悪女のレシピ〜略奪愛を添えて〜

ましろ

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第一章

13.破滅への道

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「……爵位を剥奪?」

 どうして……なぜそんなことに?!

「そんな……ただ子どもにおまじないをさせただけではありませんか!」
「オレリー、止めなさい」
「ですが!」

 だってこれではあまりにも罪が重過ぎるわ!

「子どもは産んで終わりではない。貴族には魔力の管理責任があるのはご存知ですね?
 あなた達は長年に渡りそれを怠ってきた。貴族としての責任を放棄していたということです。
 そのように職務怠慢な者に爵位を持たせておくわけにはいかないというのが国王陛下のご判断ですよ。
 それに分かっていますか。あなたがやったことはただの育児放棄ではない。長年に渡る精神的迫害、魔力の発現の未報告、さらには魔法の強要による殺人未遂だ。
 罪人として捕らえられてもおかしくはないのですよ。それが領地での蟄居となったことは感謝すべきでしょう」

 ありえない……、この私が?ダンドリュー公爵家に生まれ、かつては王太子殿下の婚約者候補にまでなったこの私が?!

「そのようなこと、お父様が許すはずがないわ」
「公爵家はあなたの罪を受け入れ、残された子ども達のための支援をしてくださるそうです。
 子ども達が成人するまで、伯爵家は代理人が管理をいたします。
 後継者は7年後、ダンドリュー公爵を含む選定人5名が判断することとなりました」
「……うそ。なぜ……マイルズが後継者では」
「今回のことでご子息達は資質に疑い有りとの意見が出ました。
 まだ12歳と幼いため、これからの様子を見て選定されるとのことです」

 嘘よ、なんで……どうしてこんなことに?

 そう、王太子の婚約者争いで負けてしまった時から私の人生は狂ってしまった。
 まさか伯爵家の娘に負けるとは思わなかった。

 その後もなぜか縁談の話が無く、仕方なく、うちの家門であるノディエ伯爵家に嫁ぐことになった。

 夫のロドルフは大人しく害にならない男だったが、義母はとにかく口うるさかった。
 彼女が病で亡くなった時には踊り出したいくらい嬉しかった。
 ……そう、彼女の銀の髪を見るだけで吐き気がした。訳知り顔で物を言う姿が疎ましくて堪らなかった!

 義母がいなくなってからは彼女が大切にしていた使用人を辞めさせ、公爵家から新たな使用人を用意してもらった。
 今後はこういった要求は受けないと釘をさされてしまったけど、気にしなかった。

 その後、双子の息子達を産み、後継ぎの心配も無くなったけど、出来れば私によく似た娘が欲しかった。
 今度こそ王家へ嫁がせたい。私の叶えられなかった夢を叶えたい。
 それは延いては伯爵家のためにもなるのだから。

 そうして新たな子を身篭り、順風満帆な人生だと思っていたのに。
 信じられないことが次々と起きてしまった。

 双子の息子達の魔力の発現。そして、生まれた娘のその姿!

「……なぜあの女と同じ色をしているの」

 信じられなかった。私から銀の髪の娘が生まれるだなんてっ!

「可愛い子だ。無事に生まれてよかった」

 ロドルフは娘の誕生を喜んだ。私の気持ちなど何も気付かないのか。私はもう一人産まなくてはいけないのかとため息を吐いた。

「残念だがマイルズ達は魔法塔預かりとなるだろう」
「何故です?!」
「彼らは魔力が強く、さらには互いに共鳴して力を増幅してしまう。このままここで育てるのは難しいし危険だろう。
 ブランシュだって生まれたばかりなんだぞ」
「あの子達は嫡男ですよ!それなのに二人とも奪われるだなんて、あちらでもしものことがあったらどうなさるおつもりなの?」
「いや、そのもしものことが起こらないようにだな」
「ならばこの子を他で育てたら良いでしょう!」
「オレリーッ!!」

 話し合いは平行線のまま、また後日話そうとロドルフは部屋を出て行ってしまった。

 ブランシュのためにマイルズ達を預ける?
 そんなのはおかしい。嫡男を手元から離すなんてありえないわ。
 これだからたかが伯爵家の男は駄目なのよ。

 使用人を入れ替えていてよかったと、あの後すぐに思った。
 ロドルフは私に内緒でマイルズ達を魔法塔に預けようとしていたのだ。

「子ども達と引き離されるくらいなら死んでやるわっ!!」

 私の叫びに、ようやくロドルフも私の味方になってくれた。私は無事に子ども達を守りきったのだ。

「ありがとう、ロドルフ。二人を守っていきましょうね」
「ブランシュはどうするんだ」
「あの子は別館で育てましょう。優秀な乳母をつけるから大丈夫。子供を乳母に育てさせるのは貴族ではよくある話だわ」
「……君は本当にそれでいいのか」
「ええ。それが一番良い方法です。大丈夫。あの子が物心つくまでにはマイルズ達も落ち着きますよ」
「……分かった。君の言うとおりにしよう」

 ロドルフは厳しい母親に育てられたせいで自我が弱い。強い者に逆らえない男なのだ。

「愛しているわ、ロドルフ。幸せになるために頑張りましょうね」
「……ああ、そうだな」

 大丈夫、きっと上手くいく。私達は絶対に幸せになれるわ。





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