「せ、先生……!」
「ほら、見てごらん」
まるで小学生の息子に本を読んでやる慈父のように、豊円は光則を抱き寄せ、画集をめくる。
次の項では、貴公子は賊の一人に頭を抑え込まれ、もう一人に尻を上げられるという無残な姿勢をとらされ、鈴をあてがわれていた。
鈴の先には紐がつけられており、押し込まれても、紐を引けば出せるようになっているようだ。
「可哀そうに……辛そうだねぇ」
貴公子が、だろうか。光則だろうか。
豊円の右手は画集に伸び、左手は光則の股間をまさぐる。
自分のされていることが信じられず、光則は、声をあげて反抗することも、豊円の手を振りはらうこともできず、本当に子どものように怯えて豊円の膝上で固まってしまっていた。
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