9 / 11
9_1学期の期末テスト
しおりを挟む
9_1学期の期末テスト
「ふんふん……。わかった」
「え? 何を? 光海さん?」
「アンタが何で特進クラスに入れなかったかがよ、正時」
僕のノートに目を落としていた光海さんがそういう事を言った。
6月下旬。僕の1年生としての1学期も終わりが近づいてきて。
もうそろそろ、1学期に学習したことをまとめる、期末テストの時期になる。
というワケで、僕と光海さん、それに水樹は。
図書室に集まってテスト勉強をしていた。
「……どういうことなんです? それ。浅見先輩?」
水樹はキョトンとした顔で。なんでノートを見ただけでそんな事がわかるのかと問いたい様子。
「簡単なことよ。もう、ノートのつけ具合から見ても。得意教科の数学と現国には熱が入っているけれどさ? 社会科系の地理とかは、まあ適当につけてるし。英語に至ってはもう壊滅的ね。正時、アンタさ。暗記教科が大っ嫌いでしょ?」
うわ……。めっさ読まれてるじゃんか、僕の勉強の傾向を。ノート読んだだけで、そんな事までわかるのか……。
「うん……。そうなんだ、光海さん。僕はアレなんですよ、実は記憶力がないというか。興味のある事柄にしか、頭が働かないタイプで。面白味が感じられない暗記教科はどうにも苦手なんです」
「あはは。わかるわかる。私も中学生の時はそうだったから。でもねー。実際の所、世の中って所では、というか。学校の勉強もそれなんだけど、さ? 『いやなことをどれだけ効率的にこなすか』っていう能力やスキルは。持っていて無駄にはならないし、むしろそっちの能力の方が必要とされるという一面がある事は。否めないのよ」
購買で買ってきた500ミリリットルの紙パックレモンティーを、ストローで飲んで一息ついて。
そのあと、光海さんは。例の悪戯そうな猫みたいな視線で僕の瞳を覗き込んだ。
「で。いいのかな? 正時。言っとくけど、アンタさ? その苦手を克服しないとね? 蔵山ちゃんと同じ大学を目指したとしたら、見事に受験に失敗する事になるわよ?」
「それ困る!!」
光海さんの問いに対し、ちょっと大きな声を放ったのは。僕ではなく水樹だった。
「正時って、実はよく見ると。結構カッコいいし。優柔不断かと思ったら、ちゃんと色々自分で決められる判断力あるし! この前、デートしたときも。イタリア料理の店で、メニューオーダーを任せていたら、結構おいしいもの食べさせてくれたし!! 他にもいろいろ、彼氏としてのスペック高いから、大学も一緒に行きたいのよ!!」
水樹はそんな事言ってる。
「は? イタ飯行ったの? アンタたち二人で⁈」
あれ? なんか目が怒ってないか? 光海さん。
「はい。行きましたよーだ!!」
光海さんに向かって、舌を出す水樹。
あー。なんだこの二人、やっぱり。僕が間に挟まる事案になると、ちょっと荒立つ心理状態になるのか。
まあ、それは多分アレだなー。二人が僕を取り合ってる、とかいうどこぞのライトノベルの内容みたいなことではなく。
女性というモノは。男性を間に挟むと、対抗心が湧くのは当然という、動物の生物学的本能の方に近いんじゃないかとか。
そう僕は思った。
「わたし……。フォカッチャピザが大好物なのに……。まあ、流石に。連れてけって言って、アンタらのデートを邪魔する気はないけどさ……。あーあ。また、彼氏作ろうかな、私。前の男を振ってから、まあ結構間が空いてるし」
え? 光海さん彼氏作るの?
……都合のいい話だけど。水樹と交際している僕に、そんな事を強制する権利はないんだけど。
僕は、光海さんには彼氏を作ってほしくなかった。
なんていうか、自分のわがままさには呆れるような気もする。
でもなんだろうか。
僕は実際、光海さんには絶大な好意を持っている。
でもでも、だけど。
その感情を口にして、光海さんを縛ったりしたら、さ。
シビアな生き方を自分に課している、そういう光海さんから軽んじられそうなので、僕は喉まで来ていたその言葉を、飲み込んだ。
* * *
駅前のアーケード街。喫茶店『ウィル・ベルジュ』でのアルバイトは、テスト前のこの時期には休みを取っているので、図書室での勉強会が終わると少し時間が空く。
と言うワケで、いつもはアルバイトの時の賄いを夕食にしている僕らは、お腹を空かせてアーケードを歩いて、夕食を『かつ処佐渡』というお店で食べることにした。
まあ、普段のアルバイトでの稼ぎで、こういうちょっと値が張るお店にも入れるようになって。流石に制服のままなので、大人の人たちに『最近の子供は贅沢だな』と言われるようなことがあることも知ってはいるけれど。
学校制服での入店お断り、とお店にルールがあるわけでもないし、お金も自分たちの正当な労働で稼いだものなので。
僕らは堂々とそのとんかつ屋に入って行った。
「ふんふん……。わかった」
「え? 何を? 光海さん?」
「アンタが何で特進クラスに入れなかったかがよ、正時」
僕のノートに目を落としていた光海さんがそういう事を言った。
6月下旬。僕の1年生としての1学期も終わりが近づいてきて。
もうそろそろ、1学期に学習したことをまとめる、期末テストの時期になる。
というワケで、僕と光海さん、それに水樹は。
図書室に集まってテスト勉強をしていた。
「……どういうことなんです? それ。浅見先輩?」
水樹はキョトンとした顔で。なんでノートを見ただけでそんな事がわかるのかと問いたい様子。
「簡単なことよ。もう、ノートのつけ具合から見ても。得意教科の数学と現国には熱が入っているけれどさ? 社会科系の地理とかは、まあ適当につけてるし。英語に至ってはもう壊滅的ね。正時、アンタさ。暗記教科が大っ嫌いでしょ?」
