65 / 136
第3章 ~よう
■
しおりを挟む
☆sideシン
アピスは立ち上がり、声高らかに宣言する。
「俺の勝ちだぁ!!!ここまで持ってこれたことは褒めてやってもいいが、所詮この程度。俺に届きやしない。意味なんてないんだよ。お前らの人生も、力も、何もかもなぁあ」
そう。三分の一の確率なんて、アピスには障害すらならない。
〔………〕
アピスは自らの勝利をいいことにいつもの煽りを披露するが、虚しさを伴っていた。当たり前だ。独りしかその勝利を祝っていない。ここには、アピスの勝利を喜ぶ人も、恨み苛立つ人もいない。
「…なにか仕組んだか?」
あまりのあっけなさ故かこちらに睨みを効かせる。リンは動かなかった。絶望の淵に立たされたので、当然とも言えた。アピスはそれすらも怪しむ。
「生気がねぇーなぁ…お前ら…俺をはめたな?」
ズゥドドドド……ン
閃光と共に爆風が辺りを包む。オレはその攻撃を見逃さなかった…。アピスはリンに向かって殴り掛かったかと思ったら腕が爆散した。リンだけでなく、台も椅子も吹き飛びこの部屋に風穴ができる。
ガラガラ…
「おいおい。化けの皮が剥がれてるぞ」
アピスの指摘通り、リンは所々モザイクかかってしまった。突然の見知らぬ攻撃でリンを細部まで作り込むのが上手くできなかったのだ。
「おい。話せ。俺の体にはさっきの爆弾が山ほど入ってる。起爆してもいいんだぞ?何より、お前らの目標であるメハは俺の手の中にある。お前らが今さらどうこうしても、もう、おせぇんだよ」
〔それはこっちの台詞だよ…〕
知っていた。オレに運命を変える力がなかったように、お前も運命を今さら揺るがすことなどできやしないことを。
<でも…、何も言えない…>
そう、たとえこいつが直ぐ死ぬ運命だったとしても、オレは云いたいことを言えない。怒りよりも怖さが勝っているのだ。
<未来が全て見えたわけではないから、あいつが立ち向かってくる気がして仕方ない。オレが余計なことを言って今後に悪い影響があるのが怖すぎる>
オレの取れる選択肢なんて決まっていた。
アピスは立ち上がり、声高らかに宣言する。
「俺の勝ちだぁ!!!ここまで持ってこれたことは褒めてやってもいいが、所詮この程度。俺に届きやしない。意味なんてないんだよ。お前らの人生も、力も、何もかもなぁあ」
そう。三分の一の確率なんて、アピスには障害すらならない。
〔………〕
アピスは自らの勝利をいいことにいつもの煽りを披露するが、虚しさを伴っていた。当たり前だ。独りしかその勝利を祝っていない。ここには、アピスの勝利を喜ぶ人も、恨み苛立つ人もいない。
「…なにか仕組んだか?」
あまりのあっけなさ故かこちらに睨みを効かせる。リンは動かなかった。絶望の淵に立たされたので、当然とも言えた。アピスはそれすらも怪しむ。
「生気がねぇーなぁ…お前ら…俺をはめたな?」
ズゥドドドド……ン
閃光と共に爆風が辺りを包む。オレはその攻撃を見逃さなかった…。アピスはリンに向かって殴り掛かったかと思ったら腕が爆散した。リンだけでなく、台も椅子も吹き飛びこの部屋に風穴ができる。
ガラガラ…
「おいおい。化けの皮が剥がれてるぞ」
アピスの指摘通り、リンは所々モザイクかかってしまった。突然の見知らぬ攻撃でリンを細部まで作り込むのが上手くできなかったのだ。
「おい。話せ。俺の体にはさっきの爆弾が山ほど入ってる。起爆してもいいんだぞ?何より、お前らの目標であるメハは俺の手の中にある。お前らが今さらどうこうしても、もう、おせぇんだよ」
〔それはこっちの台詞だよ…〕
知っていた。オレに運命を変える力がなかったように、お前も運命を今さら揺るがすことなどできやしないことを。
<でも…、何も言えない…>
そう、たとえこいつが直ぐ死ぬ運命だったとしても、オレは云いたいことを言えない。怒りよりも怖さが勝っているのだ。
<未来が全て見えたわけではないから、あいつが立ち向かってくる気がして仕方ない。オレが余計なことを言って今後に悪い影響があるのが怖すぎる>
オレの取れる選択肢なんて決まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
チート魔力はお金のために使うもの~守銭奴転移を果たした俺にはチートな仲間が集まるらしい~
桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。
交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。
そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。
その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。
だが、それが不幸の始まりだった。
世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。
彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。
さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。
金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。
面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。
本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。
※小説家になろう・カクヨムでも更新中
※表紙:あニキさん
※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ
※月、水、金、更新予定!
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる