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道行
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いいよ、と、涼は答えた。
躊躇はなかった。
光が本気ではないと、たかをくくっていたわけではない。むしろその逆だ。
光が本気の目をしているとき、涼は光に逆らわない。
逆らわないというより、逆らえないと言ったほうがより正確だろう。それは、光が観音通りに立つと言い出したときと同じに。
罪悪感があるせいかもしれない。
夜を恐れる子供だった光と眠ってやれなかったことや、もう夜を恐れはしなくなった光とセックスをしたことへの。
光はそんな涼の罪悪感を知った上で、悪魔のように甘い声で囁いてくる。
一緒に死んで。
「ちょっと待ってろ。」
光を家の外に待たせ、涼は煙草の箱と財布だけをポケットにねじ込み、階段を降りた。
スニーカーをつっかけ、家のドアに手をかけながら、これでいいのだろうかと思う。
一緒に死んで、全て終わり。
それでいいのかと。
けれども涼の頭はすぐに一つの回答を弾き出す。
光がそれを望んでいるのだから、それでいいのだ。
光は、和巳が去って行った方向を見つめたまま、大人しく涼を待っていた。
お前が本当に一緒に死んでほしいのは、和巳さんだろう。
その言葉は口には出せず、牡蠣殻みたいに涼の喉に引っかかる。
和巳の代わりだとしても、一緒に死んでと言われたことは、嬉しくはあったのだ。
光の中で自分が一緒に死んでもいい人間としてカウントされていることへの、暗い喜び。
「行こう。」
涼は光の手を掴み、引いた。
「どこに?」
いっそ無邪気に光が問う。
「買い物。首吊るにしたってロープが必要だろ。」
「確かに。」
「死のうとか言う割に、なにも考えてねぇな。死に方に希望とかないのかよ。」
「海に身を投げたりしてみたいけど、ここ海なし県だもんね。」
「湖ならあるぞ。」
「遠い。免許も車もないじゃん。始発待って電車乗ってる間に色々萎えるわ。」
「それな。じゃあいいのか、首吊りで。」
「それが一番現実的だよね。ドンキにロープって売ってると思う?」
「なんでもあるのがドンキホーテだからな。」
「確かに。まぁ、なかったらなかったでカミソリかなんか買って手首切ればいいよね。」
「そうだな。そうするか。」
「うん。」
二人の間を、言葉はなんの重みもなくさらさらと流れた。この会話の先に待っているのが死だなんて信じられないくらいに。
どちらからともなく、二人は手を繋いだ。 セックス中ですらそんなことをしたことはなかったのに。
つないだ手をぶらぶら揺らしながら、涼と光は駅前のドンキに向かって歩き出した。
躊躇はなかった。
光が本気ではないと、たかをくくっていたわけではない。むしろその逆だ。
光が本気の目をしているとき、涼は光に逆らわない。
逆らわないというより、逆らえないと言ったほうがより正確だろう。それは、光が観音通りに立つと言い出したときと同じに。
罪悪感があるせいかもしれない。
夜を恐れる子供だった光と眠ってやれなかったことや、もう夜を恐れはしなくなった光とセックスをしたことへの。
光はそんな涼の罪悪感を知った上で、悪魔のように甘い声で囁いてくる。
一緒に死んで。
「ちょっと待ってろ。」
光を家の外に待たせ、涼は煙草の箱と財布だけをポケットにねじ込み、階段を降りた。
スニーカーをつっかけ、家のドアに手をかけながら、これでいいのだろうかと思う。
一緒に死んで、全て終わり。
それでいいのかと。
けれども涼の頭はすぐに一つの回答を弾き出す。
光がそれを望んでいるのだから、それでいいのだ。
光は、和巳が去って行った方向を見つめたまま、大人しく涼を待っていた。
お前が本当に一緒に死んでほしいのは、和巳さんだろう。
その言葉は口には出せず、牡蠣殻みたいに涼の喉に引っかかる。
和巳の代わりだとしても、一緒に死んでと言われたことは、嬉しくはあったのだ。
光の中で自分が一緒に死んでもいい人間としてカウントされていることへの、暗い喜び。
「行こう。」
涼は光の手を掴み、引いた。
「どこに?」
いっそ無邪気に光が問う。
「買い物。首吊るにしたってロープが必要だろ。」
「確かに。」
「死のうとか言う割に、なにも考えてねぇな。死に方に希望とかないのかよ。」
「海に身を投げたりしてみたいけど、ここ海なし県だもんね。」
「湖ならあるぞ。」
「遠い。免許も車もないじゃん。始発待って電車乗ってる間に色々萎えるわ。」
「それな。じゃあいいのか、首吊りで。」
「それが一番現実的だよね。ドンキにロープって売ってると思う?」
「なんでもあるのがドンキホーテだからな。」
「確かに。まぁ、なかったらなかったでカミソリかなんか買って手首切ればいいよね。」
「そうだな。そうするか。」
「うん。」
二人の間を、言葉はなんの重みもなくさらさらと流れた。この会話の先に待っているのが死だなんて信じられないくらいに。
どちらからともなく、二人は手を繋いだ。 セックス中ですらそんなことをしたことはなかったのに。
つないだ手をぶらぶら揺らしながら、涼と光は駅前のドンキに向かって歩き出した。
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