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後編
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「そうやってね、君のお父様たちのせいで僕の心臓は縮みあがって大変だったんだよ」
「おじちゃま、えんえんした? いいこいいこよ」
「ベアトリスは可愛いなぁ」
「ちょっと。ベティに何を吹き込んでいるの?」
クライドの弟であるバイロンが私達の夫婦喧嘩の話を娘に聞かせていた。
「ぼくもそのおはなしはしっています。おじいさまがおしえてくれました」
「ルシアン? 本当に?」
何ということでしょう。まさか、陛下にまで告げ口されていたとは。
あの喧嘩以降、クライドが本当に陛下を警戒していたことを、まだ根に持っているようだ。
ついでに王妃様にまで知られてしまい、お二人の間もちょっと揉めたとか。
側室を勧める陛下なんて巻き添えにしてしまえと思っていたけれど、王妃様には悪いことをしてしまった。
私は、あの喧嘩からひと月後にルシアンを身籠った。
医師からは、プレッシャーから解放されたことが良かったのかもしれないと言われた。
そして、無事ルシアンを出産。その二年後にベアトリスを授かったのだ。
「アイレット、そんな薄着で出歩いてはだめだろう」
「クライド」
すっかり溺愛過保護になってしまったクライドが私にストールをかけてくれる。
「ルシーとベティに私達の喧嘩を知られてしまったわ」
「いいんじゃないか? あれで君への愛に目覚めたのだから」
こら、すぐキスしないの。バイロンが呆れた顔で見ているじゃない。
「きっとこの子も聞いているわね」
そっと触れたお腹が、中からポコッと反応した。
「ふふっ、元気に蹴ってるわ」
「ほら! やっぱりおとうとだよ」
「いもうとがいいのに~~」
「どっちでも可愛いに決まっている。アイレットが産むのだから」
そんな私達を見ていたバイロンは、軽く手を振り、声をかけることなく出ていってしまった。
周囲にはたくさん迷惑をかけたけれど、それでも、あのとき諦めなくて本当によかったと思う。
子ども達と話していたクライドが、視線に気がついたのか、顔を上げ、私に微笑んだ。
「そろそろ中に入ろう。風が出てきた」
差し出された彼の手を取る。
私の、私だけの最愛の夫だ。
三年目の喧嘩のあとは、幸せが待っていました。
【end】
「おじちゃま、えんえんした? いいこいいこよ」
「ベアトリスは可愛いなぁ」
「ちょっと。ベティに何を吹き込んでいるの?」
クライドの弟であるバイロンが私達の夫婦喧嘩の話を娘に聞かせていた。
「ぼくもそのおはなしはしっています。おじいさまがおしえてくれました」
「ルシアン? 本当に?」
何ということでしょう。まさか、陛下にまで告げ口されていたとは。
あの喧嘩以降、クライドが本当に陛下を警戒していたことを、まだ根に持っているようだ。
ついでに王妃様にまで知られてしまい、お二人の間もちょっと揉めたとか。
側室を勧める陛下なんて巻き添えにしてしまえと思っていたけれど、王妃様には悪いことをしてしまった。
私は、あの喧嘩からひと月後にルシアンを身籠った。
医師からは、プレッシャーから解放されたことが良かったのかもしれないと言われた。
そして、無事ルシアンを出産。その二年後にベアトリスを授かったのだ。
「アイレット、そんな薄着で出歩いてはだめだろう」
「クライド」
すっかり溺愛過保護になってしまったクライドが私にストールをかけてくれる。
「ルシーとベティに私達の喧嘩を知られてしまったわ」
「いいんじゃないか? あれで君への愛に目覚めたのだから」
こら、すぐキスしないの。バイロンが呆れた顔で見ているじゃない。
「きっとこの子も聞いているわね」
そっと触れたお腹が、中からポコッと反応した。
「ふふっ、元気に蹴ってるわ」
「ほら! やっぱりおとうとだよ」
「いもうとがいいのに~~」
「どっちでも可愛いに決まっている。アイレットが産むのだから」
そんな私達を見ていたバイロンは、軽く手を振り、声をかけることなく出ていってしまった。
周囲にはたくさん迷惑をかけたけれど、それでも、あのとき諦めなくて本当によかったと思う。
子ども達と話していたクライドが、視線に気がついたのか、顔を上げ、私に微笑んだ。
「そろそろ中に入ろう。風が出てきた」
差し出された彼の手を取る。
私の、私だけの最愛の夫だ。
三年目の喧嘩のあとは、幸せが待っていました。
【end】
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お気に入り入りしてた作品を読み溜めしてて一気に読みました。キャー好きーって思う展開。ホントそうよね、理不尽なとこ、突っ込んでいいよね、と応援したくなる始めに、目覚める溺愛に子沢山。大変楽しかったです!
感想ありがとうございます。
こちらのお話も読んでいただけて嬉しいです。
突発的に思いついて書いた一時間クオリティーなので、もう少し手を加えたほうがよかったかな?と思わなくもないのですが、勢いのほうを大切にしました笑
楽しんでいただけてよかった!
誰も不幸にならないハッピーエンド有難うございます。
側室なんて色々ありそうなフラグが折れて良かったです。
感想ありがとうございます。
フラグを折るのは得意です(笑)
女ばかり損をするのがいつも不服で、まさかのパッパがとばっちり。
きっと、王妃様に正座で説教コースを食らったと思われます。
お読みくださりありがとうございました!
子供ができないから仕方ないの免罪符を掲げて、離縁を言い出すなら幽閉か毒杯だと、妻を脅してまで側室を迎える気満々だった夫を、アイレットはよく受け入れましたね。
こんな夫を愛してくれるのはアイレットだけだと思うので、ずっと大切にしてほしいです。
感想ありがとうございます。
脅しは側室を迎えるためではなく、離縁を諦めさせるためでした。
たぶん、夫サイドの話を書くともう少し印象もかわるのですが、そうすると長くなるので割愛(笑)
彼なりに妻を守りたいと思っての判断でした。
結局は相思相愛の二人です。
お読みくださりありがとうございました!