花嫁は猫又⁉︎

みやぢ

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古いお屋敷の市松人形<1>

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高校三年生になって僕は神職の専門学校に進むことを決めたけれど、それまでにおじいちゃんのお社での見習いを続けていた。

そんなある日のこと、かずま叔父さんから連絡があった。

今抱えている拝み屋の仕事で行き詰まっているので助けて欲しいと言うのだ。

まだ見習いの僕になにができるのかよくわからないけどとにかく行くことにした。

かずま叔父さんが家まで車で迎えにきてくれて、にあと二人でとある農村の古いお屋敷に向かった。

「ここだ、このお屋敷のあるじのご婦人が老人ホームへ入ることになったのだけど、それ以降何かとトラブルが多発してるんだ」

「それで僕は何をすればいいんですか?」

「お前とにあとで原因は何かてほしいんだ、俺よりおそらくる力はお前のほうが強くなってる」

「そうかな?」

「それに、にあと接することでその力がさらに増幅されているように俺は感じてる」

お屋敷に入ると車椅子に乗った小柄なおばあさんと息子さんだという中年男性が迎えてくれた。

もともとは庄屋だったという立派なお屋敷にはたくさんの部屋があり、離れや納屋などもあるので霊障の原因を探すと言ってもなかなか骨が折れそうだ。

僕はにあと二人でお屋敷の周辺から見てまわることにした。

しかし手がかりは全くつかめなかった…

途方に暮れた僕たちは縁側に腰を下ろした。

立派な庭を眺めていると、ふと思いついたことがあった。

「にあ、ちょっと手を貸してみて」

「えっ?」

「かずま叔父さんはにあと接することで僕の力は増幅されてるかもしれないって言ってた…だから試してみたいんだ」

そう言って僕はにあの手を握って目を瞑った。

その時僕たちの背後をパタパタと誰かが通った気配がした…

「えっ?誰か通った?」

「誰もいないよ、でも気配はわたしも感じた…」

「にあ、もう一回だ、呼吸を合わせよう」

僕はもう一度目を瞑ってにあと呼吸を合わせるように深呼吸した。

「ちりん」

にあの首の鈴が音を立てた。

「お主たちは此処で何をしておるのじゃ?」

声が聞こえて僕はハッとして目を開けた…そこには着物姿の小さな女の子が居た。

「この猫さんはお主の連れか?」

女の子はにあのお尻…正確に言うと尻尾の付け根あたりをさすり始めた。

「あ…そこは…ダメ…」

にあは力が抜けたようにへたりこんだ…

「こう見えて猫さんの扱いはうまいのだぞ」

女の子は自慢げにそう言って笑った。

「君はいったい何者なんだ?」

「わらわの名はたま、この屋敷に代々伝わる市松人形の付喪神じゃよ」

「市松人形?」

「そうじゃ、この家のあるじが大切にしてくれていたのじゃが、いささか厄介なことになっておってな…」

そう言って市松人形の付喪神「たま」は腕組みした。






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