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第四章
カミラからの救出 5 カミラとのキス
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カミラは考えていた。
『今まで私がキスして落ちなかった者はいない。カイトを虜にしてしまえばこっちのもの・・・。 最初は帆船で逃げるつもりだったけど、計画が破綻した今は贅沢を言っていられない。もしもの時のために馬も近くに隠してある。それで逃げる事にしよう。』
チラッとレバーを持っている男を見る。
『彼はどうしよう・・・?。リリアーナに入札した位だからお金も持っている事だし、連れて行くか・・・』
カミラは正面に立ったカイトの胸に手を置くと、艶やかに微笑んだ。そして忘れずに釘を刺す。
「私に何かしようとしたら、あの男がすぐにレバーを引くわよ」
「ああ、分かった」
カイトはカミラの手を払うとその男を一瞬睨んだ。殺気だった視線に男が怯む。
実はこの男は後悔をしていた。最初に逃げ遅れて捕まりそうになり『手伝ったら上手く逃げられるわよ』とカミラにいいように言いくるめられたが、この状態で本当に逃げ切れるのだろうか?おまけにカイトという騎士の睨み方が半端なく怖い。彼は確か武術大会の体術の部で優勝した騎士だ。いっその事、ドゲザしたほうが、命くらいは助かるんじゃないだろうか?
「口の中を確かめたい?」
「ああ」
カイトはカミラの顎を掴むと、口の中を丹念に調べた。
「媚薬は含んでいないようだな」
「だから最初に言ったじゃない」
「じゃあ、さっさと終わらせてしまおう」
カイトは身を屈めると、カミラの唇に口を押し付けた。カミラが顔を離して喚き散らす。
「ちょっと! 何よ! この義務的な感じ! それに口を開けなさいよ!!」
カイトは溜息を漏らすと、今度はカミラの要望通りにくちづけた。カミラが両手を首に回す。カイトが年下ではあるが、美男美女である為に傍からだと雰囲気があり美しげに見えるキスである。
リリアーナは見ていたくなくて視線を逸らした――
長いキスが終わり、カミラがカイトに微笑みかけた。両腕は首に回したままだ。
『絶対私の虜になっている筈――』
カイトは戸惑っているように見える。まさか`カミラに陥落されたか!?‘ 周りがそう思った時。
「何て、いうか・・・へたくそ・・・?」
カミラが見る間に真っ赤になり、ワナワナと震え始めた。
スティーブ達が慌てている。
「カイト!! 発言には気を付けてくれ!」
「もう一度! もう一度するわよ!」
「もう今したろう!!」
「一回とは言ってないわ!」
カミラは鍵を自分の胸の谷間の奥深くに突っ込んだ。
「さあ、取ってごらんなさい! 紳士で騎士である貴方には難しい場所でしょうけど!」
「何て所に・・・」
カイトはうろたえた。この毒の塊のような女のそんなところに手を突っ込みたくない。
周りは思った。
羨ましい――! と
「キスしなかったら、レバーを引くわよ!」
カミラが言い放つ中、レバーを持った男は思った――
『今だ!今、ドゲザするしかない!』
まず申し開きをし、それからドゲザだ! しかし緊張のせいか行動に移そうとしたところ、足をもつれさせうっかりレバーに体重を掛けそうになり・・・
――っ!!
周りは、男がレバーを引く用意があるのを見せつけたように見え、一瞬息を呑む。カイトも同じように見えた。
カミラはキスの最中に媚薬を盛ってやろうと、媚薬の入った小瓶をポケットから出し手に忍ばせる。それをカイトに簡単に払い落とされた。見破られたのが悔しくて文句を言おうと口を開けた途端、抱き寄せられて唇を奪われた。
『なに!? このキス! こんなの初めて!!』
驚きに顔を離そうとすると、左手で頭を押さえ込まれた。しばらくの後、くたっとなったカミラに気付き、カイトはその身体を反転させ鳥籠に押し付ける。レバーの男を見ると、ちょっと形は違うが土下座をしていた。
「スティーブ、カミラの胸から鍵を取ってくれ」
「オッケー!」
スティーブが鳥籠の鉄の格子の間から、機嫌よく手を突っ込もうとした。
「やめて!! マッチョな男に触られたくないのよ!!」
息絶え絶えのカミラは自分で手を突っ込むと鍵を探し出してカイトに渡した。カイトはそれを寄って来た騎士仲間に渡す。袖口で口を拭いながら、カミラをアルフレッドに引き渡した。
「口を拭うなんて! 最後まで腹の立つ男ね!!」
レバー男も後ろ手に縛られている。
「サイラス副団長、リリアーナ様をお願いします」(リリアーナはサイラスも幼い頃から接していて平気です)
「どこに行くんだ?」
「井戸か川で、うがいしてきます」
少し青い顔をして、口を押さえて駆けて行く。リリアーナは心配そうに見送った。
『今まで私がキスして落ちなかった者はいない。カイトを虜にしてしまえばこっちのもの・・・。 最初は帆船で逃げるつもりだったけど、計画が破綻した今は贅沢を言っていられない。もしもの時のために馬も近くに隠してある。それで逃げる事にしよう。』
チラッとレバーを持っている男を見る。
『彼はどうしよう・・・?。リリアーナに入札した位だからお金も持っている事だし、連れて行くか・・・』
カミラは正面に立ったカイトの胸に手を置くと、艶やかに微笑んだ。そして忘れずに釘を刺す。
「私に何かしようとしたら、あの男がすぐにレバーを引くわよ」
「ああ、分かった」
カイトはカミラの手を払うとその男を一瞬睨んだ。殺気だった視線に男が怯む。
実はこの男は後悔をしていた。最初に逃げ遅れて捕まりそうになり『手伝ったら上手く逃げられるわよ』とカミラにいいように言いくるめられたが、この状態で本当に逃げ切れるのだろうか?おまけにカイトという騎士の睨み方が半端なく怖い。彼は確か武術大会の体術の部で優勝した騎士だ。いっその事、ドゲザしたほうが、命くらいは助かるんじゃないだろうか?
