2 / 20
ようこそロマン亭へ <2>
しおりを挟む
そうこうしてるうちに出かける時間になったので駅へと向かった。
電車の中で見覚えのあるブロンドヘアの少女がいるのに気がついた。
うちのお店でアルバイトしている高校生ありすだ。
「おはよう、ありすちゃん」
「あっ!おはようございますセンパイ!」
彼女は通っている高校のOBでもある僕のことを「センパイ」と呼ぶ。
「珍しいですね、お出かけですか?」
「実はね…」
まどかさんから頼まれた撮影のことを話すと彼女の表情が一変した。
「わーい!今日の撮影センパイといっしょだー!」
「どういうこと?」
「このお仕事、まどかセンパイから声かけてもらったんです、先方が小柄なモデルが希望らしくて」
「そうなんだ」
「知らない人がお相手だったら緊張するなーって思ってたんですけど、センパイがお相手なら安心です❤️」
…なんだかおかしな展開になってきてる?
まぁ、ありすの嬉しそうな顔を見るとまんざらではない。
ありすのブロンドヘアが朝日を浴びてキラキラ光っている。
彼女の母方の祖母が東欧のとある国の出身で、ありすのブロンドヘアはおばあさんから受け継いだ生まれついてのものだそうだ。
東西冷戦の最中に大変な思いをして国交のなかった日本にやってきたそうで、
日本人のご主人と結婚して今では隣町の郊外の古民家でのんびり暮らしているらしい。
僕の母校は多言語教育に力を入れていて、帰国子女や外国人の生徒がけっこう多い、ありすの容姿も違和感なく受け入れられているようだ。
やがて電車はスタジオのある駅に到着した。
まどかさんの手伝いで何度となく訪れているので勝手知ったるものだ。
駅前の雑居ビルの一角にあるスタジオに入るとまどかさんが出迎えてくれた。
「お休みの日にごめんね、先にありすちゃんの着替えとメイク手伝うから少し待っててね」
まどかさんとありすが更衣室へ入っていった。
2人が用意しているあいだ手持ち無沙汰にしていると誰かが入って来た。
「おはようございます、あれ?どうしたんですか?」
入って来たのはさくらだった、うちのお店で働いているかおるさんの娘でありすとクラスメイトでもある。
「まどかさんのお手伝いでね、さくらちゃんは?」
「ありすがモデル撮影するから見学にきましたー、終わったらお茶しに行く約束してるんです♪」
「そうなんだ」
しばらくしてまどかさんが更衣室から出てきた。
「さぁ、新婦さんの入場よ」
ドレスに身を包んだありすがゆっくり出てきた。
「かわいー❤️」
「な、なんか照れくさいな…」
「可愛いよありすちゃん」
「素材が良いから凄く綺麗にできたわー」
ありすは照れくさそうしていたがまどかさんは満足げにしている。
「先にありすちゃん単体で撮り始めるからその間に翔太郎くんも用意しようか、あとでメイクするから着替えたら声かけてね」
「わかった」
スーツに着替えたあとまどかさんにメイクしてもらう。
「わたしとだと思ってたでしょー、残念でした」
まどかさんはいたずらっぽく笑った。
「ちょっと期待はしてたけどね…」
冗談混じりでテキパキと用意していくまどかさん。
「はい、できあがり、新郎さん背すじ伸ばしてシャキッとお願いね!」
背中をパンと叩かれて更衣室から出ていく。
撮影は順調に進んでいった。
ありすはコスプレをしてるだけあって最初こそ緊張していたもののやはり見せ方撮られ方を心得ているので堂々としたものだ。
「いいよねー卒業したらうちでスカウトしちゃおうかしら」
まどかさんもまんざらではないようすだ。
そろそろ撮影も終わりという頃、カメラマンさんがまどかさんになにか耳打ちしてまどかさんはさくらと一緒に更衣室へと消えていった。
そしてひととおりの撮影が終わった頃にカメラマンさんが言った。
「これで撮影は終わり、ここからはオマケね!」
すると更衣室からドレスに着替えたまどかさんとスーツを着たさくらが現れた。
まどかさんきれいだ…
「わー、やっぱりまどかセンパイきれい!」
「なんだか照れくさいわね…」
「せっかく彼氏くん来てるんだからついでに撮っとこうね」
カメラマンさんの粋なはからい(まどかさんは悪ノリと言っていたが)で2組のカップルフォトを撮ってもらった。
そして撮影が終わり後片付けを手伝っているとまどかさんが言った。
「終わったら晩ごはん食べにいこうか?今日はわたしが奢るよ」
「いいね、付き合うよ」
「じゃあスタジオの鍵返して手続きがあるから駅前で待ってて」
ビルから出るとありすたちがいた。
「おつかれさまでしたー」
「おつかれさま、どうだった?」
「楽しかったですーいつか本当にドレス着られるようにがんばります!」
そういってありすたちは連れ立って駅の方へ走り出した。
電車の中で見覚えのあるブロンドヘアの少女がいるのに気がついた。
うちのお店でアルバイトしている高校生ありすだ。
「おはよう、ありすちゃん」
「あっ!おはようございますセンパイ!」
彼女は通っている高校のOBでもある僕のことを「センパイ」と呼ぶ。
「珍しいですね、お出かけですか?」
「実はね…」
まどかさんから頼まれた撮影のことを話すと彼女の表情が一変した。
「わーい!今日の撮影センパイといっしょだー!」
「どういうこと?」
「このお仕事、まどかセンパイから声かけてもらったんです、先方が小柄なモデルが希望らしくて」
「そうなんだ」
「知らない人がお相手だったら緊張するなーって思ってたんですけど、センパイがお相手なら安心です❤️」
…なんだかおかしな展開になってきてる?
