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8.一緒に朝食を
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「旦那様から、これからは食事を共にしないかとのご提案がございますが、如何でしょう」
まあ。ノーランの笑顔が胡散臭いですわ。何故かしら。
「……畏まりました。では、朝食をご一緒させてくださいと、お伝えいただけますか」
「承知致しました。旦那様もお喜びになることでしょう。安心致しました」
最初から断られるとは思っていなかったくせに。
何でしょう。彼は悪いキツネさんのようです。
「ノーランはお幾つですか?」
「私は25歳です」
「あら、お若いのですね」
「もっと年寄りに見えましたか?少しショックです」
「いえ、執事さんなのでもう少し上なのかと勝手に思っておりました」
「執事といっても、私の上には家令のホワイト様がいらっしゃいますし、従僕のワイラー様の方が同い年ですが貫禄がありますよ」
「あのお二方はあまり私とお話しをして下さらないのですよね」
やはり立場が半端なせいでしょうか。意地悪はされませんが、全体的に皆様遠巻きなのが少し寂しいところです。
「うーん、やはりミッシェル様を奥様と見るか乳母と見るか、それとも遊び相手なのか。どうにも分からずに遠慮してしまうのでしょう。お困りならば旦那様に相談されては如何でしょうか」
「嫌です。妻として行動すればいいと言われるだけですもの」
「本当でしたらその様に振る舞っていただく予定でしたからね」
「どこの世界に家政も閨ごともすべて放棄して子供と遊ぶだけの妻がいるのです?そんな怠け者に妻としての生活を許したら使用人達が荒れてしまうと思いますわ」
「分かりました。降参します」
ノーランがハンズアップして会話終了です。
たぶん、旦那様に言われたのでしょうが面倒臭いですわね。
「もしかして、明日の朝食は必要なくなりましたか?」
「必要ですよ!?」
……そうですか。残念です。
♢♢♢
翌朝、嫌だな面倒臭いな~と思いつつも旦那様とのお食事に向かいました。
「……地味だな」
開口一番その台詞ですか。朝の挨拶はどこに行ってしまったのでしょう。
「そんなに駄目でしょうか」
「なぜ装飾品を付けないんだ。部屋に用意してあるだろう」
「ああそういう……。ですが、アクセサリーは気を付けないとコニー様達を傷付けてしまうかもしれないので、出来れば付けたくありません」
「……妻は嫌でも、母なら良いのか」
旦那様は相変わらず会話が成り立ちません。ですから共にお食事など嫌でしたのに。
「母ではありません。ただの世話人です」
「二人を悲しませて心が痛まないのか?」
どちらかと言うと、ご自分が痛ませているとは思わないのでしょうか。
「なぜ私が?彼等は確かに母親を求めています。ですがそれは誰でも良い訳ではなく、自分達の本当の母親であるダイアナ様のことですよ?」
はい。ここまでの会話は私はドアの近くで立ったまま。席にすら座れていませんが、まったく気付かないのですよね。そんなだから奥様に逃げられたのではないかしら。
「あんな逃げた女が恋しいだと?」
「はい。旦那様は恋しくないのですか?」
だってフェミィ様の年齢から考えるに、最低でも7年は生活を共にされたはず。お子様がいらっしゃるのですからお体の関係ももちろんあったのですよね?それなのに、愛は無かったというのでしょうか。
「それは嫉妬か?全く以ってくだらんな」
これは笑うところなのでしょうか?
「今のは旦那様渾身の冗談でしょうか」
「なにっ!?」
「ああっ、気が付かず申し訳ありません。笑いを取りたかったか聞くなんて不調法でしたわ」
でも、そんなにも怖い顔をしなくてもいいと思うのよ?だって、今のはとっても下手くそな冗談だったもの。
「お前はどこまで私を馬鹿にすれば!!
……もういい、お前との食事は無しだ!」
バンッ!とテーブルを叩きつけて怒鳴り散らす暴君が登場しました。
逃げる?戦う?謝罪する?
