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第十章
私を呼んで 12 スティーブとフラン
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「リリアーナ可哀想に・・・クリスティアナ姉様の言う通りになってしまうのかしら」
アレクセイがサファイアの肩に手を置いた。
「いや、カイトに出会ってから後、最近のリリアーナは芯が強くなった。我々も希望を持とう」
「フランチェスカ、貴方は少し休みなさい」
「いいえ、クリスティアナ様、リリアーナ様が大変な時に休んでなんていられません」
「でも昨日から寝ていないでしょう? 目の下に隈ができているわよ」
「もう少しだけ様子を見て・・・そうしたら休ませて頂きます」
「さっきからそればかりで・・・」
ノックの後にスティーブが入ってきた。
「失礼いたします」
「スティーブ、貴方からも言ってやって」
「え・・・? わっ、フランチェスカ! どうしたんだその顔は!?」
フランチェスカの頬はやつれ、白目は充血、目の下には隈、見るからに疲れている中座り込んで、一心不乱にビジョンに見入っている。
クリスティアナが説明をする。
「この子、元々ここに張り付いていて、あんまり寝ていなかったんだけど、昨日カエレス様が`一生を夢の中宣言 ‘ をしてからは一睡もしていないの」
「何だってまた・・・。リリアーナ様も夜は夢の中で眠っているのに」
「私達もそう言ったんだけど、何があるか分からないからって、その上・・・」
クリスティアナはちらりとフランチェスカを見て、小声になる。
「カイトが寝ている間にリディスが自分の香りと、キスマークをこっそりつけてしまったの。それに気付いたリリアーナがつい今しがたショックを受けて・・・それを見た後に益々あそこから、てこでも動かない状態になってしまって」
スティーブがフランチェスカをじっと見つめる。
「分かりました――」
フランチェスカの後ろに立って声をかけた。
「フラン」
フランチェスカが顔を上げる。
「スティーブ・・・仕事が終わったの?」
「ああ、お前寝てないだろう? 酷い顔をしている。部屋に連れて行ってやるから、少し横になれ」
スティーブが肘を持つと、その手を振り払った。
「放してよ! 私は大丈夫だから! 見ていないといけないの!」
「大丈夫って顔じゃないぞ。ほら、立って」
肘をまた掴んで無理矢理立たせる。
「放っておいてって言っているでしょう! だって・・・だってずっと見ていてあげないと、姫様は一人なのよ・・・」
「例えお前が見ていても、リリアーナ様には分からないし、伝わらないんだぞ!」
「いいの! 私が好きでやっているんだから!!」
「それは意味がない行動だし、無駄な努力だ――」
フランチェスカが顔を歪めた。バシッと頬を叩く音が部屋中に響き渡る。
「――気が済んだか?」
頬を赤くさせたスティーブがフランチェスカに声を掛ける。フランチェスカがぽろぽろと涙を零し始めた。それは次から次へと溢れてきてとうとう止まらなくなってしまった。
盛大に泣き始めたフランチェスカを横に抱き上げる。
「お騒がせしました」
部屋を出ていくスティーブを皆でぽかんと見送る。サファイアが口を開いた。
「なんていうか・・・勇者だったわね。あの状態のフランチェスカに意見するなんて」
アレクセイも同意しながら、一言付け加える。
「スティーブ、男前だったな――」
「下ろしてよ~~~、ビジョンの前に戻るんだから~」
フランチェスカはスティーブの胸をぽかぽかと殴っている。
「まだ言ってんのかお前、拳に力も入ってないし、もう諦めろ。自分でも限界感じてるんだろ?」
「スティーブのくせに生意気ーーー!!」
「うわっ! 腕を噛むな! マジ痛いんだぞ」
さすがに疲れたのか腕の中で大人しくなったフランチェスカにスティーブが言って聞かせる。
「リリアーナ様が帰って来た時に、フランが元気じゃなかったらどうするんだ? リリアーナ様も心配するし、お前もそんな調子じゃお世話できないだろ」
「うん・・・」
「フランが見ていない間のビジョンは俺がちゃんとチェックして、後で教えてやるから」
「ラブシーンになったら、ちゃんと消してもらってよ」
「ああ、ソフトなやつじゃない時はな」
フランチェスカが少し膨れた。
「スティーブのくせに・・・」
「はいはい」
