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60.おねだり
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「ミッチェきれい!」
「今日は髪型も素敵ね」
「ありがとうございます。ダイアナさんに結っていただいたの」
そういう子供達もいつもと違います。
「コニー様は前髪を上げたのですね。大人っぽいです。フェミィ様はポニーテールですか?リボンを編み込んでいて綺麗だわ」
「んふ!かっこいい?おにいさんみたい?」
「私は?少しお姉さんっぽい?」
あら。本日は年上気分なのですね?
「そうですね。今日のお二人は、いつもよりお姉さん、お兄さんっぽいですわ」
「やった!姉さま、ぼく、お兄さまよ?」
「よかったわね、コニー」
「うん!」
そんなにも嬉しかったのでしょうか。でもそうですね、大人っぽく見られたい年頃なのかも?
「ミッチェ、ぼく、お願いがあるの」
「私にですか?」
「うん。いってもいい?」
「もちろんですよ」
コニー様がもじもじとしているのは……おトイレでは無いですよね?珍しいです。いつでも全力なのに、こんなふうに恥じらうなんて。
「あのね?ぼく、ミッチェとかぞくがいいの。ミッチェがお母さまだとうれしい」
「……え?」
「ミッチェ、私もよ」
「フェミィ様?」
「ただの同居人では嫌よ。ちゃんと家族がいい。ずっと一緒がいいの」
フェミィ様とコニー様がお互いに目を合わせて、せーの!!っと掛け声をかけてから、
「「ミッチェ!私達のお母様になって下さいっ」」
……驚きました。まさか、お二人に母親になってほしいと願われるなんて。
「フェミィ様。本当によろしいのですか?」
「うん。本気の本気よ。だって……貴方ったら、いつか何処かに消えそうなのですもの。ここでちゃんと捕まえておかないと!」
あら。離婚するつもりだったのがバレていましたか。
本当にフェミィ様は敏いのだから。
でも、本当なら私からお願いするつもりでしたのに。
願われるというのは嬉しいものですね。
「フェミィ様、コニー様。お二人が大好きです。私を本当の家族にしていただけますか?」
私の言葉に、お二人のお顔が喜びに満ちていきます。こんなに喜んでもらえるなんて、嬉しすぎますね。
「やたっ!ほんとに?やっぱりや~めた!はだめよ?」
「コニー、契約書を交わせばいいんじゃない?」
「作る!つくるよぼく」
「……いいえ。ホワイトに頼まなきゃ!」
契約書って。フェミィ様は何を覚えてきたのですか。私は信用が無いのでしょうか。
「ぼくね~、はやくおとうとほしい!」
「私は妹がいいわ」
「え」
「ミッチェににるといいね!」
「えっ!?」
「それは神様からのプレゼントだから、おねだりはダメよコニー」
「んーと、じゃあ、神さまにおいのりする!」
「そうね。私も毎日祈ろうかしら」
……何ということでしょう。家族になるのは私の望みでしたが……弟妹を望まれるとは!
「大丈夫よ、ミッチェ。人魚の恋は終わったの。絵は朽ちて、今度はちゃんと人間を愛したのよ」
人魚の恋?ああ!?まさか、あの歌に旦那様のことを重ねていたのですか!
……ああ。絵に恋した……確かに旦那様みたいです。でも、その人間とは私ですか。
「……それって人間の気持ちは……」
「大丈夫。女は愛されて結婚するのが一番幸せだってお母様が言っていたわ」
フェミィ様。その人は愛されて結婚したくせに失敗した女ですよ。
「ミッチェ、いや?」
「駄目なところがあったら言って?ちゃんと直すから!」
お二人に嫌なところなどありませんよ。
ただ、私の覚悟の問題で。
だって白い結婚のままのつもりだったのに!
……しなきゃ駄目ですかね。旦那様とあんな事やこんな事を?
私は熊に襲われて生きていけるのでしょうか。
躾け……そう、まずは簡単な触れ合いから。そして、徐々に躾ければいいのかもしれません。
力加減大事。手を軽く振り上げただけで怪我を負うのです。しっかりと躾けねば私が死ぬっ!