「旦那様の気分を害してしまい誠に申し訳ございません。二度と食事を共にとは願いませんのでお許し下さい。では、私は失礼させて頂きます」
ニッコリ笑顔でカーテシーをしてから回れ右。
私は、謝罪して逃げる。を選ばせていただきます。
「おいっ!」
旦那様が更に怒鳴っていますが気にしません。だって私の名前は『おい』ではありませんし。
こうして、旦那様との朝食会は一度も開催されないまま終わりを迎えたのでした。
「……お腹が空きました……」
まあ。ノーランの笑顔が胡散臭いですわ。何故かしら。
「……畏まりました。では、朝食をご一緒させてくださいと、お伝えいただけますか」
「承知致しました。旦那様もお喜びになることでしょう。安心致しました」
最初から断られるとは思っていなかったくせに。
何でしょう。彼は悪いキツネさんのようです。
「ノーランはお幾つですか?」
「私は25歳です」
「あら、お若いのですね」
「もっと年寄りに見えましたか?少しショックです」
「いえ、執事さんなのでもう少し上なのかと勝手に思っておりました」
「執事といっても、私の上には家令のホワイト様がいらっしゃいますし、従僕のワイラー様の方が同い年ですが貫禄がありますよ」
「あのお二方はあまり私とお話しをして下さらないのですよね」
やはり立場が半端なせいでしょうか。意地悪はされませんが、全体的に皆様遠巻きなのが少し寂しいところです。
「うーん、やはりミッシェル様を奥様と見るか乳母と見るか、それとも遊び相手なのか。どうにも分からずに遠慮してしまうのでしょう。お困りならば旦那様に相談されては如何でしょうか」
「嫌です。妻として行動すればいいと言われるだけですもの」
「本当でしたらその様に振る舞っていただく予定でしたからね」
「どこの世界に家政も閨ごともすべて放棄して子供と遊ぶだけの妻がいるのです?そんな怠け者に妻としての生活を許したら使用人達が荒れてしまうと思いますわ」
「分かりました。降参します」
ノーランがハンズアップして会話終了です。
たぶん、旦那様に言われたのでしょうが面倒臭いですわね。
「もしかして、明日の朝食は必要なくなりましたか?」
「必要ですよ!?」
……そうですか。残念です。
♢♢♢
翌朝、嫌だな面倒臭いな~と思いつつも旦那様とのお食事に向かいました。
「……地味だな」
開口一番その台詞ですか。朝の挨拶はどこに行ってしまったのでしょう。
「そんなに駄目でしょうか」
「なぜ装飾品を付けないんだ。部屋に用意してあるだろう」
「ああそういう……。ですが、アクセサリーは気を付けないとコニー様達を傷付けてしまうかもしれないので、出来れば付けたくありません」
「……妻は嫌でも、母なら良いのか」
旦那様は相変わらず会話が成り立ちません。ですから共にお食事など嫌でしたのに。
「母ではありません。ただの世話人です」
「二人を悲しませて心が痛まないのか?」
どちらかと言うと、ご自分が痛ませているとは思わないのでしょうか。
「なぜ私が?彼等は確かに母親を求めています。ですがそれは誰でも良い訳ではなく、自分達の本当の母親であるダイアナ様のことですよ?」
はい。ここまでの会話は私はドアの近くで立ったまま。席にすら座れていませんが、まったく気付かないのですよね。そんなだから奥様に逃げられたのではないかしら。
「あんな逃げた女が恋しいだと?」
「はい。旦那様は恋しくないのですか?」
だってフェミィ様の年齢から考えるに、最低でも7年は生活を共にされたはず。お子様がいらっしゃるのですからお体の関係ももちろんあったのですよね?それなのに、愛は無かったというのでしょうか。
「それは嫉妬か?全く以ってくだらんな」
これは笑うところなのでしょうか?
「今のは旦那様渾身の冗談でしょうか」
「なにっ!?」
「ああっ、気が付かず申し訳ありません。笑いを取りたかったか聞くなんて不調法でしたわ」
でも、そんなにも怖い顔をしなくてもいいと思うのよ?だって、今のはとっても下手くそな冗談だったもの。
「お前はどこまで私を馬鹿にすれば!!
……もういい、お前との食事は無しだ!」
バンッ!とテーブルを叩きつけて怒鳴り散らす暴君が登場しました。
逃げる?戦う?謝罪する?
「旦那様の気分を害してしまい誠に申し訳ございません。二度と食事を共にとは願いませんのでお許し下さい。では、私は失礼させて頂きます」
ニッコリ笑顔でカーテシーをしてから回れ右。
私は、謝罪して逃げる。を選ばせていただきます。
「おいっ!」
旦那様が更に怒鳴っていますが気にしません。だって私の名前は『おい』ではありませんし。
こうして、旦那様との朝食会は一度も開催されないまま終わりを迎えたのでした。
「……お腹が空きました……」
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