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47.答え合わせをしましょう(4)
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ふいにノックの音が響きました。
現れたのは旦那様です。
「すまない、ミッシェル。ダイアナとは私が話をするべきだったのに……同席しても構わないだろうか」
その言葉に驚きを隠せませんでした。
「大丈夫ですか?」
「……私は彼女を許すべきなのだろう?」
ああ、確かにそんな約束をしたような気がします。でも、
「それは、ダイアナ様が素敵な女神だった場合ですけどね」
何だか聞いていた話と全然違ったのですけど?
魔王を優しく諭し、人間に変えていった女神の話は夢だったのでしょうか。
「……ダイアナは女神だよ」
「グレン……」
いや、そこで嬉しそうにしないで下さい。旦那様の表情からいって、愛の告白では無いと思いますよ?
「ダイアナには本当に感謝している。私なんかの妻になってくれて、子供達を産んで育ててくれた。
私はもう、それだけで十分だ。……それだけで、私には過ぎた幸福だろう」
本当にこの人は……。そんな苦渋に満ちた顔で言われても納得は出来ませんよ。
「旦那様。私は先程、ダイアナ様に嘘偽りのない発言を求めました。同じことを旦那様にも求めます。
もちろん、私自身も嘘は言いません」
大人は嘘付きが多くて困ってしまいます。
「……嘘はついていない」
「ちゃんと話してスッキリしましょう。とお願いしましたよね?蟠りを無くす努力をして下さいな」
あら。眉間のシワが大変なことに。
「……ダイアナが……私を愛していないことは知っている。
私への優しい言葉は、ただ自分が周りからよく見られる為に言っていただけなのも知っている。
私が呪われていると……子供達から遠ざけたのも知っている。
それでも、彼女なりに子供達を愛しているのは本当だと思う。そうでなければ、子供達があんなにいい子に育つはずがない。
ただ、自分自身の幸せが一番だっただけだ。
私は……彼女が出会った頃から変わることのない、無慈悲な女神だと、既に知っているよ」
あら?女神って愛する人では無く……
「そんなっ!私はグレンのことをちゃんと!」
「ダイアナ。嘘偽り無くと誓ったのだろう?」
……私はまた間違ったのでしょうか。真実を求めてはいけなかった?旦那様を傷付けたいわけでは無かったのに。
「私はずっとみっともなく偽っていた。
貴方に愛されていたし、愛し続けていると思いたかった。
……だが、本当はとっくに破綻していた。
貴方が駆け落ちして……少しホッとした。これ以上、貴方からの口撃を受けずに済む。貴方の愛を疑わずに済む……だから、すぐに離婚届を提出したんだ」
「口撃?」
「……初めての子を流産した時、私は本当に人を不幸にするのかと思った。そう言った私に、そんな呪いには負けないと言われた。最初は嬉しかった。でも、ダイアナは私が人を不幸にすることを否定はしないのだなと、そう理解した。
ユーフェミアが生まれた時も、呪いに負けないでくれてありがとうと言われた」
お子を喪っていたのだと初めて知りました。
……でも、何故そんなことを?
旦那様を傷付けていたのは母親だけだと思っていました。それなのに、まさか愛する妻からそんな言葉を向けられていただなんて……
「ずっと不思議だったのです。私が来てからの数カ月で、旦那様は子供達と打ち解けていきました。
それなのに、なぜ、今までダイアナ様は子供達と交流させることが出来なかったのか。
ダイアナ様。貴方が旦那様に呪いを掛け続けていたのですね」
ダイアナ様がガクガクと震えています。
「……違うの。ただ、少しズルいと思っただけで……何の苦労も無く、父親になれるグレンが……少しぐらい苦労すればいいのにって…、ただそれだけで……」
「旦那様は日々、苦労して働いてくれておりますよね?」
「それは家族がいなくても同じじゃない!」
「貴方の苦労とは、生みの痛みとかのことですよね?体の機能上、男性にはどう頑張ろうとも代わることも体験することも出来ないことです。
そんなことを狡いと責めていたのですか?」
「だって!本当に辛かったの!貴方は子供を産んだことがないから分からないのよ!」
貴方のおかげで白い結婚ですし。いえ、この話はやめましょう。ダイアナ様に様を見ろという顔をされたら嫌過ぎます。
「本当に10代から成長されていないようですね。
もういいです。貴方の呪いは子供達が解いてくれましたから。そうですよね?」
「……ああ、そうだな」
旦那様がほんのりと嬉しさを滲ませます。子供達のおかげで、少しずつ表情筋が仕事を始めたようです。
「旦那様はどうしてダイアナ様を連れ帰ったのですか?」
「……私は離婚届を提出したが、彼女はいずれ戻るつもりだったと思う。子供達の母親なのは間違いないし」
……あの、私の立場は?