優しく答えるスティーブ
「・・・ありがとう」
「分かってるよ・・・」
フランチェスカは安心してスティーブの胸に顔を埋めた。
アレクセイがサファイアの肩に手を置いた。
「いや、カイトに出会ってから後、最近のリリアーナは芯が強くなった。我々も希望を持とう」
「フランチェスカ、貴方は少し休みなさい」
「いいえ、クリスティアナ様、リリアーナ様が大変な時に休んでなんていられません」
「でも昨日から寝ていないでしょう? 目の下に隈ができているわよ」
「もう少しだけ様子を見て・・・そうしたら休ませて頂きます」
「さっきからそればかりで・・・」
ノックの後にスティーブが入ってきた。
「失礼いたします」
「スティーブ、貴方からも言ってやって」
「え・・・? わっ、フランチェスカ! どうしたんだその顔は!?」
フランチェスカの頬はやつれ、白目は充血、目の下には隈、見るからに疲れている中座り込んで、一心不乱にビジョンに見入っている。
クリスティアナが説明をする。
「この子、元々ここに張り付いていて、あんまり寝ていなかったんだけど、昨日カエレス様が`一生を夢の中宣言 ‘ をしてからは一睡もしていないの」
「何だってまた・・・。リリアーナ様も夜は夢の中で眠っているのに」
「私達もそう言ったんだけど、何があるか分からないからって、その上・・・」
クリスティアナはちらりとフランチェスカを見て、小声になる。
「カイトが寝ている間にリディスが自分の香りと、キスマークをこっそりつけてしまったの。それに気付いたリリアーナがつい今しがたショックを受けて・・・それを見た後に益々あそこから、てこでも動かない状態になってしまって」
スティーブがフランチェスカをじっと見つめる。
「分かりました――」
フランチェスカの後ろに立って声をかけた。
「フラン」
フランチェスカが顔を上げる。
「スティーブ・・・仕事が終わったの?」
「ああ、お前寝てないだろう? 酷い顔をしている。部屋に連れて行ってやるから、少し横になれ」
スティーブが肘を持つと、その手を振り払った。
「放してよ! 私は大丈夫だから! 見ていないといけないの!」
「大丈夫って顔じゃないぞ。ほら、立って」
肘をまた掴んで無理矢理立たせる。
「放っておいてって言っているでしょう! だって・・・だってずっと見ていてあげないと、姫様は一人なのよ・・・」
「例えお前が見ていても、リリアーナ様には分からないし、伝わらないんだぞ!」
「いいの! 私が好きでやっているんだから!!」
「それは意味がない行動だし、無駄な努力だ――」
フランチェスカが顔を歪めた。バシッと頬を叩く音が部屋中に響き渡る。
「――気が済んだか?」
頬を赤くさせたスティーブがフランチェスカに声を掛ける。フランチェスカがぽろぽろと涙を零し始めた。それは次から次へと溢れてきてとうとう止まらなくなってしまった。
盛大に泣き始めたフランチェスカを横に抱き上げる。
「お騒がせしました」
部屋を出ていくスティーブを皆でぽかんと見送る。サファイアが口を開いた。
「なんていうか・・・勇者だったわね。あの状態のフランチェスカに意見するなんて」
アレクセイも同意しながら、一言付け加える。
「スティーブ、男前だったな――」
「下ろしてよ~~~、ビジョンの前に戻るんだから~」
フランチェスカはスティーブの胸をぽかぽかと殴っている。
「まだ言ってんのかお前、拳に力も入ってないし、もう諦めろ。自分でも限界感じてるんだろ?」
「スティーブのくせに生意気ーーー!!」
「うわっ! 腕を噛むな! マジ痛いんだぞ」
さすがに疲れたのか腕の中で大人しくなったフランチェスカにスティーブが言って聞かせる。
「リリアーナ様が帰って来た時に、フランが元気じゃなかったらどうするんだ? リリアーナ様も心配するし、お前もそんな調子じゃお世話できないだろ」
「うん・・・」
「フランが見ていない間のビジョンは俺がちゃんとチェックして、後で教えてやるから」
「ラブシーンになったら、ちゃんと消してもらってよ」
「ああ、ソフトなやつじゃない時はな」
フランチェスカが少し膨れた。
「スティーブのくせに・・・」
「はいはい」
優しく答えるスティーブ
「・・・ありがとう」
「分かってるよ・・・」
フランチェスカは安心してスティーブの胸に顔を埋めた。
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