可愛い子供達を残して死ぬわけにはいきません。
「為せば成る……きっと大丈夫」
「……何か馬鹿なこと考えていない?」
「あれ?」
そうですね。旦那様は人です。少し思考がおかしくなっていました。
「んん!大丈夫です。きっといつか何とかなります」
たぶん?
そして、三人でわちゃわちゃしていると、森から熊さんが……ではなく、東屋から待ちきれなかった旦那様がやってきました。
「……出来れば、私も仲間に入れてもらえないだろうか」
大きな体を少し屈め、おずおずと聞いてくる。
「父さま、さびしかったの?」
「待っててって言ったのに。駄目ねぇ」
「うっ…、すまない」
ふふっ。旦那様単体には特に思い入れはないけれど、こうして子供達とぎこちなくも関係を築こうと頑張っている、父親としての旦那様は、微笑ましくて可愛らしく思えてしまうわ。
「旦那様、私、子供達からのプロポーズを承諾しましたの」
「え」
「末永くよろしくお願いします。旦那様」
あらあら涙目だわ。本当に愛され慣れていないのだから。
つい、子供達にするように慰めたくなってしまいます。
大きな体を少し引っ張ると、素直に屈むあたりが躾け要らずかも、と思ってしまいました。
チュッ
頬に優しくキスを贈ります。
「……ミッシェル……」
「旦那様もミッチェと呼んでもいいですよ。家族の特権です」
「ミッチェ…、では、私のこともグレンと」
「……グレン様?」
「………うん」
まあ、何と嬉しそうになさるのかしら。これは少しクセになるかもしれません。
いつか。いつか、愛せるようになるといいわ。
「父さまだけズルい!」
「そうよ。お母様を口説いたのは私達よ?」
そういうと、二人が私に抱きついてきます。ああ、何て幸せなのでしょう。
少し歪なのかもしれないけど、私がずっと望んでいた愛のある、幸せに満ちた家族がここにある。
私は夢を手に入れたみたいです。
「今日は髪型も素敵ね」
「ありがとうございます。ダイアナさんに結っていただいたの」
そういう子供達もいつもと違います。
「コニー様は前髪を上げたのですね。大人っぽいです。フェミィ様はポニーテールですか?リボンを編み込んでいて綺麗だわ」
「んふ!かっこいい?おにいさんみたい?」
「私は?少しお姉さんっぽい?」
あら。本日は年上気分なのですね?
「そうですね。今日のお二人は、いつもよりお姉さん、お兄さんっぽいですわ」
「やった!姉さま、ぼく、お兄さまよ?」
「よかったわね、コニー」
「うん!」
そんなにも嬉しかったのでしょうか。でもそうですね、大人っぽく見られたい年頃なのかも?
「ミッチェ、ぼく、お願いがあるの」
「私にですか?」
「うん。いってもいい?」
「もちろんですよ」
コニー様がもじもじとしているのは……おトイレでは無いですよね?珍しいです。いつでも全力なのに、こんなふうに恥じらうなんて。
「あのね?ぼく、ミッチェとかぞくがいいの。ミッチェがお母さまだとうれしい」
「……え?」
「ミッチェ、私もよ」
「フェミィ様?」
「ただの同居人では嫌よ。ちゃんと家族がいい。ずっと一緒がいいの」
フェミィ様とコニー様がお互いに目を合わせて、せーの!!っと掛け声をかけてから、
「「ミッチェ!私達のお母様になって下さいっ」」
……驚きました。まさか、お二人に母親になってほしいと願われるなんて。
「フェミィ様。本当によろしいのですか?」
「うん。本気の本気よ。だって……貴方ったら、いつか何処かに消えそうなのですもの。ここでちゃんと捕まえておかないと!」
あら。離婚するつもりだったのがバレていましたか。
本当にフェミィ様は敏いのだから。
でも、本当なら私からお願いするつもりでしたのに。
願われるというのは嬉しいものですね。
「フェミィ様、コニー様。お二人が大好きです。私を本当の家族にしていただけますか?」
私の言葉に、お二人のお顔が喜びに満ちていきます。こんなに喜んでもらえるなんて、嬉しすぎますね。
「やたっ!ほんとに?やっぱりや~めた!はだめよ?」
「コニー、契約書を交わせばいいんじゃない?」
「作る!つくるよぼく」
「……いいえ。ホワイトに頼まなきゃ!」
契約書って。フェミィ様は何を覚えてきたのですか。私は信用が無いのでしょうか。
「ぼくね~、はやくおとうとほしい!」
「私は妹がいいわ」
「え」
「ミッチェににるといいね!」
「えっ!?」
「それは神様からのプレゼントだから、おねだりはダメよコニー」
「んーと、じゃあ、神さまにおいのりする!」
「そうね。私も毎日祈ろうかしら」
……何ということでしょう。家族になるのは私の望みでしたが……弟妹を望まれるとは!
