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5.裏切り
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リオ様が帰ってきたのは、お昼近くになってからでした。
「おかえりなさい」
「……今日は仕事に行かないのか」
馬鹿ね。先延ばしにしても意味はないでしょうに。
「大切な話があるでしょう?」
「君に仕事以上に大切なものがあるとは思わなかったな」
何故、浮気された私がそんなことを言われなくてはいけないの。
「玄関先で話すことではないわ。部屋に行きましょう」
「冷静だな。君にとってその程度のことなのか」
…酷い人。この場で泣き叫べというのかしら。
「泣いて何かが変わるならそうするかもね。……しばらくは誰も近付けないで」
使用人にそう伝えてドアを閉める。
「どうぞ。お二人で何を話し合ったのかを教えて下さいませ」
「……コーデリアが私の子を身篭った」
覚悟していました。でも、まだ足りなかったみたい。
「彼女は産みたいと言っている」
「そう。お義母様の望み通りということね」
「!」
「仮令婚外子であっても彼女はクィントン伯爵家の娘として認められている。正妻になれるのであれば援助は惜しまない、そういうことですか?」
「…どうして」
どうして?だってお義母様はずっと変わらないわ。どこまでも家の為に最善を尽くす御方。その為なら田舎娘の一人くらい簡単に使い捨てるのよ。
「本当なら、白い結婚で離縁させるつもりだったのでしょう?」
学園を卒業した頃、本当なら白い結婚があと少しで成立するはずでした。でも、何故かリオ様は私を抱いてしまった。そして間もなくウィリアムを身篭った。
お義母様は白い結婚も不妊も理由に出来なくなって困ったでしょうね。
「……今度は私にそっくりなウィリアムを不貞の末に生まれた子だと言って私と一緒に追い出すおつもり?
相手は誰かしら。メル?それともマシュー様?いっそのこと、誰とも知らぬ平民でも身代わりに立てるのかしら」
「そんなことはしないっ!」
「…お義母様はいかがかしら。それに産まれてくる子が男子ならどうするのです。もしかしたら今度は貴方にそっくりかもしれませんよ」
ごめんなさい、ウィリアム。貴方がリオ様に似ていたら違う未来もあったのかもしれないのに。
「…私の妻は君だし、ウィリアムは私の子だ」
……何を言っているの。ずっと私を裏切っていたくせに!
「それならどうしてコーデリア様を囲っているのっ!何故抱いたの!?どうして!……どうして貴方は私を憎むの…っ」
何時からだった?
愛を語った口から私を否定する言葉が放たれるようになったのは。
優しい微笑みは冷ややかな嘲笑に変わり、私を抱いたその腕は私を拒絶するようになった。
ああ、駄目だ。冷静に話そうと思っていたのに、貴方を傷付ける言葉が止まらないっ!
「貴方は…貴方達は私を利用するだけ利用して、子供すら取り上げてっ!
こんな…こんな思いをする為に私はずっと頑張ってきたというの!?」
…駄目よ、落ち着いて。これでは話し合いにならない。
息を吐いて、吸って、吐いて……。
心臓が痛いほどにあぶっている。
「……まさか離婚を望むのか」
リオ様が何故そんなにも苦し気なお顔をなさるの。
「それを望んでいるからコーデリア様を囲っていたのでしょう。子が出来た時点で離縁するつもりだったのではないの?」
「……違う」
「ではコーデリア様とお子をどうするつもりですか」
「今のままだ。何も変らない」
「何を言っているの?今更何も知らなかった頃のように暮らせるはずがないでしょう。
今、コーデリア様と再婚なされば、赤ちゃんは婚外子にはなりません。避妊もせずにお抱きになっていたなら、こうなることな分かっていたはずです」
「……貴方には関係ない。アシュリーは今まで通り好きなだけ働いていればいいだろう」
──関係ない?
私達は夫婦ではなかったの?
「……そう。では好きなように致します」
「ああ」
もう一度大きく深呼吸をする。
そして。
パァーンッ!!
思いっきりリオ様の頬を叩きました。
「なっ!?」
まさか平手打ちされるとは思わなかったのでしょう。
「何故浮気して叱られないと思ったの?」
「……うわき……」
「浮気、不貞、密通、何でもいいですけど。
好きなだけ働け?何を言ってるの。私に仕事だけしていろと言ったのは貴方達でしょう!
