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~第一章~
17話
しおりを挟むとても穏やかな日々が続き、私も2歳になったがお母様の体調の回復を聞いていたので何時もどうり執務室でお兄様のお仕事の様子を見ながら勉強する。
本当に何事もなく日々がすぎて、あれ以降、父のネルノイも帰って来る事もなく平和が続き.......
私自身、気を抜いていたのだ。
それが......
そんな日々が......
この瞬間に終わってしまうなんて誰も予想していなかっただろう..............
突然部屋の扉が開きマルゴがなだれ込んでくる。
いつも冷静で慌てることなく何事にも対応しているマルゴがノックもせずに、髪型もくずれ汗だくで入ってきたのだ
何事かと、タヌカが聞くと、息を切らせながら私たちにとって一番残酷な事を言ったのだ......
「タ、タヴィア様が!!!!!タヴィア様が大変でございます!!!すぐに来てください!!!」
そう言ったマルゴを見てお兄様がすごい勢いで立ち上がり走り出す!お屋敷の中を絶対に走らない使用人達がお兄様の走り抜けて行った扉の先をばたばたと走っていく姿が見える。
世界の音がすべて消えたように全部の音が聞こえなくなる
お兄様の後をおってタヌカが走って行ったのをみてルーシーが私を抱き上げすごいスピードでお母様のお部屋に向かっていく....
私の頭の中は真っ白になり、何も考えられなくなっている...
走っているせいかすぐにお母様のお部屋につき寝室に繋がる扉が開けっ放しになっているのが見え、そこに入っていく。
そこには、懸命に心肺蘇生をするお医者様姿と真っ青な顔のお母様....
その横で何かを叫んでいるお兄様が見えて、だんだんルーシーがお母様の元に私を近づけていく.....
そこではっきりと理解したのだ。
お母様の心臓が止まってしまったのだと
そう気付いた時世界の音が戻り、お兄様の悲痛な叫び声のようなお母様!!!と何度も呼ぶ声にはっと思いルーシーの腕を抜け出すように暴れる。
お兄様がお医者様の邪魔にならないような位置で声をかけ続けている方のベッドにおろしてくれる、
私は今まで出したことの無い大きな声でお母様に必死に呼びかける.......
「かーーしゃま!!!!!かーしゃま!!!!かーしゃま!!!」
そうやってお母様に呼びかけるように、どうか戻ってきてと言う意思をこめて叫びつ続ける...
お兄様は泣きながら叫び続けている
「お母様!!!どうか僕達を置いて行かないで下さい!!!!!お願いします!!!まだレーラは小さいんです!お母様が必要なんです!!!!みんなお母様が必要なんです!僕もお母様がいないとダメなんです!!お願いしますお母様!!!!!!」
そう言ってぼろぼろと大粒の涙を流している
私もずっと呼び続ける。。
お医者様の息があがり、かなり時間もたっていたのだろう。
少しづつ動きを止めて行き最後には、手は尽くしましたがタヴィア様は逝かれてしまわれました....
そう言って静かに後ろに下がっていく。
お兄様はそんな.....と、かれてほとんど出ていないような声で言い膝から崩れ落ちる。
私はまだ叫んでいる
止まれない。。。
叫ぶのを止められないのだ。
そんな私の姿を目にうつしたお兄様が後ろから抱きしめて、もぉいいんだよレーラと言って止めてくる。
その顔は真っ青で自分が泣き出したいのを必死に我慢して私を止めてくれていたのだ。
そして私が大きな声で泣き出したのを境にお兄様も泣きだし、それでも私を守るように抱きしめ続けている
この部屋にいるみんなが泣いているのだろう。
すすり泣く声や、声を押し殺せなくなってしまった鳴き声.......
ずっとお母様に付き添っていたノンラが、お母様の手を握り泣きながら頭をさげ大変よくがんばってこられましたねタヴィア様、ゆっくりとお休みくださいと震えた声で言っている。
ルーシーは立っていられなくなったのかマルゴに支えられながら泣いている......
