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王都の暮らし
①
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晩餐会の夜、僕はエミリアと意気投合してそのまま彼女の私邸に泊まってしまった。
特に何があったと言うわけではないが、相手は高位の軍人だ、迷惑をかけてしまっていないか少し心配していたのだけど、しばらくしたある日のことだった。
「失礼致します!王宮から参りました、南慎太郎様はおいでになりますか?」
制服に身を包んだ若いダークエルフが事務所の入り口でそう言った。
「はい、僕に何か?」
「近衛師団エミリア・エイラート中佐より私信を承って参りました」
そう言うと鞄から手紙を取り出して恭しく手渡してきた。
「ご苦労様です」
「失礼致します!」
手紙を受け取ると敬礼して事務所から出ていった。
封筒を開くとほのかなお香のような香りが漂ってきた。
「親愛なる愼太郎さま…」
その手紙は軍人らしいというか才気あふれる丁寧な文面で綴られていた。
そして返信のやり取りの仕方などわかりやすく書いてあった。
「王国」にはまだ電話が本格的に普及してはいない、昔ながらの手紙のやり取りが主流だ。
もちろん洞窟の外、つまり僕たちの世界への連絡手段も当然そうなる。
ただ王宮にいるエミリアとのやり取りは普通に手紙で、と言うわけではなく軍のメッセンジャーが使えるからそれを使って欲しいと言うことだった。
僕とエミリアが手紙のやり取りをするようになってしばらくして、エミリアから食事に誘われた、もちろん二つ返事だ。
仕事が終わってから王宮へ行き、通用門で来意を告げると小さな応接室のような部屋へ通された。
「こちらでお待ちください」
門衛の士官がそう言って出ていった…
しばらくして扉がノックされ、エミリアが入ってきた。
「愼太郎!お待たせしました」
エミリアは明らかに嬉しそうな笑顔だった。
二人は連れ立って通用門から出ると辻馬車が停まっている交差点まで歩いてエミリアの馴染みの御者の駆る馬車へ乗り込んだ。
道中エミリアはここ最近の出来事を色々話してくれた。
女王陛下は彼女と学生時代から親しいこともあって色々と無理を言って侍女共々振り回されているらしい。
口には出さないけれど彼女のストレスはかなりのものなのは想像にたやすい。
僕は少しでもはけ口になれればと聴き役に徹することにした。
そうして夜は更けていき、お店も閉店の時間を迎えた。
「ごめんなさいね、わたしばかり喋ってしまって…」
「ううん、喋って少しは気が楽になったかな?」
「……」
そこで彼女は自身の溜まっていたストレスの多さに気がついたようで頬を染めて黙ってしまった。
「また喋りたくなったらいつでも聞いてあげるよ、僕にはそれくらいしかできないけどね」
「ありがとう…もう少しだけお付き合いしていただいていいですか?」
「いいけど…お店はもう…」
「わたしの私邸なら…時間を気にしなくても…」
特に何があったと言うわけではないが、相手は高位の軍人だ、迷惑をかけてしまっていないか少し心配していたのだけど、しばらくしたある日のことだった。
「失礼致します!王宮から参りました、南慎太郎様はおいでになりますか?」
制服に身を包んだ若いダークエルフが事務所の入り口でそう言った。
「はい、僕に何か?」
「近衛師団エミリア・エイラート中佐より私信を承って参りました」
そう言うと鞄から手紙を取り出して恭しく手渡してきた。
「ご苦労様です」
「失礼致します!」
手紙を受け取ると敬礼して事務所から出ていった。
封筒を開くとほのかなお香のような香りが漂ってきた。
「親愛なる愼太郎さま…」
その手紙は軍人らしいというか才気あふれる丁寧な文面で綴られていた。
そして返信のやり取りの仕方などわかりやすく書いてあった。
「王国」にはまだ電話が本格的に普及してはいない、昔ながらの手紙のやり取りが主流だ。
もちろん洞窟の外、つまり僕たちの世界への連絡手段も当然そうなる。
ただ王宮にいるエミリアとのやり取りは普通に手紙で、と言うわけではなく軍のメッセンジャーが使えるからそれを使って欲しいと言うことだった。
僕とエミリアが手紙のやり取りをするようになってしばらくして、エミリアから食事に誘われた、もちろん二つ返事だ。
仕事が終わってから王宮へ行き、通用門で来意を告げると小さな応接室のような部屋へ通された。
「こちらでお待ちください」
門衛の士官がそう言って出ていった…
しばらくして扉がノックされ、エミリアが入ってきた。
「愼太郎!お待たせしました」
エミリアは明らかに嬉しそうな笑顔だった。
二人は連れ立って通用門から出ると辻馬車が停まっている交差点まで歩いてエミリアの馴染みの御者の駆る馬車へ乗り込んだ。
道中エミリアはここ最近の出来事を色々話してくれた。
女王陛下は彼女と学生時代から親しいこともあって色々と無理を言って侍女共々振り回されているらしい。
口には出さないけれど彼女のストレスはかなりのものなのは想像にたやすい。
僕は少しでもはけ口になれればと聴き役に徹することにした。
そうして夜は更けていき、お店も閉店の時間を迎えた。
「ごめんなさいね、わたしばかり喋ってしまって…」
「ううん、喋って少しは気が楽になったかな?」
「……」
そこで彼女は自身の溜まっていたストレスの多さに気がついたようで頬を染めて黙ってしまった。
「また喋りたくなったらいつでも聞いてあげるよ、僕にはそれくらいしかできないけどね」
「ありがとう…もう少しだけお付き合いしていただいていいですか?」
「いいけど…お店はもう…」
「わたしの私邸なら…時間を気にしなくても…」
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