異世界転生録~死と隣り合わせのこの世界で死なないため、力を付けます!!~

島津穂高

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第97話 武闘大会 決着

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「はぁぁぁ!!!!!!」



斬撃の量と頻度を増やし、特に弓使い中心に放った。

弓使いさえ倒してしまえば師匠は反撃できなくなるからだ。



「ダグラス選手、先程まで劣勢でしたがついに優勢になりましたーーー!!!!」



「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」



「熱い展開です!!!」



とは言っても斬撃で1人も倒せず、俺の疲労が溜まっていくばかりだ。



「はぁぁぁ!!!!!」



俺は思い切って倒した両手剣士が持っていた両手剣を拾い、全身全霊で短剣スキルF”投てき”を行使した。

標的はもちろん弓使いだ。



『いっけぇぇーーーーー!!!!』



その両手剣は凄まじい速度と破壊力を帯びて斧使いの斧を破壊し、そのまま弓使いを貫いた。

一気に2人を仕留めることができた。



「な、なんと!!!!まさに”アロボルグ”を彷彿とさせる攻撃だーーー!!!」



やはり分身が消えなかったことから本体は弓使いではなかったようだ。

相手に反撃の余地がなくなったことで安心し、油断した刹那”危険察知”スキルの警鐘が鳴った。



『なっ!?』



”気配察知”を行使すると、背後に巨大な気配を察知して大きく上空に跳躍した。

すると、次の瞬間Sランクパーティ全員が両断された。



『くっ!!!どういうことだ!!!』



「な、なんと!!!カイル選手の本体でしょうか?分身全員を両断しましたーー!!!」



「今ので仕留めたかったんだがなぁ…」



後ろを見てみると、刀を装備した師匠がいた。



「いったいいつから!?」



「”影分身”を行使した最初からさ。注意がパーティに釘付けになっていたからな。」



「そうか…」



師匠の刀を”鑑定”してみると、SSSランクの”朧月”という業物だった。

これなら海王の装備にも刃が通るだろう。



『…これは本気で死ぬかもな。』



俺は覚悟を決め、師匠に立ち向かった。



「はぁぁぁ!!!!」



今のままではまだ師匠に届いても致命傷にはならない。

俺は魔物スキルとバフを重ね掛けし、更に自分を強化した。



「くっ!!やるな!!!」



『もっとだ!!!!!』



俺はさらに重ね掛けし、3重に纏った。

魔鎧と魔器もまた、MP総量のほぼすべてを出力して強く練った。



「くっ!!!」



俺の身体はそのバフに圧迫され、長時間持ちそうもない。

今にも身体が張り裂けそうな感覚に襲われている。

早く決着をつけたいところだ。



「行くぞ!!師匠ーーー!!!!」



「来い!!!!!」



「はぁぁぁ!!!!」



最初に師匠に教わった、最小限の動きで最大速度の攻撃をした。

師匠はそれを身体に触れる直前に何とか防ぎ、体勢を崩した。



『そこだ!!!』



間合いを一気に詰めようとすると、”危険察知”スキルの警鐘が激しく鳴った。

俺は急いで後ろに跳躍し、距離を取った。



「…今のに気づいたか。やるな。」



師匠を見てみると、体勢を崩したように見えて朧月を鞘にしまって居合切りをしようとしていた。

一歩間合いに踏み込んでいたら俺は上半身と下半身が分断されていただろう。



『くそ…!!!』



何とか死を免れられたものの、実際は今の攻防で仕留めきりたかった。

既に俺の身体はバフの効果で筋肉がはち切れ、血の循環が早くなり体温が急上昇していた。



魔物スキル”超回復”によって回復しいるものの、回復速度が間に合っていない。

持ってあと1分だ。



『行くぞ!!!!!』



俺は足の筋肉をはち切りながら素早く距離を詰め、腕の筋肉をはち切りながら剣を縦に振った。

それによって師匠の左腕を斬り落とすことに成功した。



「きゃああああ!!!!!」



会場に悲鳴が上がったが、俺は全く気にせず追撃に向かった。

師匠は痛みにもがくことがなく、すぐに反撃の用意をしていた。



『まずいっ!!!』



追撃に踏み込んだところを刀で斬り上げられ、盾を持っていた左腕が斬り落とされた。

しかし、俺も痛みを無視して反撃の用意をした。



師匠の攻撃は腕を斬り上げたあとそのまま横薙ぎになったので、俺は魔鎧を右脇腹に集中した。



「はぁぁぁ!!!!」



”魔力念操作”だけで師匠の攻撃の勢いを殺し切れず、肉にめり込んだ。

俺はその間に師匠にできた右肩の隙を見つけ、右肩から斬りかかった。



「ぐはっ!!!」



「がはっ!!!」



お互い血を吐いたものの、斬撃を中断しなかった。

俺も師匠も体内に”魔力念操作”で盾を作り、攻撃を防いでいる。



「はぁぁぁ!!!!」



俺は残る微弱な魔力を片手剣に回し、ついに魔力の盾を砕いて師匠を斬った。



「し、試合終了ーーーー!!!!!ダグラス選手、肉を切らせて骨を断って勝利---!!!!!」



「そんなことより早く医療班を!!!!」



「カイル、ダグラス!!!!」



フィオナ先生が血相を変えてこちらに走ってくる。

師匠は既に虫の息だ。



俺は急いで”アイテムボックス”からHP回復ポーションSを取り出し、師匠にかけた。

そして、そこで俺の意識は途絶えた。
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