ダークエルフは洞窟の果てに幸せを掴む

みやぢ

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晩餐会にて

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そして宴は始まった。
女王陛下をはじめ大臣たちと挨拶を交わし、各国から来ている大使や貿易商たちと歓談…と形通りに進んでいった。

さやかさんは王国の貿易担当の役人と熱心に話し込んでいる。

正直僕はこういう席は苦手だ。

幸い酒と料理は美味しいのでそちらに専念している。

ふと見ると外のバルコニーに通じる扉が開いているのに気が付いた。

ちょうど酔い覚ましに風に当たりたかったのでこれ幸いとそこからバルコニーに抜け出した。

そこには同じように何人か抜け出してきていた。

夜風が心地よい…夜空を見上げていると声をかけられた。

「お隣よろしいでしょうか?」

声の方へ向き直るとドレスに身を包んだダークエルフのご婦人だった。

「あら、あなたは…?」

そう言われてよく見ると連絡船で一緒だったエイラート中佐だった。

「エイラート中佐、先日はどうも…どうしてここに?」

「近衛師団の主な仕事は女王陛下の警護ですからね」

そう言って中佐は微笑んだ。

「この晩餐会は本来私の担当ではないのですが、メリィ…女王陛下のご希望でここにいるのです」

「…?」

「当代の女王陛下、メリンダ•カーランドとは学生時代からの友人なので…」

「そうなんですね…」

「ところで南さま…というのは氏族名ですね、お名前はなんとおっしゃるのです?」

「愼太郎…南愼太郎がフルネームです」

「シンタロウとおっしゃるのですね、そうお呼びしてもよろしいですか?」

「もちろんです」

「よかった、私のことはエミリアとお呼びくださいね」

「ところでここにいても大丈夫なんですか?」

「えぇ…わたしこういう席は苦手でして、上官にお願いして交代させていただきました」

「ははっ…僕と同じですね、それにしてもドレスがよくお似合いだ」

エイラート中佐ははにかんだように笑って言った。

「ふふっ、お上手ですのね…よければしばらくここでお話しません?シンタロウの住む世界のこともっと知りたいのです」

そして僕たちはパーティーそっちのけでバルコニーでいろいろな話をした、僕の住んでいる世界のこと、エミリアの故郷のこと、そして当代の女王陛下との学生時代のことなど…

エミリアは僕の話を熱心に聞き入っていたし、エミリアの話は僕にとって興味深い話ばかりだった。

やがて会場がざわつきはじめた、そろそろ宴もお開きのようだ。

「シンタロウ、このあとのご予定は?」

「特にないですけど…?」

「よければお付き合い願えません?もう少しお話したいのです」

「もちろんです!よろこんで‼︎」

そう言うとエミリアは嬉しそうに笑った。

僕はさやかさんに先に戻ってて欲しいと告げ、馬車に乗るのを見送った。
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