偏食王子は食用奴隷を師匠にしました

白い靴下の猫

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22☆バウ

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うっわ、ヤな感じの目つきー。
ユオはムカつく胃を宥めるようにため息をつく。

ユオの見かけがほぼ少女としか言えなくても、由生だったころの記憶があるので。性欲の対象として見られることにも詐欺のカモ対象と見られることにも、それなりの経験がある。食堂の会計で、私の前にならんだ時から、その男は胡散臭かった。

その男は、そこそこ変装とかの知識があるのかもしれない。
上っ面、って言うのかな、化粧塗るとかじゃないのだけれど、はしばしがサフラに似せてあるので。

カミソリ遣いがじょうずなのか、眉の形とか、額の形とかはかなりきれいにサフラ型。
二重も、ほとんど前世のアイプチ感覚だと思うのだけれど、調節されている。

で、そいつが、私の前で、財布を落としたと途方に暮れて。

「すみません、常連さんですよね。必ず返しますので、お金を貸してもらえませんか。これと交換で返しますから!」

そう言いながら、自分の指からダイヤの指輪を抜き取って私に預けて来たのだ。

にせもんだよなぁ、と思わなくはなかったけれど、会計にいるのはいかにもバイト慣れしていないお手伝いの子供で困っていたし、次の予定が押していて、さっさと支払いを済ませたかった私は、大した額でもないのだしとヤツのランチ代を払った。

難癖付けられても嫌だから、指輪は預からなかったんだけどね。
その後、バウと名乗ったその男は、お金をかえすだ、お礼をするだ、と何度も私に接触を試みてきて、そのお礼の内容が、いつの間にかサフラの秘めたる私生活を私にリークするっていうテーマになっている訳。

しかも、完全に私がサフラに熱を上げていると確信して、嫉妬とか庇護欲とか大義名分おり交ぜて煽ってくる。

1週間くらいたった頃、てぇへんだ、てぇへんだ、とバウがネタを携えて駆け込んできた。

ネタの中味は、簡単にまとめると、サフラにすっごく質の悪い美人局がついて、このままだと身ぐるみはがされるよ、元締めに話を通して引きはがしてやるから、金をだせって、ことかと。

この段階で、あー、単発の詐欺かぁ、って気づいて、むしろ安心してしまった。

なるほどなるほど、母さん助けて詐欺の亜流なのね。

私の前世では有名な手だけど、こっちで聞いたことなかったから。バウが自分で考えたのか・・と、ちょこっと感心したのと、姉弟じゃないのを大っぴらにされたくないのとで、適当に話を合わせ、で、サフラが元締めに呼び出された、とされる宿屋に誘導された。

・・・で。
うん、ごめん。

いきなり濡れ場でしたか。

「あーっと、失礼。お邪魔しまし・・た?」

ひらいたドアの奥のベッドで、肌色面積が多くなった美少女と、顔を赤くしたユオがくんずほずれつ?・・・とりあえず密着して動いているのをみて。

『あらま、バウに引っかけられたわ』と分かりはしたけれど。
そこは長年生きている師匠の余裕で、サクッと目をつぶり、一礼して踵を返す。

総合して考えると、この美少女はバウとグルと思われるけれど、彼女のニコリとする気もなくひきしめられた口元も、姿勢よく前を向いて目力を発揮しているところも、割と気に入ったので、サフラに任すことにした・・・んだけどな。

どたっ

背中に鈍い音を聞いて振り返ると、サフラがベッドから落っこちていて。

「ユオ、まった!」

私に指を伸ばしてくるサフラは、・・・なんだ、あんたは服着てるのか。

それでもまぁ、この数秒で、女性の上半身に、リネンかけてあげていたのは立派だとおもう。たとえ、自分がそれに足をとられてコケたとしても。

「へんな誤解、すんなよっ、治癒、してただけだからなっ」

裏返った声は、子どもっぽくて。
思わず笑みをこぼしてしまうと、サフラの目が、キッ、っとつりあがった。

あ、まずい、ご機嫌損ねた。
そう気づいた時にはおそくて、サフラはどすどすと部屋から出て行ってしまった。

悪かった、私が悪かったけどさ、だからって、私と面識のない女性をベッドにおいて行くなってば。

私をこの部屋に誘導して、様子をうかがっていただろうバウにとっても、サフラが出て行くのは想定外だったようだ。

隠れていた柱の影から、ポカンとしたバウの顔がのぞいてしまっている。

やれやれ。かけたヤマがはずれていたと悟って静かになってくれると良いけれど。
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