私がどれだけ大変だったと思っているの。
学園を卒業すらさせてもらえず、ここに来た次の日から仕事仕事仕事。
それなのに頑張って仕事をしていたら君は仕事ばかりだと嫌味を言う僕ちゃんはいるし、子供すらも仕事の邪魔になるでしょう、後継者教育もあるからこちらで大切に育てるわね、と取り上げて。
挙げ句の果てには若い女を囲う?そんな暇があるなら貴方がもっと商会のお仕事をしてくれたらよかったでしょう!この浮気者っ!!」
「おかえりなさい」
「……今日は仕事に行かないのか」
馬鹿ね。先延ばしにしても意味はないでしょうに。
「大切な話があるでしょう?」
「君に仕事以上に大切なものがあるとは思わなかったな」
何故、浮気された私がそんなことを言われなくてはいけないの。
「玄関先で話すことではないわ。部屋に行きましょう」
「冷静だな。君にとってその程度のことなのか」
…酷い人。この場で泣き叫べというのかしら。
「泣いて何かが変わるならそうするかもね。……しばらくは誰も近付けないで」
使用人にそう伝えてドアを閉める。
「どうぞ。お二人で何を話し合ったのかを教えて下さいませ」
「……コーデリアが私の子を身篭った」
覚悟していました。でも、まだ足りなかったみたい。
「彼女は産みたいと言っている」
「そう。お義母様の望み通りということね」
「!」
「仮令婚外子であっても彼女はクィントン伯爵家の娘として認められている。正妻になれるのであれば援助は惜しまない、そういうことですか?」
「…どうして」
どうして?だってお義母様はずっと変わらないわ。どこまでも家の為に最善を尽くす御方。その為なら田舎娘の一人くらい簡単に使い捨てるのよ。
「本当なら、白い結婚で離縁させるつもりだったのでしょう?」
学園を卒業した頃、本当なら白い結婚があと少しで成立するはずでした。でも、何故かリオ様は私を抱いてしまった。そして間もなくウィリアムを身篭った。
お義母様は白い結婚も不妊も理由に出来なくなって困ったでしょうね。
「……今度は私にそっくりなウィリアムを不貞の末に生まれた子だと言って私と一緒に追い出すおつもり?
相手は誰かしら。メル?それともマシュー様?いっそのこと、誰とも知らぬ平民でも身代わりに立てるのかしら」
「そんなことはしないっ!」
「…お義母様はいかがかしら。それに産まれてくる子が男子ならどうするのです。もしかしたら今度は貴方にそっくりかもしれませんよ」
ごめんなさい、ウィリアム。貴方がリオ様に似ていたら違う未来もあったのかもしれないのに。
「…私の妻は君だし、ウィリアムは私の子だ」
……何を言っているの。ずっと私を裏切っていたくせに!
「それならどうしてコーデリア様を囲っているのっ!何故抱いたの!?どうして!……どうして貴方は私を憎むの…っ」
何時からだった?
愛を語った口から私を否定する言葉が放たれるようになったのは。
優しい微笑みは冷ややかな嘲笑に変わり、私を抱いたその腕は私を拒絶するようになった。
ああ、駄目だ。冷静に話そうと思っていたのに、貴方を傷付ける言葉が止まらないっ!
「貴方は…貴方達は私を利用するだけ利用して、子供すら取り上げてっ!
こんな…こんな思いをする為に私はずっと頑張ってきたというの!?」
…駄目よ、落ち着いて。これでは話し合いにならない。
息を吐いて、吸って、吐いて……。
心臓が痛いほどにあぶっている。
「……まさか離婚を望むのか」
リオ様が何故そんなにも苦し気なお顔をなさるの。
「それを望んでいるからコーデリア様を囲っていたのでしょう。子が出来た時点で離縁するつもりだったのではないの?」
「……違う」
「ではコーデリア様とお子をどうするつもりですか」
「今のままだ。何も変らない」
「何を言っているの?今更何も知らなかった頃のように暮らせるはずがないでしょう。
今、コーデリア様と再婚なされば、赤ちゃんは婚外子にはなりません。避妊もせずにお抱きになっていたなら、こうなることな分かっていたはずです」
「……貴方には関係ない。アシュリーは今まで通り好きなだけ働いていればいいだろう」
──関係ない?
私達は夫婦ではなかったの?
「……そう。では好きなように致します」
「ああ」
もう一度大きく深呼吸をする。
そして。
パァーンッ!!
思いっきりリオ様の頬を叩きました。
「なっ!?」
まさか平手打ちされるとは思わなかったのでしょう。
「何故浮気して叱られないと思ったの?」
「……うわき……」
「浮気、不貞、密通、何でもいいですけど。
好きなだけ働け?何を言ってるの。私に仕事だけしていろと言ったのは貴方達でしょう!
私がどれだけ大変だったと思っているの。
学園を卒業すらさせてもらえず、ここに来た次の日から仕事仕事仕事。
それなのに頑張って仕事をしていたら君は仕事ばかりだと嫌味を言う僕ちゃんはいるし、子供すらも仕事の邪魔になるでしょう、後継者教育もあるからこちらで大切に育てるわね、と取り上げて。
挙げ句の果てには若い女を囲う?そんな暇があるなら貴方がもっと商会のお仕事をしてくれたらよかったでしょう!この浮気者っ!!」
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