【書籍化決定】愛など初めからありませんが。

ましろ

文字の大きさ
58 / 67

57.新しい関係(2)

しおりを挟む
恋愛上級者であるダイアナさんへの相談は不快だったようです。

「私の座を奪っておいて、よくもそんな巫山戯た相談をしてくるわね?」
「奪ってません。だって空席でしたし。私は父に騙されただけですもの」

人のことを悪女のように言わないでほしいです。

「そもそも貴方の悩みの意味が分からないわ。このまま妻でいるなら抱かれたらいいし、いずれ離婚して好きな男と一緒になりたいなら白い結婚一択でしょ?」
「捏造しないで下さい。好きな男なんていません」
「え~?あのノーランとかいう失礼な執事は?貴方が一等大好きなあの執事はどうするのよ。
貴方だって本当は揺らいでるんじゃないの?」

さすがは恋愛上級者です。火のないところに煙を立ててしまうのですね?

「揺らいでません。ただ、こう、何となくザワザワしただけです」
「揺らいでるじゃない!」
「ときめいてないですし、ドキドキもしていません。恋ではないと思います」

なぜノーランの話を引っ張るのでしょう。私は旦那様のことを相談しに来たのですのに。

「貴方ってグレンとキスできる?」
「なっ!」

何て破廉恥な質問をするのですか!?

「それとも、ノーランとならできるのかしら」
「どっちも無理ですっ」
「……一生白い結婚でいいんじゃない」

くっ、呆れられてしまいました。でも、貴族としての義務といいますか、真っ当に結婚したのであれば、夫婦になるべく努力する必要があるとも思うのです。

「そうね。子供達といる時、可愛過ぎてつい、キスしたくならない?」
「なります!ついつい、頭や頬にキスを贈りたくなりますわ!」

まあ、ダイアナ様は本当に子供達への愛情はあるのですね!赤ちゃんの頃の話とかを聞かせてほしいです。

「それ。そんな気持ちが湧いてきたら、グレンの気持ちに答えればいいんじゃない?」
「…旦那様にキスを贈りたくなる…ですか」

あの苦虫を噛み潰したようなお顔に?
でも、最近は眉間のシワも消えましたし、虎か熊が懐いてきたくらいの感覚というか……そもそも虎って懐くのでしょうか。

「別に今困ってないなら現状維持でもいいんじゃない?それとも、何かを変えたいの?」
「……それが分からないのです。私は始まりを間違えてしまいましたから、何となく行き止まりになっているといいますか……」

そうなのです。1人で勘違いして、政略結婚で白い結婚でいずれ離婚!と意気込んでいたのですもの。
それが間違いだと分かったけれど、今更どうしろと?というのが正直な気持ちです。

「ああ、そういうこと?ふ~ん。
あ!ねえ、子供達に会える?私ももうすぐ王都に向かうでしょ?その前に子供達と話がしたいわ」

あの、私の相談は終了ですか。

「……今日のリハビリで泣き言を言わなかったら会わせて差し上げます」
「あと、ノーランにも会わせて」
「はい?」
「……一応お礼を言いたいのよ」
「ノーランにですか」
「悪い!?」

やはりダイアナ様の考えは理解出来ません。
ですが、ノーランがダイアナ様に負けることも懸想することもないでしょうし。

「分かりました。後で向かわせます」
「よろしくね」


その日のダイアナさんは、見事に泣き言を一度も言わずにリハビリをやり遂げました。

「素晴らしいです!毎日こうだと更に素敵ですよ?」
「……貴方ね……本当に辛いのよ。味わわせてやりたいわ……。
とにかく、約束通り私は子供達に会うから。あ、貴方は遠慮してよ?」

酷いです。私だって子供達と戯れたいです。でも、残り少ない家族での時間を奪うのは気が引けますし……

「子供達の判断に任せます」







「ユーフェミア、コンラッド。二人に相談したいことがあるの」
「相談?」
「ええ。貴方達二人にしか話せない、本当に大切な話よ」
「ぼくたちだけ?」
「ええ、貴方達だけよ」
「……別にいいけど。ミッチェ、また後で遊びましょう。先にお母様の相談を聞くわ」
「ミッチェはまたこんどね?」
「酷いです、ダイアナさんっ!」

まさかこうなるとはっ。

……負けました。ズルいです。二人にしか言えないだなんて特別感を出すなんて!

「安心して。この子達に危害を与えたり、おなしなことを吹き込んだりしないから」
「……そんな心配はしてません。ただ、お二人とお話出来ると思っていたから残念なだけです」
「貴方……よく、他人の子をそこまで可愛がれるわね。聖母様か何かなの?
要するに母性の塊なのね。だから恋愛出来ないのよ」

……否定出来ませんでした。






しおりを挟む
感想 259

あなたにおすすめの小説

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~

marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」 「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」 私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。 暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。 彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。 それなのに……。 やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。 ※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。 ※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

処理中です...