うわ……。めっさ読まれてるじゃんか、僕の勉強の傾向を。ノート読んだだけで、そんな事までわかるのか……。
「うん……。そうなんだ、光海さん。僕はアレなんですよ、実は記憶力がないというか。興味のある事柄にしか、頭が働かないタイプで。面白味が感じられない暗記教科はどうにも苦手なんです」
「あはは。わかるわかる。私も中学生の時はそうだったから。でもねー。実際の所、世の中って所では、というか。学校の勉強もそれなんだけど、さ? 『いやなことをどれだけ効率的にこなすか』っていう能力やスキルは。持っていて無駄にはならないし、むしろそっちの能力の方が必要とされるという一面がある事は。否めないのよ」
購買で買ってきた500ミリリットルの紙パックレモンティーを、ストローで飲んで一息ついて。
そのあと、光海さんは。例の悪戯そうな猫みたいな視線で僕の瞳を覗き込んだ。
「で。いいのかな? 正時。言っとくけど、アンタさ? その苦手を克服しないとね? 蔵山ちゃんと同じ大学を目指したとしたら、見事に受験に失敗する事になるわよ?」
「それ困る!!」
光海さんの問いに対し、ちょっと大きな声を放ったのは。僕ではなく水樹だった。
「正時って、実はよく見ると。結構カッコいいし。優柔不断かと思ったら、ちゃんと色々自分で決められる判断力あるし! この前、デートしたときも。イタリア料理の店で、メニューオーダーを任せていたら、結構おいしいもの食べさせてくれたし!! 他にもいろいろ、彼氏としてのスペック高いから、大学も一緒に行きたいのよ!!」
水樹はそんな事言ってる。
「は? イタ飯行ったの? アンタたち二人で⁈」
あれ? なんか目が怒ってないか? 光海さん。
「はい。行きましたよーだ!!」
光海さんに向かって、舌を出す水樹。
あー。なんだこの二人、やっぱり。僕が間に挟まる事案になると、ちょっと荒立つ心理状態になるのか。
まあ、それは多分アレだなー。二人が僕を取り合ってる、とかいうどこぞのライトノベルの内容みたいなことではなく。
女性というモノは。男性を間に挟むと、対抗心が湧くのは当然という、動物の生物学的本能の方に近いんじゃないかとか。
そう僕は思った。
「わたし……。フォカッチャピザが大好物なのに……。まあ、流石に。連れてけって言って、アンタらのデートを邪魔する気はないけどさ……。あーあ。また、彼氏作ろうかな、私。前の男を振ってから、まあ結構間が空いてるし」
え? 光海さん彼氏作るの?
……都合のいい話だけど。水樹と交際している僕に、そんな事を強制する権利はないんだけど。
僕は、光海さんには彼氏を作ってほしくなかった。
なんていうか、自分のわがままさには呆れるような気もする。
でもなんだろうか。
僕は実際、光海さんには絶大な好意を持っている。
でもでも、だけど。
その感情を口にして、光海さんを縛ったりしたら、さ。
シビアな生き方を自分に課している、そういう光海さんから軽んじられそうなので、僕は喉まで来ていたその言葉を、飲み込んだ。
* * *
駅前のアーケード街。喫茶店『ウィル・ベルジュ』でのアルバイトは、テスト前のこの時期には休みを取っているので、図書室での勉強会が終わると少し時間が空く。
と言うワケで、いつもはアルバイトの時の賄いを夕食にしている僕らは、お腹を空かせてアーケードを歩いて、夕食を『かつ処佐渡』というお店で食べることにした。
まあ、普段のアルバイトでの稼ぎで、こういうちょっと値が張るお店にも入れるようになって。流石に制服のままなので、大人の人たちに『最近の子供は贅沢だな』と言われるようなことがあることも知ってはいるけれど。
学校制服での入店お断り、とお店にルールがあるわけでもないし、お金も自分たちの正当な労働で稼いだものなので。
僕らは堂々とそのとんかつ屋に入って行った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
再婚相手の連れ子は、僕が恋したレンタル彼女。――完璧な義妹は、深夜の自室で「練習」を強いてくる
まさき
恋愛
「初めまして、お兄さん。これからよろしくお願いしますね」
父の再婚によって現れた義理の妹・水瀬 凛(みなせ りん)。
清楚なワンピースを纏い、非の打ち所がない笑顔で挨拶をする彼女を見て、僕は息が止まるかと思った。
なぜなら彼女は、僕が貯金を叩いて一度だけレンタルし、その圧倒的なプロ意識と可憐さに――本気で恋をしてしまった人気No.1レンタル彼女だったから。
学校では誰もが憧れる高嶺の花。
家では親も感心するほど「理想の妹」を演じる彼女。
しかし、二人きりになった深夜のキッチンで、彼女は冷たい瞳で僕を射抜く。
「……私の仕事のこと、親に言ったらタダじゃおかないから」
秘密を共有したことで始まった、一つ屋根の下の奇妙な生活。
彼女は「さらなるスキルアップ」を名目に、僕の部屋を訪れるようになる。
「ねえ、もっと本気で抱きしめて。……そんなんじゃ、次のデートの練習にならないでしょ?」
これは、仕事(レンタル)か、演技(家族)か、それとも――。
完璧すぎる義妹に翻弄され、理性が溶けていく10日間の物語。
『著者より』
もしこの話が合えば、マイページに他の作品も置いてあります。
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/658724858
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる