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10.幸せをもたらすもの
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「ミッシェル様、大変失礼を致しました。私の浅はかな考えで、貴方様を傷付けてしまった事を深くお詫び申し上げます」
ノーランが頭を下げた。だが、彼は主を思って忠言しただけだわ。
「謝罪を受け入れます。貴方は何も知らず、主を思って言っただけですもの。だから傷付いてなどいないから大丈夫よ」
「……そんなはずないでしょう。貴方を傷付けた言葉を自分で語るなど……そんなふうに笑わないで下さい。
知りもしないくせに、調べてもいないくせに、甘いことを言うなと怒鳴りつけてぶん殴るくらいして下さいよ。
貴方には怒る権利があるのですから」
怒る権利?そんなものが存在しているだなんて初めて知ったわ。もしかして、私の為に怒ってくれているのかしら?それは……少しだけ嬉しいかもしれません。
「貴方は思っていたより腹黒くないのね?」
「あれはイメージといいますか……。何となく爽やかで腹黒いくらいが執事っぽいかなと思いまして」
これも初めて聞きました。執事が爽やか腹黒イメージだとは。
「ふふっ、何ですの、そんなの聞いたことがありませんっ」
「私のことはいいんです。で、どうします?旦那様は殴っておきましょうか」
え?本気ですの?体格的に負けそうですよ?だって魔王で暴君ですよ?こちらもイメージですけど。
「暴力はあまり好みません。ノーランが理解してくれたらそれでいいわ。傷付きはしないけれど、何度も意味不明なことを聞かれたり聞かされたりするのは思ったより疲れてしまうのよ」
「分かりました。ではミッシェル様は部屋にお戻り下さい。バーキン伯爵のことは私が調べておきます。分かり次第報告致しますので、午後の採寸だけはお嬢様達と一緒に受けて下さいね。交流会の参加は決定との事でしたので、服を仕立てる必要があります」
参加なのですね、やはり。ドレスですか、面倒です。彼から贈られる物など嬉しくありませんのに。
「気が進みませんか?では、皆様で何かお揃いにしたら如何でしょう。同じお色のものを入れるですとか、共布で仕立てるとか。そういったものはお嬢様達が喜びそうですよ」
「え、ノーランは天才ですね?皆でお揃い……ちょっと楽しみです」
「気に入らないとは思いますが、旦那様にも然りげ無くお揃いのものを用意した方が無難ですよ。同じ色のブローチやカフス。共布で作ったクラバットやポケットチーフでもいいと思います。旦那様は黒やグレーの無難なスーツが多いですので、明るめのお色の方がいいでしょう」
えー。ちょっと上がった気分が下がってしまいました。旦那様ともお揃い?控えめに言っても嫌だわ。
「……だって私が嫉妬しているとかおかしなことを口走るから避けたいのですけど」
「ああ、ホントそれ。何ですかね?それも探っておきます。とりあえず機嫌を取っておかないと、交流会の場で殺人鬼の形相になるかもしれないので我慢して下さい。帰りの馬車で誤解を解く方向で乗り越えましょう」
殺人鬼。確かに本気で怒っている時の旦那様は、数人手にかけていそうなお顔でしたわ。
「主人をその様に言っても大丈夫なのですか?」
「いいんです。一応主の想い人っぽいのであなたを守ることは許されるはずですし、騙されていた自分が情けないし恥ずかしいのでその八つ当たりも込みですから」
ああ、やっぱり恥ずかしかったのね?熱く語っていたら勘違いだったのですもの。仕方がありません。
「凄いですわ。まるで間者です、ノーランはスパイですのね?コニー様が喜んでしまいますわ」
「やった。私も仲間入り出来ますか?皆様のお役に立てる様に頑張りますね!」
あら?いつの間にやら仲間が増えた?というか何の仲間なのでしょう。
「残念ですが、貴方が私達の側に来る名分がないのですけれど」
「そんなものは、貴方様達ご家族が幸せになれるためのお手伝いというだけで十分なのではありませんか?」
「幸せですか。そう………うん。分かりました。お嬢様達を幸せにするのを手伝ってくださいな、ノーラン」
「貴方達三人が幸せになれるようにお手伝いしますよ、ミッシェル」
本当にノーランは甘いわ。私はこの家では異分子ですのに。私を含めてしまっては、絶対に何処かで齟齬が生じてしまいます。
でもきっと、そう伝えても納得はしないのでしょうね。
「では、絶対にお嬢様達を傷付けないで。それだけを優先させて下さい」
「畏まりました。それなら貴方を守ればいい」
「……はい?」
「あれ、気付いていないのですか?最近のお二人の幸福は、すべてミッシェル様がもたらしているのですよ」
……何でしょうか。とても気恥ずかしいことを言われてしまった気がします。
「いいから。お二人を守って!」
「はい。お二人が幸せだと日々思える様に尽力致しますね」
