艶夢百景

文月 沙織

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闇夜の夢 六

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 盗賊の意味するところを察して光経は絶句した。
「こやつ!」
 怒ったのは豊久だった。
 だが、豊久が男に向かっていく前に、背後にいた盗賊の手の方が早かった。手下の男は棍棒のようなものを手にしており、豊久はそれで頭を殴られたようだ。鈍い音が響いた。
「うっ……!」
「豊久!」
 光経は豊久にかけよろうとしたが、力強い手に肩をつかまれ、阻まれた。
「おまえはこっちだ」
「よ、よせ!」
 光経はぞっとした。
 盗賊たちのぎらつく目に彼らの意図することがはっきりとわかったのだ。彼らは自分を凌辱するつもりなのだ。
 ごく若いころには同性から、それらしき誘いや艶書こいぶみのようなものをもらったこともあり、世のなかには男を性対象にする男がいることは知っていたが、彼らがもとめるのは年若い美童がおおい。
 もはや光経は稚児になるような年齢ではないが、成人した大人の男に対しても性欲を持つ者がいることは耳にしていたし、貴族の男のなかにも同年代の同性の愛人を持つ者がいることは噂で聞いたことがある。
 だが、そういったこととは自分は無縁であると思っていた光経だ。
 それが今、見るもおぞましい野蛮な男たちが自分に対してあふれんばかりの情欲を見せつけて迫ってきているのだ。
「さ、さわるな、無礼者!」
「おお、これは威勢が良いな。楽しめそうだ」
「この前の商人の娘はつまらなかったですね。少し可愛がってやったら、すぐに死んでしまったし」
 光経の抵抗などまるで役にたたず、彼らは荷物でも抱えあげるように光経を持ち上げ、運ぶ。
「よ、よせ! はなせ!」
「舌噛んでしまうとは、惜しいことをしましたね。後始末も面倒だったし」
「まあな。しかし、そのまえの尼は、あれはけっこうおもしろかったな。出家の身になにを、とかいきまいていたのに、儂たちが可愛がってやると……ふふふ。無理もない、女ざかりだからな。しばらく可愛がってから、売っぱらってやった。年増だから大した金にはならなかったがな。今頃街道沿いの飯屋でさぞ楽しんでいることだろうよ」
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