「大丈夫よ、ミッチェ。人魚の恋は終わったの。絵は朽ちて、今度はちゃんと人間を愛したのよ」
人魚の恋?ああ!?まさか、あの歌に旦那様のことを重ねていたのですか!
……ああ。絵に恋した……確かに旦那様みたいです。でも、その人間とは私ですか。
「……それって人間の気持ちは……」
「大丈夫。女は愛されて結婚するのが一番幸せだってお母様が言っていたわ」
フェミィ様。その人は愛されて結婚したくせに失敗した女ですよ。
「ミッチェ、いや?」
「駄目なところがあったら言って?ちゃんと直すから!」
お二人に嫌なところなどありませんよ。
ただ、私の覚悟の問題で。
だって白い結婚のままのつもりだったのに!
……しなきゃ駄目ですかね。旦那様とあんな事やこんな事を?
私は熊に襲われて生きていけるのでしょうか。
躾け……そう、まずは簡単な触れ合いから。そして、徐々に躾ければいいのかもしれません。
力加減大事。手を軽く振り上げただけで怪我を負うのです。しっかりと躾けねば私が死ぬっ!
可愛い子供達を残して死ぬわけにはいきません。
「為せば成る……きっと大丈夫」
「……何か馬鹿なこと考えていない?」
「あれ?」
そうですね。旦那様は人です。少し思考がおかしくなっていました。
「んん!大丈夫です。きっといつか何とかなります」
たぶん?
そして、三人でわちゃわちゃしていると、森から熊さんが……ではなく、東屋から待ちきれなかった旦那様がやってきました。
「……出来れば、私も仲間に入れてもらえないだろうか」
大きな体を少し屈め、おずおずと聞いてくる。
「父さま、さびしかったの?」
「待っててって言ったのに。駄目ねぇ」
「うっ…、すまない」
ふふっ。旦那様単体には特に思い入れはないけれど、こうして子供達とぎこちなくも関係を築こうと頑張っている、父親としての旦那様は、微笑ましくて可愛らしく思えてしまうわ。
「旦那様、私、子供達からのプロポーズを承諾しましたの」
「え」
「末永くよろしくお願いします。旦那様」
あらあら涙目だわ。本当に愛され慣れていないのだから。
つい、子供達にするように慰めたくなってしまいます。
大きな体を少し引っ張ると、素直に屈むあたりが躾け要らずかも、と思ってしまいました。
チュッ
頬に優しくキスを贈ります。
「……ミッシェル……」
「旦那様もミッチェと呼んでもいいですよ。家族の特権です」
「ミッチェ…、では、私のこともグレンと」
「……グレン様?」
「………うん」
まあ、何と嬉しそうになさるのかしら。これは少しクセになるかもしれません。
いつか。いつか、愛せるようになるといいわ。
「父さまだけズルい!」
「そうよ。お母様を口説いたのは私達よ?」
そういうと、二人が私に抱きついてきます。ああ、何て幸せなのでしょう。
少し歪なのかもしれないけど、私がずっと望んでいた愛のある、幸せに満ちた家族がここにある。
私は夢を手に入れたみたいです。
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