まぁ、ありすの嬉しそうな顔を見るとまんざらではない。
ありすのブロンドヘアが朝日を浴びてキラキラ光っている。
彼女の母方の祖母が東欧のとある国の出身で、ありすのブロンドヘアはおばあさんから受け継いだ生まれついてのものだそうだ。
東西冷戦の最中に大変な思いをして国交のなかった日本にやってきたそうで、
日本人のご主人と結婚して今では隣町の郊外の古民家でのんびり暮らしているらしい。
僕の母校は多言語教育に力を入れていて、帰国子女や外国人の生徒がけっこう多い、ありすの容姿も違和感なく受け入れられているようだ。
やがて電車はスタジオのある駅に到着した。
まどかさんの手伝いで何度となく訪れているので勝手知ったるものだ。
駅前の雑居ビルの一角にあるスタジオに入るとまどかさんが出迎えてくれた。
「お休みの日にごめんね、先にありすちゃんの着替えとメイク手伝うから少し待っててね」
まどかさんとありすが更衣室へ入っていった。
2人が用意しているあいだ手持ち無沙汰にしていると誰かが入って来た。
「おはようございます、あれ?どうしたんですか?」
入って来たのはさくらだった、うちのお店で働いているかおるさんの娘でありすとクラスメイトでもある。
「まどかさんのお手伝いでね、さくらちゃんは?」
「ありすがモデル撮影するから見学にきましたー、終わったらお茶しに行く約束してるんです♪」
「そうなんだ」
しばらくしてまどかさんが更衣室から出てきた。
「さぁ、新婦さんの入場よ」
ドレスに身を包んだありすがゆっくり出てきた。
「かわいー❤️」
「な、なんか照れくさいな…」
「可愛いよありすちゃん」
「素材が良いから凄く綺麗にできたわー」
ありすは照れくさそうしていたがまどかさんは満足げにしている。
「先にありすちゃん単体で撮り始めるからその間に翔太郎くんも用意しようか、あとでメイクするから着替えたら声かけてね」
「わかった」
スーツに着替えたあとまどかさんにメイクしてもらう。
「わたしとだと思ってたでしょー、残念でした」
まどかさんはいたずらっぽく笑った。
「ちょっと期待はしてたけどね…」
冗談混じりでテキパキと用意していくまどかさん。
「はい、できあがり、新郎さん背すじ伸ばしてシャキッとお願いね!」
背中をパンと叩かれて更衣室から出ていく。
撮影は順調に進んでいった。
ありすはコスプレをしてるだけあって最初こそ緊張していたもののやはり見せ方撮られ方を心得ているので堂々としたものだ。
「いいよねー卒業したらうちでスカウトしちゃおうかしら」
まどかさんもまんざらではないようすだ。
そろそろ撮影も終わりという頃、カメラマンさんがまどかさんになにか耳打ちしてまどかさんはさくらと一緒に更衣室へと消えていった。
そしてひととおりの撮影が終わった頃にカメラマンさんが言った。
「これで撮影は終わり、ここからはオマケね!」
すると更衣室からドレスに着替えたまどかさんとスーツを着たさくらが現れた。
まどかさんきれいだ…
「わー、やっぱりまどかセンパイきれい!」
「なんだか照れくさいわね…」
「せっかく彼氏くん来てるんだからついでに撮っとこうね」
カメラマンさんの粋なはからい(まどかさんは悪ノリと言っていたが)で2組のカップルフォトを撮ってもらった。
そして撮影が終わり後片付けを手伝っているとまどかさんが言った。
「終わったら晩ごはん食べにいこうか?今日はわたしが奢るよ」
「いいね、付き合うよ」
「じゃあスタジオの鍵返して手続きがあるから駅前で待ってて」
ビルから出るとありすたちがいた。
「おつかれさまでしたー」
「おつかれさま、どうだった?」
「楽しかったですーいつか本当にドレス着られるようにがんばります!」
そういってありすたちは連れ立って駅の方へ走り出した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる







