解放

かひけつ

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第3章 ~よう

余談~あの日を続け~②

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――side『最強ザ・ワン
俺は……この時を待っていた。

 そう…ずっとずっと仕込みのターンだった

『施設』乗っ取りも、『カーセ家』の崩壊も、メハの入手も、言ってしまえば、異能と『大量生産アピス』の兼ね合いも、豪運としか言えない。

 そして、シークレットミッション誰も知らないアレも順風満帆

この星に今立っている、この俺だけがを知っている。そして、あと一分もせずに、も消える。

 痕跡は残せない

 <心を読むだけじゃなくて、物に着いた残留思念から遡られるかもしれない。なんて余程の心配性でも徹底しないんだがな>

俺を殺して、この部屋を一新する。それだけで、全ては闇に葬られる。真実の露見を守るには、しなきゃいけない。

ウィーーン

 「ひひ…こんなとこにいたんですね。旦那、そろそろ来ますぜ」

 「あぁ…」

この部屋の一新はもう『部屋役』に任せている。無論、命令の意味も知らずに、だ。後は…『エンジニアスペシャリスト』と言う名を持った『機械担当』に気付かないように『リセット』するだけ。

カタカタカタ

 「旦那、これからどうなると予想しやすか?」

 「……」

ゴマをするように擦り寄りながら、対等感を醸し出そうとする浅ましいこの男は、見た目も、考えもアピスの中では異質だが、アピスだ。

 <古株な上、能力特化で脳味噌追加もしたんだから、仕方ないとも言えるが…>

 キモい

 「リンの成長は想像の範囲内だ。負けるビジョンはない」

これは本当だ。ただ、今のが必ずしも確定される未来ではない。相手は過去に戻った。

 

だが、勝ちの未来を掴ませないために過小評価させて、誘い込んだ。

 「ひひひ!そうですよねそうですよね!!こちらには、メハ2号だってありますもんね」

こんな取り入るような態度をするのも、『戦闘担当』と『機械担当』で分けているのも、お互いの利用価値を証明しないと、『ネームド』の一人勝ち裏切りを避けるためだ。だから、『機械担当』は自分にしか解けないロックを掛けるし、『戦闘担当』は機械分野に疎くしている。

 と言っても、俺の実力を知るやつは『ネームド』にいない

『スペシャリスト』もただ仲良くしようと言うより、ここでリンには勝ってもらって、その後は俺が支配してやるという欲望が透けて見える。『ネームド』の能力を把握した気になっているのだろう。

 <…本当に、しょうもない>

 考察を続けよう

過去に戻るにも、判断するにはここまで来なきゃいけない。リンの体内に入った俺の細胞は過去に戻るにも邪魔することは確定だ。

 そんなにポンポンできるほどデメリットは軽くない

さぁ…もう『リセット上書き』も済んだ。あとはこなすだけだ。どの世界のクズよりもゲスく、名立たる罪人共を遥かに超える悪意を、極上の形でお届けしよう――
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