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第五章
ナルヴィク 3 婚約者で騎士
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カイトは夕食の時間の少し前に自分の部屋を出た。ドアの前には警護の騎士が立っていて、カイトを見ると礼儀正しく挨拶をし、滞在中に空手を教えてもらえないか聞いてきた。自分の時間が空いている時なら、と返事をする。リリアーナの部屋のドアをノックすると、中から返事が聞こえたので開けて入った。
「リリアーナ様お迎えに上がりました」
リリアーナは上がロイヤルブルーでスカートは黒く、前身頃の中心15cm幅が上からスカートまで真っ直ぐに白いドレスを着ている。華やかではないが、配色が上品で良く似合っている。一瞬見惚れた後に、手の甲に淑女の挨拶をする。
「良くお似合いです」
「ありがとう」
リリアーナがほのかに頬を赤らめ嬉しそうにしている。フランチェスカの視線が刺さるので、額へのキスで我慢をする。
部屋を出ると警護の騎士が晩餐を取る部屋まで案内してくれた。シンシアの誕生日の夜会は明後日執り行われるので、今日は晩餐会というほど大げさでない。ご馳走は出るが気を張らない夕食会だ。
アレクセイの隣にはシンシアが座っていたが、あまり話しに乗ってこないようだ。対面には上座からカイト、リリアーナ、サイラスの順に座っている。他の男性が苦手なリリアーナを二人で挟んだ席順で、ナルヴィクの王妃が気を使ってくれたようだ。
「アレクセイ様、苦戦してますね」
カイトが小さい声で話す。三人で小声でやり取りをしている状態だ。
「シンシア様は兄様を嫌ってはいないように見えるのだけど」
「そうですね。嫌いな人に対する態度ではないですね。何か思う所があるようですが・・・」
サイラスもよく観察している。しかしリリアーナは少し気に入らないところがある。シンシアが時々カイトをじっと見て、暫くすると諦めるように小さく溜息を吐くのだ。何故カイトに? カイトを見るのをやめてほしい。
それはアレクセイも気付いているようで、二人して悶々とした気持ちを抱えていた。一度シンシアとカイトの視線が合う。シンシアが僅かに微笑みながら頷いた。カイトも笑んで頷き返す。
一体今のは何だろう・・・胸が少し痛んだ。
食事が終わって席を立つと男性は別室に移動をした。お酒を飲みながら領地の管理や政治的な事柄について議論を交わすらしい。女性も居間で、食後のお茶を頂きながら閑談に興じる事となった。
カイトがリリアーナの傍まで来ると跪(ひざまず)く。
「リリアーナ様、何時にお迎えに上がればよろしいですか?」
「一時間位と思っているのだけど」
「分かりました。その頃にまた参ります」
カイトは身を起こすと、胸に手を当て礼をして退室した。周りのご令嬢や奥様方が`ほぉっ―― ‘ と見惚れている。
貴婦人の一人に尋ねられた。
「サー・カイトはご婚約者である上に、リリアーナ王女殿下の騎士でもいらっしゃるのですか?」
「本来なら他の騎士に変わるべきなのですが、私が接しても大丈夫な男性騎士がなかなか見つからなくて・・・」
「リリアーナ王女殿下はその美しさから大変な目にお会いになりましたものね。でも羨ましいですわ。あんな騎士に跪かれたら・・・私、気絶してしまいます!」
最初は婚約者が騎士だなんて、と遠まわしに何かを言われるかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。今は素敵な騎士に傅(かしず)かれたいという話題に変わっている。身分違いを指摘されないかと心配したが、杞憂(きゆう)に終わったようだ。
「私もリリアーナ様が羨ましいわ、あんな素敵な方が婚約者で」