そうです。そのお返事が正解ですわ。
「では、お嬢様達のところに戻ります」
「そうして下さい。旦那様には私が確認して来ますから。では、また後で」
所々言い回しが気にはなりますが、心強い味方が出来たようです。
ノーランが頭を下げた。だが、彼は主を思って忠言しただけだわ。
「謝罪を受け入れます。貴方は何も知らず、主を思って言っただけですもの。だから傷付いてなどいないから大丈夫よ」
「……そんなはずないでしょう。貴方を傷付けた言葉を自分で語るなど……そんなふうに笑わないで下さい。
知りもしないくせに、調べてもいないくせに、甘いことを言うなと怒鳴りつけてぶん殴るくらいして下さいよ。
貴方には怒る権利があるのですから」
怒る権利?そんなものが存在しているだなんて初めて知ったわ。もしかして、私の為に怒ってくれているのかしら?それは……少しだけ嬉しいかもしれません。
「貴方は思っていたより腹黒くないのね?」
「あれはイメージといいますか……。何となく爽やかで腹黒いくらいが執事っぽいかなと思いまして」
これも初めて聞きました。執事が爽やか腹黒イメージだとは。
「ふふっ、何ですの、そんなの聞いたことがありませんっ」
「私のことはいいんです。で、どうします?旦那様は殴っておきましょうか」
え?本気ですの?体格的に負けそうですよ?だって魔王で暴君ですよ?こちらもイメージですけど。
「暴力はあまり好みません。ノーランが理解してくれたらそれでいいわ。傷付きはしないけれど、何度も意味不明なことを聞かれたり聞かされたりするのは思ったより疲れてしまうのよ」
「分かりました。ではミッシェル様は部屋にお戻り下さい。バーキン伯爵のことは私が調べておきます。分かり次第報告致しますので、午後の採寸だけはお嬢様達と一緒に受けて下さいね。交流会の参加は決定との事でしたので、服を仕立てる必要があります」
参加なのですね、やはり。ドレスですか、面倒です。彼から贈られる物など嬉しくありませんのに。
「気が進みませんか?では、皆様で何かお揃いにしたら如何でしょう。同じお色のものを入れるですとか、共布で仕立てるとか。そういったものはお嬢様達が喜びそうですよ」
「え、ノーランは天才ですね?皆でお揃い……ちょっと楽しみです」
「気に入らないとは思いますが、旦那様にも然りげ無くお揃いのものを用意した方が無難ですよ。同じ色のブローチやカフス。共布で作ったクラバットやポケットチーフでもいいと思います。旦那様は黒やグレーの無難なスーツが多いですので、明るめのお色の方がいいでしょう」
えー。ちょっと上がった気分が下がってしまいました。旦那様ともお揃い?控えめに言っても嫌だわ。
「……だって私が嫉妬しているとかおかしなことを口走るから避けたいのですけど」
「ああ、ホントそれ。何ですかね?それも探っておきます。とりあえず機嫌を取っておかないと、交流会の場で殺人鬼の形相になるかもしれないので我慢して下さい。帰りの馬車で誤解を解く方向で乗り越えましょう」
殺人鬼。確かに本気で怒っている時の旦那様は、数人手にかけていそうなお顔でしたわ。
「主人をその様に言っても大丈夫なのですか?」
「いいんです。一応主の想い人っぽいのであなたを守ることは許されるはずですし、騙されていた自分が情けないし恥ずかしいのでその八つ当たりも込みですから」
ああ、やっぱり恥ずかしかったのね?熱く語っていたら勘違いだったのですもの。仕方がありません。
「凄いですわ。まるで間者です、ノーランはスパイですのね?コニー様が喜んでしまいますわ」
「やった。私も仲間入り出来ますか?皆様のお役に立てる様に頑張りますね!」
あら?いつの間にやら仲間が増えた?というか何の仲間なのでしょう。
「残念ですが、貴方が私達の側に来る名分がないのですけれど」
「そんなものは、貴方様達ご家族が幸せになれるためのお手伝いというだけで十分なのではありませんか?」
「幸せですか。そう………うん。分かりました。お嬢様達を幸せにするのを手伝ってくださいな、ノーラン」
「貴方達三人が幸せになれるようにお手伝いしますよ、ミッシェル」
本当にノーランは甘いわ。私はこの家では異分子ですのに。私を含めてしまっては、絶対に何処かで齟齬が生じてしまいます。
でもきっと、そう伝えても納得はしないのでしょうね。
「では、絶対にお嬢様達を傷付けないで。それだけを優先させて下さい」
「畏まりました。それなら貴方を守ればいい」
「……はい?」
「あれ、気付いていないのですか?最近のお二人の幸福は、すべてミッシェル様がもたらしているのですよ」
……何でしょうか。とても気恥ずかしいことを言われてしまった気がします。
「いいから。お二人を守って!」
「はい。お二人が幸せだと日々思える様に尽力致しますね」
そうです。そのお返事が正解ですわ。
「では、お嬢様達のところに戻ります」
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