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第21話『はじめての快楽』

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「――ぅ、んっ!」

 凌辱されているはずのエレナ。
 そんな彼女の口からかすかに、甘い声が漏れていた。

 ボクは彼女の乳房を弄んでいた手を止める。
 彼女もハッと自分の身体の異変に気づいた。

「くはっ、くははっ、くはははははァっ!」

 エレナの表情からサァーっと血の気が失せていく。
 ボクは追い打ちをかけるかのように、大げさに笑い声をあげた。

「オイオイィ、マジかよォ! こりゃあ傑作だ……くは、くはははァっ!」

 エレナは同様はその目に表れていた。
 信じられない、という風に視線があちこちをさまよい、定まらない。

 彼女の心がだんだんと壊れているのが、見ていてわかった。
 あまりにも大きすぎる恐怖と、絶望と、苦痛に脳が異常を起こしはじめたのだ。

「くははっ! マジでエルフってやつァ……本当に、犯されるためだけに生まれてきた性道具なんじゃねェか!? こんな状況で感じるなんて、ド淫乱にもほどがあるだろ!」

 ボクはまるで押しつぶすかのように、力を込めて乳房に手のひらを押しつけた。
 そこにははっきりと、コリコリと自己主張するものがあった。

 彼女の乳首はピンと勃起していた。

「あぅ、あっ……」

「いやいや、そう恥じなくたっていいんだぜェ。お前みたいな奴隷・・にゃァ、よォくお似合いだ」

「ひ、ひぁ……ぅいま、ふ!」

「あァ、けど同族であるエルフのみんなには謝らないとなァ? 同族たちが殺され、苦しんでいる中、わたしだけは仲間を殺した相手に犯されてヨガっちゃってます、ってよォ!」

「んううぅーっ! んうううぅ~~~~っ!」

 まるで仲間たちに弁明するかのように、エレナは必死で叫ぶ。
 ボクは手に力を込め、思いっきり乳房を握り潰す。

「ほらほらほらァっ! これがいいんだろうこの変態、痛ァくイジメられるのが好きなんだよなァ?」

「んうぅううう~~~~っ!?」

 エレナがうなり声をあげて、痛みに悶えた。
 最初のやさしい愛撫とはちがう。

 まだ、わずかに性の快感が芽生えかけたばかりの少女にとって、そんなものが気持ちいいわけがない。
 だからこそ、イイ。

「ああ、こりゃいけねェ。悪かったなァ、痛かったかァ?」

 ボクはわざとらしく、そう言いながらエレナの胸を解放する。
 そこにはくっきりと赤黒い手形がついていた。

 控えめな乳房に痛々しく残るその痕に、ボクは一転やさしく手を這わせる。
 赤黒い手形と、真っ白の肌の境界を、ゆっくりと。指先でなぞってやった。

「へっ!? んッ、ぅ……ぁッ、ぅ……」

 エレナは小さく身体を震わせていた。
 きっとピリピリとした痛みが走っているのだろう。

 だんだんと痛みと快感の境があいまいになっていく。
 そんな心の狭間に、そっと甘い言葉を差し込む。


「……なァ、やさしくして欲しいか?」


 エレナの耳元で囁いた。
 ピクリ、と彼女の身体が震えた。

 彼女の目は誘惑に負けそうな弱い心と、自尊心との間で揺れていた。
 はじめて覚えた性の快感に逃げたい、痛みを忘れたいと思ってしまうのは当然だ。

 一方で、自尊心の原因は……。

「……っ」

 エレナはほかの犯されているエルフを見ていた。
 彼女らは大切な部分を貫かれ、うつろな表情で涙と鼻水と涎と……そして、陰部から液体を流していた。

 粘性の高いそれは、赤色と白色が混じりあってピンク色をしていた。
 そんな仲間のエルフたちはもう狂ってしまっていた。

「あぁあああがががぁっ……!」

 彼女たちはうなりのような嬌声を上げ続けていた。
 あるいは……。

「…………」

 モノ言わぬ状態へとなっていた。
 奴隷商人にも好みがあるのか、状態はまちまちだ。

 酷いと、身動きが取れないよう全身に数え切れない数の釘を打ち込まれ、地面に串刺しとなっていた。
 全身からこぼれる血で地面は真っ赤に染まっている。

 ――ああなる、くらいだったら。

 そんな思いが頭をよぎるのは当然だろう。
 エレナは目を逸らしながら、だが間違いなくコクリと首を頷かせた。

「……くは、くはは、くははははははっははははあははははァ! ひーひっくはははっはっは……はぁ、はぁ……あぁー」

 腹の奥底から笑いがこみ上げてきた。
 ほんと、笑いすぎてお腹が痛い。

 エレナの双眸から悔しさの滲んだ涙が流れていた。
 だが同時に『もう耐える必要はないのだ』という安堵と諦めもまた、そこには混ざっていた。

「いやァ……笑っちまったよ。あぁ、ほんと笑わせてもらった。だから、よォ――」

 ボクはだから、告げた。

「お前、もういいや」

 エレナはなにを言われたのかわからない、という風に呆然とボクを見上げていた。

 もういい。もうなにもしなくていい。助けてやる。
 当然、そんな意味ではない。

 ボクはニコリとほほ笑んだ。
 彼女の上から立ち上がり、そして……。


 ――思い切り、彼女の腹部へ足を振り下ろした。


「ぐぅえええええげぼぉろろろぁっ!」

 相当うまく入ったらしい。
 じつに耳に心地いい悲鳴が聞こえた。

 同時に、まるで噴水みたいに彼女の口から吐瀉物が吹き出した。
 それがなんとも愉快で、ボクは笑った。

「くははははははァっ!」

 エレナは痛みにうめき、お腹を庇うように足を曲げた。
 身体を丸めて、小刻みに震えている。
 
「あァ? もしかして解放されるかと思ったのか? バカじゃねェの? んなわけねェだろうが。もちろん、やさしくっつーのもウソに決まってんだろォ?」

 エレナの表情が絶望に染まった――。
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