シンシアがとても羨ましそうに言った。
「ありがとうございます」
羨ましいだけ・・・? と思ってしまう。嫉妬なんて醜い。これでこの後、閑談なんてできるのだろうか
先程の話しを皮切りに、社交界に顔を出していなかったリリアーナの元へ貴族の奥方様や、ご令嬢達が群がってきた。気の重い一時間になると思ったが、その後の時間は思ったより楽しいものであった。同い年のご令嬢も多いし、最近の流行り物など、お喋りに花が咲く。
一時間後にカイトが迎えに来たが、リリアーナが楽しそうに話しているのを見ると、廊下で待機する事にしたようで何も言わずに出て行った。
それを見掛けたシンシアが、侍女を呼び寄せ、手にメモのような物をそっと握らせる。侍女は退室したカイトの後を追って出て行った。
とても気になる。何を渡すの? 話しを早めに切り上げて、失礼する旨を伝えると、リリアーナが抜けるのならばとお開きになった。
扉を出るとカイトが待っていて、傍までくると微笑んで右肘を差し出された。その腕に左手を添えて歩き出したが、じっと顔を見てしまう。
「どうか、なさいましたか?」
一瞬躊躇(ちゅうちょ)したが、我慢できずにストレートに聞いてしまった。
「さっき・・・シンシアの侍女は何の用だったの?」
「・・・何故、侍女の格好をしていたとか、興味深い話が聞けそうなので一度リリアーナ様と御一緒にとお茶のお誘いを受けました」
嘘――。それだったらシンシアは先に自分を誘う筈だ。それにカイトの様子も少しおかしい。なぜ嘘をつくのだろう? 紙を渡された筈だしそれを見せてもらおうか? でも嫉妬深いと思われたら嫌だし、もし私の勘違いだったら・・・。
部屋に帰るとフランチェスカがお湯の用意をして待っていた。カイトは踵(きびす)を返すとすぐに出て行ってしまった。リリアーナは部屋着に着替えてフランチェスカにカイトの話しをしてみる。
「確かに少し変ですね。でも、カイトは絶対に他の女性には目が行かないと思いますよ? 何か訳があるんじゃないでしょうか?」
ノックの音がして、アレクセイが入って来た。
「カイトはここに居る?」
「いないけど、どうしたの?」
「じゃあ、やっぱりあれは・・・」
言った後で黙り込むと、すぐに出て行こうとした。
「待って兄様! カイトがどこにいるか知ってるのね?」
「ごめん、俺の勘違いだ。もう遅いし休んでくれ」
「まさか、シンシア様のところじゃ?」
「そんな筈ないじゃないか」
いつもの皇太子然として何でもないように見えるが兄妹なのだ、分かる。
「私も連れて行って!」
「駄目だ。もう人の部屋を訪問するには遅すぎる!」
その言葉で悪い想像が余計膨らむ。
「兄様が行かないなら、私が行く!」
「待て! お前部屋着だぞ!・・・分かった。連れて行くから、すぐ着れるものに着替えろ」
フランチェスカに手伝ってもらって比較的簡単に着れるドレスに着替える。廊下に出るとリリアーナの部屋の警護をしているナルヴィクの騎士がついてこようとしたが、アレクセイが断った。 もし万が一、醜聞(しゅうぶん)になるような現場を見られたら困るからだ。フランチェスカも加わり、三人でシンシアの部屋を目指す。出る前に一応カイトの部屋も隅から隅まで見てみたが、やはりいない。
シンシアの部屋の前の警護がいない。『さっきカイトが入るように見えた時も警護はいなかった。まさか人払いしてるのか――?』アレクセイは気持ちを落ち着けてからノックをした。暫くの後に扉が開く。
「アレクセイ様!?」
扉を開けたのはカイトだった。リリアーナは涙をボロボロ零(こぼ)しながら、もときた道を走り出した。
クリボー様 元気付けて下さり、ありがとうございます。投票して下さった事と`三票とも入れられるようにしてほしい ‘ 大変嬉しく思いました !(^^)!
