短編集

周防

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「あの先輩。本当にヤルんすか? 」


 正直俺は今でも信じられなかった。
 
 
「あ? 何なのお前、しつこいな。嫌ならいいよ、もう帰れば? 」


「嫌とかじゃないんすけど……」


 このままだと先輩がマジギレしそうなので俺は正直に言った。
 先輩がキレるとどうなるかなんて想像したくもない。
 
 
「俺、初めてなんでそのこういうのは。どうしたらいいのか分からなくって、
 すんません」
 
 
 頭を下げた。
 
 
「なんだよ、お前初めてなの? それなら小暮さんに連絡しねえと殺されるじゃ
 ねえか、言っとけよなそういうのは。ああ、だるいわ。コウジです、すいません
 小暮さんに連絡とってもらっていいっすか? 初めてのやつがいるんで、はい。
 はい、お願いします」
 
 
 先輩は突然電話をかけ出し、何やら話すと電話を切る。
 そしてすぐにまた電話が鳴った。
 
 
「はい。はい、はい。じゃあいつもの所で。はい、ありがとうございます」


 俺は先輩の話が終わるまで静かに待っていた。


「行くぞ」


 先輩は俺への説明はないまま俺をバイクの後ろに乗せた。
 
 
 
 
 
 ★★★★★★★★★★★★





「いいか、言われた事に疑問は持つな。何も考えずにその通りにしておけばそれで
 何も問題はないし、それでお前も入団出来るんだ。わかったな? 」
 
 
 それは確認作業ではなく命令だった。
 というかありがたいお告げみたいなものだった。
 
 
「小暮さん連れて来ました」


「おう、コウジ君じゃないの! 元気してた? 」


「はい、おかげ様で」


 気さくに声を掛けて来る小暮とは違って先輩は明らかに委縮しているのが分かる
 あの先輩がこんなになるほどの相手だという事が俺には何よりも怖かった。
 俺の中で今、順位が入れ替わった。
 
 
「ありがとうございます」


 小暮に乳首をつねられてお礼をいう先輩の姿はそれほどに俺の中で衝撃的な
 状況だったのだ。
 
 
「それで? 君が? 」


「おい、挨拶しろ! 」


「はい! ハジメっす! よろしくお願いします! 」


「おお、いいね。元気がある子は嫌いじゃなよ、俺はね」


 それの意味が分かるのはすぐ後だった。
 
 
 
 







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