ダークエルフは洞窟の果てに幸せを掴む

みやぢ

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王都の暮らし

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結局その日は夜遅くまでエミリアの私邸で話し込んでそのまま泊まってしまった。

そして翌朝、エミリアが用意してくれた朝食を前に僕はいろいろ考えていた…

「どうしました?お口に合いませんでしたか?」

「いや、美味しいよ…こういう朝食は久しぶりだなと思って…」

「いつもどうされてますの?」

こちらに来てからは市場で売っている硬いパンのようなものと向こうから持参したコーヒーで済ませることが多かった。

「それでは飽きてしまうでしょう、愼太郎さえ良ければ毎日でもご一緒いたしますよ」

「ははっ…なんかそう言われると照れくさいな」

「どうしてです?」

「僕たちの世界では男女でそういう関係になるのを『恋人』っていうんだよ」

「恋人…わたしと慎太郎はなれませんか?」

エミリアは真顔で僕の目を見つめてきた…

「わたしはこの世界で軍人として育ってきました、ですが貴方と出会ってこの世界以外のこと、そして貴方にに興味が湧いてきたのです」

そう言うとエミリアは僕のほうへ歩み寄ってきてひざまずいた。

「貴方のこと、そして貴方の住む世界のことをもっと教えてください」

「それはいいけど…だけどそんなに大袈裟に考えなくても」

「ですが、わたしはこう言う方法でしか…」

「わかったよ…まずはそこからかもな」

さて…困った、確かにエミリアは美人で魅力的だしなぁ…

「とにかく座って、話はそれからだよ」

そんなことがあって僕とエミリアはお互いの休みをやりくりして一緒に過ごすようになっていた。

と言ってもエミリアは中佐という地位にいるだけにそのあたりは融通が効くらしい。

そして僕はエミリアと一緒に休日を過ごすようになって普段の仕事にも張り合いが出るようになったようだ。

「愼太郎、あなた最近仕事張り切ってるじゃない」

さやかさんにそう言われて初めて気がついたのだけど…

エミリアも僕たちの世界の書籍などを取り寄せていろいろ勉強しているようで驚くほどの勢いで僕たちの世界のことを吸収していっていた。

本人は謙遜していたが女王陛下の学友とはいえ近衛師団に推挙されるだけのことはあるな、と僕は思った。

そんな彼女としがないサラリーマンの僕、果たして釣り合いが取れるのか?
一抹の不安はあったけれど…

それに僕自身社長の下で働くようになって仕事について行くのに必死でそういうことにすっかり疎くなってしまっていたのを痛感していた。

「いつ以来かな、こんな気持ちになったのは…」

遠い昔、学生時代のことを思い出しながらひとり呟いていた。










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