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猫又、街へ<1>
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「…なるほどね、それでにあちゃんは棲家を追われてしまったというわけね」
「そうなんだよ、だから母さん、にあをうちに住ませてあげてほしいんだ」
母さんは腕組みして考え込んでいた。
「まったくかずまといいたけるといい、なんでうちの一族の男はあやかしに縁があるのかねぇ…わかったわ、2階の空いてる部屋使いなさい」
「ありがとう母さん!」
僕はにあと手を取り合って喜んだ。
「母上さま、恩に切ります」
そう言ってにあは頭を深々と下げた。
「そうと決まればまずはその着物では目立つし着替えもいるでしょう、サイズ計らせてもらおうかしら」
そういうと母さんは仕事用のメジャーを取り出した。
「たける、今からにあちゃん服脱ぐからちょっと出てて、それととりあえずあなたのTシャツと短パン貸してあげて」
「わかった」
僕は自分の部屋へ着替えを取りに上がった。
「こら、じっとしてなさい!」
「ふぎゃっ!、こんな時に術を使うとは…」
「あなたがじっとしないからよ…」
母さんに服を渡してにあが着替えるのを廊下で待っていると「もういいわよ」と母さんが言ってきた。
部屋へ入るとにあが僕のTシャツと短パンに着替えていた。
「とりあえず、余ってる生地で何か作るわ、納期が近いから簡単なのしか縫えないけどね」
こうしてにあは僕に家に居候することになった。
その夜、僕は自分の部屋で休んでいるとにあが部屋にやってきた。
「たける、なんだか落ち着かなくてな、一緒に寝かせてくれぬか」
「いいけど…」
「すまない」
そう言ってにあは僕のベッドに潜り込んできた。
飼い猫だったころの記憶が蘇ったのか僕にピッタリ抱きついて眠っていた。
おかげで僕はあまり眠れなかったけれど…
翌朝、僕が起きてもにあはまだ眠っていた。
「おはよう、母さん」
「たける、おはよう」
母さんも遅くまでにあの服を縫っていたようで眠そうだった。
「にあちゃんは?」
「まだ寝てるよ」
「そう、安心したのかしらね」
朝食を済ませて学校へ行く準備をしているとにあが起きてきた。
「たける、何処へ行くのじゃ?」
「学校だよ」
「我もついていって良いか?」
「だーめ、遊びに行くんじゃないから」
「そうか…」
にあはしょんぼりしていた。
「その代わり明日はお休みだからどこか連れていってあげるよ」
「そうか、それは楽しみじゃ」
「じゃあ母さんとお留守番よろしくね」
学校から帰ってくるとにあは黒いチュニックのような服を着せてもらっていた。
「どう?かわいいでしょ、納期前で余裕ないからこんなのしか作れなかったけどね」
「いいじゃない、よく似合ってるよ」
「そうかな…」
にあもまんざらではなさそうだ。
「手が空いたらちゃんとしたの縫ってあげるからね」
「母上さま、感謝いたします」
「そのお堅い言葉遣いもなんとかしないとね」
「…だよなぁ」
「そうなんだよ、だから母さん、にあをうちに住ませてあげてほしいんだ」
母さんは腕組みして考え込んでいた。
「まったくかずまといいたけるといい、なんでうちの一族の男はあやかしに縁があるのかねぇ…わかったわ、2階の空いてる部屋使いなさい」
「ありがとう母さん!」
僕はにあと手を取り合って喜んだ。
「母上さま、恩に切ります」
そう言ってにあは頭を深々と下げた。
「そうと決まればまずはその着物では目立つし着替えもいるでしょう、サイズ計らせてもらおうかしら」
そういうと母さんは仕事用のメジャーを取り出した。
「たける、今からにあちゃん服脱ぐからちょっと出てて、それととりあえずあなたのTシャツと短パン貸してあげて」
「わかった」
僕は自分の部屋へ着替えを取りに上がった。
「こら、じっとしてなさい!」
「ふぎゃっ!、こんな時に術を使うとは…」
「あなたがじっとしないからよ…」
母さんに服を渡してにあが着替えるのを廊下で待っていると「もういいわよ」と母さんが言ってきた。
部屋へ入るとにあが僕のTシャツと短パンに着替えていた。
「とりあえず、余ってる生地で何か作るわ、納期が近いから簡単なのしか縫えないけどね」
こうしてにあは僕に家に居候することになった。
その夜、僕は自分の部屋で休んでいるとにあが部屋にやってきた。
「たける、なんだか落ち着かなくてな、一緒に寝かせてくれぬか」
「いいけど…」
「すまない」
そう言ってにあは僕のベッドに潜り込んできた。
飼い猫だったころの記憶が蘇ったのか僕にピッタリ抱きついて眠っていた。
おかげで僕はあまり眠れなかったけれど…
翌朝、僕が起きてもにあはまだ眠っていた。
「おはよう、母さん」
「たける、おはよう」
母さんも遅くまでにあの服を縫っていたようで眠そうだった。
「にあちゃんは?」
「まだ寝てるよ」
「そう、安心したのかしらね」
朝食を済ませて学校へ行く準備をしているとにあが起きてきた。
「たける、何処へ行くのじゃ?」
「学校だよ」
「我もついていって良いか?」
「だーめ、遊びに行くんじゃないから」
「そうか…」
にあはしょんぼりしていた。
「その代わり明日はお休みだからどこか連れていってあげるよ」
「そうか、それは楽しみじゃ」
「じゃあ母さんとお留守番よろしくね」
学校から帰ってくるとにあは黒いチュニックのような服を着せてもらっていた。
「どう?かわいいでしょ、納期前で余裕ないからこんなのしか作れなかったけどね」
「いいじゃない、よく似合ってるよ」
「そうかな…」
にあもまんざらではなさそうだ。
「手が空いたらちゃんとしたの縫ってあげるからね」
「母上さま、感謝いたします」
「そのお堅い言葉遣いもなんとかしないとね」
「…だよなぁ」
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