タヌカはノンラの最後のあいさつに、堪えていた涙がついに流れだし、それでもやはり主に仕えた優秀な家令としてお疲れ様でしたと言う言葉を聞き深く頭を下げていた
みんな泣いて動けなくなりしばらく鳴き声が響く部屋に、かれてしまった声のお兄様の声が響きわたる。
「ノンラ.......お母様の最後をみたか.....」
その声にすぐにノンラは顔をあげて答える。
「朝食をとられたのちに、少し疲れたわといいベッドに入るとわたくしはこんなにも皆に慕われて可愛い子供達にも恵まれて、本当に幸せものねと.....そう言って眠ったのが...タヴィア様の最後でございます。」
そう言ってまた泣き出してしまったノンラに私を抱きしめながら近づき、そして彼女の前に立ち
「そうか...お母様の最後は苦しんだわけでもなく、幸せだと言う言葉だったのか............
ノンラ、今までお母様の介抱ご苦労であった。これからは僕達兄妹の事をよろしく頼む......」
そう言ってまたお母様の前に戻り、
「お母様、本当に今までご苦労様でした。僕達を産み育ててくれてとても感謝しております.....ご当主としても立派なお母様に誇れるよう、僕が次期当主としてこれからはこの家を守っていきます.....だから安心してお眠り下さいませ......」
そう言い私を抱いたままお辞儀をし、また泣きそうになるのを必死で我慢して頭を上げ今度はここに集まった使用人達に声をかける。
「お母様が最後に安らかに眠るように逝けたのはあなた達使用人のおかげだと僕は思う。ありがとう.....
これからは僕がこの公爵家と領地とあなた達使用人みんなを守っていく......けれど僕はまだ子供だ。だからこれからも僕を支え、妹のレーラもよろしく頼む。」
そういってまた頭をさげる。
あぁ、この人はなんてすごい人なんだと、まだ子供なのにこの場面を収める為にお母様に縋り付き、泣くのを我慢し
てこの話をしているのだと.......この人はもう次期当主としてずっと覚悟を決めていたのだとこの時わかったのだ..........
私はお兄様を見てそう思い心を決める
お兄様も覚悟されたのだ。私がめそめそしている場合ではない.....
正直気を抜けばまた涙が流れだしそうなのを必死にこらえ、お兄様にギュッと抱きつき強い意志をもって顔を見上げる.....
その目に答えるようにお兄様もうなずき、そして色々な人に指示を出し始めた。
お母様を背に、恥じぬような次期当主としての姿を見せる為必死でがんばるお兄様。
タヌカもそれぞれに指示をだしお兄様を支えてくれている。
ノンラには引き続きお母様のそばに付いてもらう事にした...
これからの事を相談するお兄様とタヌカ、マルゴ、ルーシー。各自持っている執事や侍女たちにお母様の事を伝え、それぞれの仕事に付くように言っているとお兄様が重い口をあける。
それは父ネルノイにこの事を伝えなければならない。
伝えないと言う選択肢はないのだ.....
葬儀などする際は必ず父の存在が必須となるし、もし帰ってこなければこの公爵家に泥を塗ることになる。
すぐに伝令係に伝えに行くように指示をだし向かわせる..
居る場所はたぶんあの女の所だとうけど数人ばらばらに居そうな所へ走らせる。
公爵家のご当主の葬儀になるのだからすごい人数になるだろうし領民にもこの事を伝えなければならない。
みなそれぞれに忙しくしているがお兄様は決して私を離す事はなかったし、私もそばを離れなかった....
これからは私達、兄妹でこの家を守っていくと言うような意思をみせるように二人離れる事はなかった。
やる事が多すぎてお兄様と私は執務室で仮眠をとる事になりみんないったん出て行く。
私もお兄様も普段絶対眠ってるはずの時間帯なのに目が冴えていて、やっとすこし眠くなってきた頃を見計らいタヌカが仮眠を進めてきたのだ。
二人になってしばらくは黙っていたお兄様が口を開く。
もう声もほとんど出てない。
それでも私に言いきかすように言うのだ
「レーラ.....大丈夫だよ。お前には兄様もみんなも付いている....絶対守ってやるからな。
お母様に心配かけないように.........お母様が安心して眠れるように、僕達で支え合ってこの家を守っていこうな。」
そう言って私の背中をいつもみたいにトントンする。
私もその言葉に心の中で相槌をうち、私もお兄様を守れるよう、この家を守れるようがんばるね..
そう言って目を閉じる......
明日に備え、眠るタヴィアの忘れ形見に....
まだ哀しみが残る二人にさらに厳しい現実が待ち受けていたのだった.........
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