「彼女と子供達が望むなら、乳母として働いて貰おうかと……」
前妻が使用人になるなんて、かなり嫌過ぎますけど、私への嫌がらせでしょうか。
「貴方の家だ、というのは」
「兄の為に嫁いてくれた人だ。私を嫌っていようとも、ここにいる権利はある気がして……すまない。まさか、死にかけて足を失っているとは思わなくて、酷く動揺していた。本当に私は人を不幸にするのかと……。
貴方の事を考えずに行動して申し訳なかった」
「……随分と遅い謝罪ですが、呪いを掛け続けた魔女がいることが分かったので、今回だけは受け入れます」
「…、すまない」
呪いなんてないはずなのに、不幸が続くと不安になりますよね。お母様の心は壊れ、お兄様と赤ちゃんを喪い、命は助かったけれど妻は片足を失った。旦那様はただ不運なだけですのに、聞いているとさすがに可哀想になって来ました。
「ですが、乳母として雇い入れるのは却下です」
「……分かっている。出来るはずが無いと反省している」
よかった。旦那様は存外分別があるようです。
「ねぇ、何の話をしているの?私はどうなるのかしら」
分別のない大人がここにいました。
現れたのは旦那様です。
「すまない、ミッシェル。ダイアナとは私が話をするべきだったのに……同席しても構わないだろうか」
その言葉に驚きを隠せませんでした。
「大丈夫ですか?」
「……私は彼女を許すべきなのだろう?」
ああ、確かにそんな約束をしたような気がします。でも、
「それは、ダイアナ様が素敵な女神だった場合ですけどね」
何だか聞いていた話と全然違ったのですけど?
魔王を優しく諭し、人間に変えていった女神の話は夢だったのでしょうか。
「……ダイアナは女神だよ」
「グレン……」
いや、そこで嬉しそうにしないで下さい。旦那様の表情からいって、愛の告白では無いと思いますよ?
「ダイアナには本当に感謝している。私なんかの妻になってくれて、子供達を産んで育ててくれた。
私はもう、それだけで十分だ。……それだけで、私には過ぎた幸福だろう」
本当にこの人は……。そんな苦渋に満ちた顔で言われても納得は出来ませんよ。
「旦那様。私は先程、ダイアナ様に嘘偽りのない発言を求めました。同じことを旦那様にも求めます。
もちろん、私自身も嘘は言いません」
大人は嘘付きが多くて困ってしまいます。
「……嘘はついていない」
「ちゃんと話してスッキリしましょう。とお願いしましたよね?蟠りを無くす努力をして下さいな」
あら。眉間のシワが大変なことに。
「……ダイアナが……私を愛していないことは知っている。
私への優しい言葉は、ただ自分が周りからよく見られる為に言っていただけなのも知っている。
私が呪われていると……子供達から遠ざけたのも知っている。
それでも、彼女なりに子供達を愛しているのは本当だと思う。そうでなければ、子供達があんなにいい子に育つはずがない。
ただ、自分自身の幸せが一番だっただけだ。
私は……彼女が出会った頃から変わることのない、無慈悲な女神だと、既に知っているよ」
あら?女神って愛する人では無く……
「そんなっ!私はグレンのことをちゃんと!」
「ダイアナ。嘘偽り無くと誓ったのだろう?」
……私はまた間違ったのでしょうか。真実を求めてはいけなかった?旦那様を傷付けたいわけでは無かったのに。
「私はずっとみっともなく偽っていた。
貴方に愛されていたし、愛し続けていると思いたかった。
……だが、本当はとっくに破綻していた。
貴方が駆け落ちして……少しホッとした。これ以上、貴方からの口撃を受けずに済む。貴方の愛を疑わずに済む……だから、すぐに離婚届を提出したんだ」
「口撃?」
「……初めての子を流産した時、私は本当に人を不幸にするのかと思った。そう言った私に、そんな呪いには負けないと言われた。最初は嬉しかった。でも、ダイアナは私が人を不幸にすることを否定はしないのだなと、そう理解した。
ユーフェミアが生まれた時も、呪いに負けないでくれてありがとうと言われた」
お子を喪っていたのだと初めて知りました。
……でも、何故そんなことを?