「口の中を確かめたい?」
「ああ」
カイトはカミラの顎を掴むと、口の中を丹念に調べた。
「媚薬は含んでいないようだな」
「だから最初に言ったじゃない」
「じゃあ、さっさと終わらせてしまおう」
カイトは身を屈めると、カミラの唇に口を押し付けた。カミラが顔を離して喚き散らす。
「ちょっと! 何よ! この義務的な感じ! それに口を開けなさいよ!!」
カイトは溜息を漏らすと、今度はカミラの要望通りにくちづけた。カミラが両手を首に回す。カイトが年下ではあるが、美男美女である為に傍からだと雰囲気があり美しげに見えるキスである。
リリアーナは見ていたくなくて視線を逸らした――
長いキスが終わり、カミラがカイトに微笑みかけた。両腕は首に回したままだ。
『絶対私の虜になっている筈――』
カイトは戸惑っているように見える。まさか`カミラに陥落されたか!?‘ 周りがそう思った時。
「何て、いうか・・・へたくそ・・・?」
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スティーブ達が慌てている。
「カイト!! 発言には気を付けてくれ!」
「もう一度! もう一度するわよ!」
「もう今したろう!!」
「一回とは言ってないわ!」
カミラは鍵を自分の胸の谷間の奥深くに突っ込んだ。
「さあ、取ってごらんなさい! 紳士で騎士である貴方には難しい場所でしょうけど!」
「何て所に・・・」
カイトはうろたえた。この毒の塊のような女のそんなところに手を突っ込みたくない。
周りは思った。
羨ましい――! と
「キスしなかったら、レバーを引くわよ!」
カミラが言い放つ中、レバーを持った男は思った――
『今だ!今、ドゲザするしかない!』
まず申し開きをし、それからドゲザだ! しかし緊張のせいか行動に移そうとしたところ、足をもつれさせうっかりレバーに体重を掛けそうになり・・・
――っ!!
周りは、男がレバーを引く用意があるのを見せつけたように見え、一瞬息を呑む。カイトも同じように見えた。
カミラはキスの最中に媚薬を盛ってやろうと、媚薬の入った小瓶をポケットから出し手に忍ばせる。それをカイトに簡単に払い落とされた。見破られたのが悔しくて文句を言おうと口を開けた途端、抱き寄せられて唇を奪われた。
『なに!? このキス! こんなの初めて!!』
驚きに顔を離そうとすると、左手で頭を押さえ込まれた。しばらくの後、くたっとなったカミラに気付き、カイトはその身体を反転させ鳥籠に押し付ける。レバーの男を見ると、ちょっと形は違うが土下座をしていた。
「スティーブ、カミラの胸から鍵を取ってくれ」
「オッケー!」
スティーブが鳥籠の鉄の格子の間から、機嫌よく手を突っ込もうとした。
「やめて!! マッチョな男に触られたくないのよ!!」
息絶え絶えのカミラは自分で手を突っ込むと鍵を探し出してカイトに渡した。カイトはそれを寄って来た騎士仲間に渡す。袖口で口を拭いながら、カミラをアルフレッドに引き渡した。
「口を拭うなんて! 最後まで腹の立つ男ね!!」
レバー男も後ろ手に縛られている。
「サイラス副団長、リリアーナ様をお願いします」(リリアーナはサイラスも幼い頃から接していて平気です)
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