ユウ様 投票して下さりありがとうございます。とても嬉しいです(●^o^●)。はい、無理をしないで元気になるように努めますね。またのコメントありがとうございました。
chii様 はい、コメント笑わせて頂きました(^◇^)。元気の素をありがとうございます。
「リリアーナ様お迎えに上がりました」
リリアーナは上がロイヤルブルーでスカートは黒く、前身頃の中心15cm幅が上からスカートまで真っ直ぐに白いドレスを着ている。華やかではないが、配色が上品で良く似合っている。一瞬見惚れた後に、手の甲に淑女の挨拶をする。
「良くお似合いです」
「ありがとう」
リリアーナがほのかに頬を赤らめ嬉しそうにしている。フランチェスカの視線が刺さるので、額へのキスで我慢をする。
部屋を出ると警護の騎士が晩餐を取る部屋まで案内してくれた。シンシアの誕生日の夜会は明後日執り行われるので、今日は晩餐会というほど大げさでない。ご馳走は出るが気を張らない夕食会だ。
アレクセイの隣にはシンシアが座っていたが、あまり話しに乗ってこないようだ。対面には上座からカイト、リリアーナ、サイラスの順に座っている。他の男性が苦手なリリアーナを二人で挟んだ席順で、ナルヴィクの王妃が気を使ってくれたようだ。
「アレクセイ様、苦戦してますね」
カイトが小さい声で話す。三人で小声でやり取りをしている状態だ。
「シンシア様は兄様を嫌ってはいないように見えるのだけど」
「そうですね。嫌いな人に対する態度ではないですね。何か思う所があるようですが・・・」
サイラスもよく観察している。しかしリリアーナは少し気に入らないところがある。シンシアが時々カイトをじっと見て、暫くすると諦めるように小さく溜息を吐くのだ。何故カイトに? カイトを見るのをやめてほしい。
それはアレクセイも気付いているようで、二人して悶々とした気持ちを抱えていた。一度シンシアとカイトの視線が合う。シンシアが僅かに微笑みながら頷いた。カイトも笑んで頷き返す。
一体今のは何だろう・・・胸が少し痛んだ。
食事が終わって席を立つと男性は別室に移動をした。お酒を飲みながら領地の管理や政治的な事柄について議論を交わすらしい。女性も居間で、食後のお茶を頂きながら閑談に興じる事となった。
カイトがリリアーナの傍まで来ると跪(ひざまず)く。
「リリアーナ様、何時にお迎えに上がればよろしいですか?」
「一時間位と思っているのだけど」
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カイトは身を起こすと、胸に手を当て礼をして退室した。周りのご令嬢や奥様方が`ほぉっ―― ‘ と見惚れている。
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「サー・カイトはご婚約者である上に、リリアーナ王女殿下の騎士でもいらっしゃるのですか?」
「本来なら他の騎士に変わるべきなのですが、私が接しても大丈夫な男性騎士がなかなか見つからなくて・・・」
「リリアーナ王女殿下はその美しさから大変な目にお会いになりましたものね。でも羨ましいですわ。あんな騎士に跪かれたら・・・私、気絶してしまいます!」
最初は婚約者が騎士だなんて、と遠まわしに何かを言われるかと思ったのだが、どうもそうではないらしい。今は素敵な騎士に傅(かしず)かれたいという話題に変わっている。身分違いを指摘されないかと心配したが、杞憂(きゆう)に終わったようだ。
「私もリリアーナ様が羨ましいわ、あんな素敵な方が婚約者で」
シンシアがとても羨ましそうに言った。
「ありがとうございます」
羨ましいだけ・・・? と思ってしまう。嫉妬なんて醜い。これでこの後、閑談なんてできるのだろうか
先程の話しを皮切りに、社交界に顔を出していなかったリリアーナの元へ貴族の奥方様や、ご令嬢達が群がってきた。気の重い一時間になると思ったが、その後の時間は思ったより楽しいものであった。同い年のご令嬢も多いし、最近の流行り物など、お喋りに花が咲く。
一時間後にカイトが迎えに来たが、リリアーナが楽しそうに話しているのを見ると、廊下で待機する事にしたようで何も言わずに出て行った。
それを見掛けたシンシアが、侍女を呼び寄せ、手にメモのような物をそっと握らせる。侍女は退室したカイトの後を追って出て行った。
とても気になる。何を渡すの? 話しを早めに切り上げて、失礼する旨を伝えると、リリアーナが抜けるのならばとお開きになった。
扉を出るとカイトが待っていて、傍までくると微笑んで右肘を差し出された。その腕に左手を添えて歩き出したが、じっと顔を見てしまう。
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