旦那様を傷付けていたのは母親だけだと思っていました。それなのに、まさか愛する妻からそんな言葉を向けられていただなんて……
「ずっと不思議だったのです。私が来てからの数カ月で、旦那様は子供達と打ち解けていきました。
それなのに、なぜ、今までダイアナ様は子供達と交流させることが出来なかったのか。
ダイアナ様。貴方が旦那様に呪いを掛け続けていたのですね」
ダイアナ様がガクガクと震えています。
「……違うの。ただ、少しズルいと思っただけで……何の苦労も無く、父親になれるグレンが……少しぐらい苦労すればいいのにって…、ただそれだけで……」
「旦那様は日々、苦労して働いてくれておりますよね?」
「それは家族がいなくても同じじゃない!」
「貴方の苦労とは、生みの痛みとかのことですよね?体の機能上、男性にはどう頑張ろうとも代わることも体験することも出来ないことです。
そんなことを狡いと責めていたのですか?」
「だって!本当に辛かったの!貴方は子供を産んだことがないから分からないのよ!」
貴方のおかげで白い結婚ですし。いえ、この話はやめましょう。ダイアナ様に様を見ろという顔をされたら嫌過ぎます。
「本当に10代から成長されていないようですね。
もういいです。貴方の呪いは子供達が解いてくれましたから。そうですよね?」
「……ああ、そうだな」
旦那様がほんのりと嬉しさを滲ませます。子供達のおかげで、少しずつ表情筋が仕事を始めたようです。
「旦那様はどうしてダイアナ様を連れ帰ったのですか?」
「……私は離婚届を提出したが、彼女はいずれ戻るつもりだったと思う。子供達の母親なのは間違いないし」
……あの、私の立場は?
「彼女と子供達が望むなら、乳母として働いて貰おうかと……」
前妻が使用人になるなんて、かなり嫌過ぎますけど、私への嫌がらせでしょうか。
「貴方の家だ、というのは」
「兄の為に嫁いてくれた人だ。私を嫌っていようとも、ここにいる権利はある気がして……すまない。まさか、死にかけて足を失っているとは思わなくて、酷く動揺していた。本当に私は人を不幸にするのかと……。
貴方の事を考えずに行動して申し訳なかった」
「……随分と遅い謝罪ですが、呪いを掛け続けた魔女がいることが分かったので、今回だけは受け入れます」
「…、すまない」
呪いなんてないはずなのに、不幸が続くと不安になりますよね。お母様の心は壊れ、お兄様と赤ちゃんを喪い、命は助かったけれど妻は片足を失った。旦那様はただ不運なだけですのに、聞いているとさすがに可哀想になって来ました。
「ですが、乳母として雇い入れるのは却下です」
「……分かっている。出来るはずが無いと反省している」
よかった。旦那様は存外分別があるようです。
「ねぇ、何の話をしているの?私はどうなるのかしら」
分別のない大人がここにいました。
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